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デング熱だけじゃない!! シニア世代を襲う「死を招く凶悪伝染病」流行危機

[週刊大衆09月22日号]

平清盛に正岡子規……歴史上の偉人をも死に追いやった強敵が、現代に完全復活。身を守る術や、いかに!?

大流行の兆しを見せるデング熱。患者数は連日増え続け、12都道府県で計59人(9月4日時点)の発症が確認されている。

「発症するのは2割といわれていますから、日本国内ですでに300名近い人が感染していると思われます。また、糖尿病などの持病がある人が感染すると命に関わることもあるため、シニア世代は特に注意が必要です」(医療関係者)

このデング熱は、今から72年前にも日本で猛威を振るった伝染病。もともとは東南アジアなど熱帯地域特有の病で、そのウイルスは、ヤブ蚊の一種であるヒトスジシマカによって媒介される。ところが、前述した患者らには海外渡航歴はなく、代々木公園(東京)およびその周辺で蚊に刺されたことが原因とされている。

「8月21日の午後に代々木公園でロケをしていた、TBS系情報番組『王様のブランチ』レポーターの青木英季と紗綾の2人も感染しました」(芸能記者)

なぜ、消えたはずの熱帯病が、現代の日本で再流行の兆しを見せているのか。

医療ジャーナリストの牧潤二氏は、こう語る。

「代々木公園周辺は明治神宮や原宿など、外国人観光客が多い地域。特に代々木公園では、8月にいくつかイベントが開催され、外国人観光客も詰めかけていました。たとえば、外国人の中にデング熱に感染している人がいたとしましょう。蚊がその人の血を吸い、近くにいた日本人を刺すと、蚊を媒介して感染が広がることになります」

太平洋戦争中の1942年にデング熱が大流行した際の感染ルートも、海外からだった。

「当時、長崎の、ある通り沿いに住む人は、ほぼ全員感染するほどの流行を見せました。南方からの帰還兵を乗せた船が長崎港に入り、彼らから感染が広がったと言われています」(前同)


西ナイル熱が流行する危険も

そうして、いったん国内に蔓延(まんえん)すると、その被害を食い止めることは難しい。

「戦時中の例では、敗戦後、日本にやって来たGHQ(占領軍)が日本をデング熱の汚染地帯だと認識しました。ボウフラが湧きそうなところたとえば、空襲用の防火水槽やお墓の花入れにたまった水などを徹底して浄化するまで、流行が続きました」(同)

大流行する理由は、いくつかある。

「蚊が行動できる範囲は一般的に50メートルといわれていますが、強い風が吹けば、行動範囲はより広がります。それから人。たとえば東京で感染した人が地方に行って蚊に刺されたら、その蚊が媒介して、その地域でデング熱が蔓延することになります。また、地球温暖化の影響で、冬でも蚊が飛んでいる時代。夏が終わったからといって、安心できないんです」(同)

それだけではない。害虫防除技術研究所代表で医学博士(衛生動物学)の白井良和氏も警鐘を鳴らす。

「感染した蚊が卵を産み、次世代にウイルスが継承される可能性も否定できません。感染した1匹の蚊から新たに50匹の感染した蚊が生まれ、20匹程度が生き残って、感染が拡大していくという可能性です」

では、実際にデング熱にかかったら、どのような症状を引き起こすのか。

元傭兵(ようへい)の高部正樹氏は、タイ・ビルマ国境のジャングルでデング熱を発症した体験をこう語る。

「熱がガーッと40度以上まで上がり、体全体を激痛が襲います。治療薬はないので、解熱剤を医者からもらいました。4~5日で治りましたが、高熱が出るので、体力のない子どもやシニア層は大変危険です」

だが、警戒すべきはデング熱だけではない。さらに、凶悪な伝染病まで蔓延する危険が高まっているという。

「ウイルスには増加するタイミングがあります。今回、デング熱の感染者が増えたのは、国内に流行するための好条件がそろってしまった背景があると思います。そうなると、デング熱と同様に、ヒトスジシマカが媒介する、ウエスト(西)ナイル熱などにも注意する必要が出てきます」(前出・白井博士)

西ナイル熱は、もともと西ナイル地域で発見されたウイルスだが、99年に、発生例のなかったニューヨークで突然患者が発生。4年でほぼアメリカ全土に広がり、03年にはアメリカ国内で少なくとも150人以上が死に至ったという。

アメリカの例では、特に50歳以上のシニア層の致死率が高く、致死率10%というデータもあるという。

「日米間の交流を考えると、デング熱のように日本にも上陸する恐れがあるため、対策がすでに講じられています」(厚生労働省関係者)

こうなると、過去に日本を襲った伝染病も無視できない。たとえばマラリアだ。

平安時代には平清盛がマラリアにかかり、連日高熱にうなされて亡くなったと言われているが、マラリア原虫を媒介するハマダラカは日本にも生息している。

「ハマダラカは宮古・八重山群島の湿地帯に生息していますが、温暖化の影響で生息地を広げている恐れがあります。また、アフリカとつながりのあるヨーロッパでは、空港周辺で海外渡航の経験がない住民が、航空便で運ばれたマラリアに罹患(りかん)するケースも報告されているんです」(前同)

前出の高部氏は、重度のマラリア(脳性マラリア)に冒された経験もある。

「42度の高熱が出て、熱帯なのに体がブルブルと震えるほどの悪寒に苦しめられました。熱が上がったり下がったりを繰り返すため、体力をかなり消耗します。熱が下がるときは、ベッドがビショビショになるほど大量の汗をかきます。3日以内に処置をしないと死に至り、かつ高熱のため臓器不全に陥る可能性もあります。私の知人もこれで命を落としました」(高部氏)

そんな、死を招く"凶悪伝染病"から身を守るためには、蚊に刺されないことがまず重要だ。

「公園や墓地のほか、個人宅でも庭付きの場合は、蚊に刺される危険があります。マンションの場合、5階以上は大丈夫ですが、低層階のべランダでガーデニングをする場合は、肌を露出しないなど、注意したほうがいいでしょう」(前出・白井博士)

しかし、国外から迫り来る脅威はそれだけではない。西アフリカで大流行し、1500人以上の死者を出しているエボラ出血熱。

なんと医療界では、日本上陸がささやかれているのだ。

「遠いアフリカでの話と思っていたら大間違い。日本に上陸する可能性もあるとみて、大学病院の医師や看護師が密かに集まり、対策会議が開かれているんです」(前出・医療関係者)

その理由はこうだ。

「感染拡大の発端となった、ギニアの2歳男児の感染ルートの1つとして、ウイルスに汚染された果物が挙げられたんです」(前同)

エボラウイルスの宿主は果物を主食とするフルーツコウモリとされているが、それらがかじった果物を男児が食べたことで感染した疑いがあるという。

「フルーツコウモリは東南アジアにも広く分布しているうえ、台湾やベトナムなどでは、コウモリを食べる習慣もあります。西アフリカのような事態がアジア全域で起きる可能性は十分あるんです」(同)

こうした危険に加え、シニア層にとって油断ならないのが、国内に古くから潜伏する伝染病だ。

特に要注意なのが結核。

「漫才コンビ・ハリセンボンの箕輪はるかも09年に感染し、話題となりました」(前出・芸能記者)

結核といえば、明治期に"国民病"と言われる大流行を見せた死病。新選組隊士の沖田総司や俳人・正岡子規をはじめ、結核を患って亡くなった歴史上の人物は数知れない。昔の伝染病という印象が強いが、現在、その勢いは増している。


はしか、風疹は重症化しがち

「年間3000人が罹患し、その多くが高齢者です。なぜ今、流行中かというと、これまでたまたま発症していなかった保菌者が、免疫力が落ちる年齢になって発症するケースが増えたからです」(医療記者)

しかも、最近の結核菌は耐性を持ち、薬が効かなくなっているという。

「症状が治まったからといって、中途半端に薬をやめると、結核菌は強くなります。そのせきを周囲の人が吸い込むことで、治療困難な"耐性結核菌"が広がってしまうんです」(前同)

さらに、子どもがかかる病と軽視しがちな、はしかや風疹(ふうしん)もシニア層を脅かす。

特に、はしかは1000人に1人が死に至るといわれ、大人ほど重症化する。

「結核予防のBCGもそうですが、伝染病の予防接種は世代によって接種率にバラツキがあり、それが現代になって病気が蔓延する要因となっています」(同)

国立感染症研究所は、今年のはしかの患者数は、ピーク時で前年同時期の3・2倍になったと発表した。

また、風疹は13年の春から夏にかけて、都市部の成人男性を中心に大流行。この年の患者数は、約1万4400人にまでのぼった。

「致死率は低くとも、シニア世代には高熱自体が命取りです。疲れや風邪と甘く見ず、早めの受診が肝心です」(前出・医療関係者)

伝染病の恐怖から身を守るには、体の異変を見逃さないことが最重要なのだ。

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