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日本の誇り「自衛隊は本当に凄かった!」

[週刊大衆11月03日号]

事に臨んでは危険を顧みず――宣誓の言葉に偽りはなかった。災害時の活動から見えてきた自衛隊の”精強無比”!!

発災から3週間が経過。水蒸気爆発により噴火した御嶽山(おんたけさん)(標高3067メートル)での救助活動における自衛官たちの活躍ぶりは、記憶に新しい。
「災害派遣された自衛官は延べ6000名近く。1日平均300名で、多い日は500名程度が派遣されています」(軍事ジャーナリスト・菊池雅之氏)
戦後最大の火山被害となった今回の噴火。救助は険しい山岳地帯で行われたため、山頂まで隊員を輸送するヘリはフル稼働。自衛隊機は1日平均5機態勢で、12~13便で運用されたという。

「現場に派遣されたのは、長野県知事から災害派遣要請を受けた松本駐屯地の陸上自衛隊第13普通科連隊が中心。ただ、関東一円の部隊が応援に派遣されています。日本一のNBC(核・生物・化学)兵器対処部隊である中央特殊武器防護隊(大宮駐屯地=埼玉)も、発災当初に派遣されています。有毒な火山ガスを検知するためでしょう。さらに、F-4ファントム戦闘機を改造したRF‐4偵察機、浜松の救難隊など、空自も援軍に駆けつけています。死者74名を出した8月の広島の土砂災害に続き、今回も"オール自衛隊"で任務に当たっていると言えます」(前同)

山頂はもとより、急斜面と格闘しながら登山道に沿って広範な捜索が続けられたが、現場隊員の"足"となったのが、大型輸送ヘリCH-47JA「チヌーク」だ。タンデムローター(機体の前後にローターが配置されている)のずんぐりとした機体を、テレビなどで目にした読者も多いだろう。

「チヌークなら、一度に50名以上の隊員を山頂まで運ぶことができます。山頂付近は標高3000メートル。この高度まで安全かつ迅速に人員を輸送できるヘリは警察や消防にはありません。警察、消防の隊員も自衛隊機に乗り込んでいるのは、そのせいですよ」(軍事ライター・黒鉦(くろがね)英夫氏)
東日本大震災はもちろん、わが国の災害現場で大活躍しているチヌーク。2007年の新潟県中越沖地震では、"陸の孤島"と化した村落に必要物資を運び、住民を救助した。

「御嶽山でのミッションは、非常にスピード感があると思います。災害派遣における自衛隊のスキルの高さには、目を見張るものがありますね」(軍事ジャーナリスト・古是三春氏)
それは、ある意味で当然のことだという。
「自衛隊と警察、消防との決定的な違いは、自衛隊は軍事組織であるということです。軍隊は任務を"自己完結"する。現場に急行して、現地での作業、隊員の食料、宿泊その他をすべて組織内で完結できるんです。有名な女性ジャーナリストの方が"御嶽山に自衛隊が行くよりも、もっと警察の機動隊を出せばいい"と発言していましたが、彼女は"自衛隊しか対応できない災害がある"ということを、まったく理解していない」(前出・黒鉦氏)

また、一部メディアで"戦車まで持ち出す必要があるのか"といった論調もあるが、
「噴石の防御と、タイヤでは火山灰に埋もれるためキャタピラ式の車両が絶対に必要」(自衛隊関係者)
と明快な理由がある。
「余談ですが、今回投入したのは、戦車ではなく装甲戦闘車(笑)。戦車の砲身の内径は120ミリ。装甲戦闘車は35ミリ程度ですからね。そもそも警察や消防は地方公務員。県をまたいでの活動は原則不可能。また、災害現場に動員を増やせば、担当地域の治安がおろそかになってしまいます。国家公務員で、自己完結した行動が取れる自衛隊を動員するのは必然なんです」(防衛省関係者)

とはいえ、自衛隊の本来の任務は、わが国の防衛。有事――端的に言えば侵略軍との戦闘である。
「極限の戦闘環境という事態を想定し、訓練しているからこそ、災害という突発的事態に冷静に対応できるんです」(前出・古是氏)
今回の御嶽山噴火でも、
「指揮所に詰める警察関係者は、"うちができないことは全部、自衛隊に回している"と話していた。警察、消防の隊員も猛者ぞろいですが、自衛官には一目置いていますよ」(地元紙記者) 「航空作戦能力」の高さを証明

自衛隊と警察、消防の連携はすこぶる良好だという。
「広島土砂災害の現場では、三者が一体となって、整然と活動していたのが印象的です。これは、防災訓練等を通じて、自衛隊が地元警察、消防と常日頃から連携を図っている成果でしょう」(前出・菊池氏)
警察・消防の精鋭のはるか上をいく自衛隊のスキル。御嶽山でも、その実力はいかんなく発揮されている。まず、専門家が口をそろえるのが、ヘリをフル稼働する作戦の妙。
「今回の派遣で、陸上自衛隊の航空作戦能力が極めて高いレベルにあることがわかりましたね。地上3000メートル付近でのホバリング(空中停止)は見事。ヘリは空気が薄いところでは極めて操縦が困難なんです。それをわけなくやってのけるわけですから、凄まじい技量ですよ」(前同)
PKOなどの国際貢献任務で、自衛隊は輸送任務を担当することが多いが、これは「各国軍から、その高い操縦技術を買われて」(古是氏)なんだとか。

「現代の陸上戦闘はヘリ機動が生命線です。隊員を乗せたヘリが作戦エリアに迅速に到達、隊員はミッションを完遂し、定めた地点でまたヘリに乗って帰投する"ヒット&アウェイ"が基本です。今回、御嶽山で陸自が見せた技術は、戦地でも十分通用するものです」(菊池氏)
御嶽山で輸送任務につく大型ヘリのチヌークは、米ボーイング・バートル社が開発(自衛隊機は川崎重工がライセンス生産)、ベトナム戦争で実戦デビューした"歴戦のつわもの"だ。
「各国で、特殊部隊員を運ぶミッションにも使用されています。陸自では第一空挺団(習志野駐屯地=千葉)が空挺降下する際にも使用されるなど、汎用性の高い機体です」(黒鉦氏)

また、同じく御嶽山に派遣された万能ヘリUH-60JA「ブラックホーク」も、折り紙つきの名機。
「11年のビンラディン急襲ミッションで、米海軍の特殊部隊ネイビーシールズが使用しています。同機の実用上限高度は5000メートル近いので、御嶽山の山頂でも"まだ余力あり"と言えるかもしれませんね。過酷な戦闘に耐えうるように設計された軍用機ゆえ、災害派遣で抜群の威力を発揮するんですよ」(前同)
ブラックホークは、被災者をロープで牽引し救出した。ただ、これは戦地での使用とは異なるという。
「今回はホバリングしながら、ロープをモーターで巻き上げ、ホイストと呼ばれる装置を使って被災者を収容していました。これは最も安全な方法。敵支配地域に隊員が迅速に降下する場合には、ファストロープといって、安全装置をつけずに10~30メートル程度上空から地上に一気に滑り降ります。両手と両足の裏でロープを挟み、滑り降りるんですよ」(元陸上自衛隊レンジャー助教)
その間、わずか5~7秒。10名程度の精鋭を地上に投入するのに、わずか数十秒という早業である。

「この技術を身に着けている隊員は、自衛隊の中でも精鋭のみ。ただ、一般の普通科隊員も、リペリングと呼ばれるカラビナ(ハーネス)を用いた方法で降下可能です。これだと、1人あたり20秒程度の所用時間ですかね」(前同)
こうした降下行動は、実戦では敵の攻撃を受けるリスクを伴いながら実行されるのだから、想像を絶する。

「御嶽山でのミッションの主力は第13普通科連隊の隊員です。普通科とは歩兵部隊。彼らは山岳レンジャーと呼ばれ、山間部でのゲリラ戦闘を叩き込まれています」(黒鉦氏)
レンジャー資格を持つ隊員は、普通科を含む戦闘職種で十数名に1人の狭き門。
「約3か月のレンジャー教育過程を修めると資格が得られます。訓練は文字どおりの"地獄のしごき"ですね。たとえば、教官に2時間ひたすら腕立てをしろと言われます。やっているとすぐに汗で水たまりができる。手が動かなくなって水たまりの上に潰れると、教官に頭を踏まれて怒鳴られる。でも、その間、"ああ、これで少し休めるな"と感じるのがレンジャーです(笑)」(前出・元レンジャー助教)

最終試験は、50キロ近い装備を身にまといながらのミッション。道中には橋梁爆破などの様々なゲリラミッションが設定されており、それをクリアしながら4~5日間、ほとんど飲まず食わず、睡眠も取れない状態で戦い抜くのだという。
「与えられる食料は最低限ですから、山中の野生動物を調達して食べます。レンジャー教官から聞いた話ですが、野生動物を殺す場合は首か頭を狙う。内臓が破裂すると糞尿臭くて食べられないからです。捕獲した獲物は首を落とし、逆さにして血抜きし、内臓を取り出す。こうした技術を徹底的に叩き込まれるんです」(軍事評論家・神浦元彰氏)

中国軍幹部が絶句した実力!!

山頂付近を中心に御嶽山を覆う火山灰の影響は深刻で、行方不明者の捜索に当たる隊員は下手をすると首まで埋まってしまう。
「標高3000メートル付近での捜索は、酸素が薄いため高山病にかかる。低酸素症や体感温度は氷点下ですから、低体温で警察や消防では活動できなくなる隊員が続出しています。自衛隊でも一部後続部隊の中には、こうした症状を訴える隊員がいたようです」(前出・記者)

ただ、第13普通科の面々はびくともしなかった。
「やはり、山岳レンジャーですよ。日本の国土の3分の2は山地。敵国のゲリラやテロ集団が、こうした山間部にこもって破壊工作を行う危険は高い。その際に、山岳レンジャーのような山間部での戦闘のスペシャリストは必要不可欠でしょう」(菊池氏)
彼らには有毒ガスという"難敵"も存在する。
「実は、マスクをしての活動はかなり苦しいんです。通常の3倍は疲労するでしょうね。その中で、皆で縄張りをしたエリアをしらみつぶしに整然と捜索する姿は自衛隊ならではですよ」(元レンジャー助教)

派遣期間が長期化し、あれだけの人員を投入しているため、 「レンジャー隊員だけではなく、一般の隊員も現場に入っているはず。自衛隊は平均レベルでも、世界標準を大きく超えている」(前同)というから凄い。事実、各国の軍関係者は自衛隊が災害派遣で出動するたびに、その様子を注視しているという。「災害派遣で用いられる技術は"戦技"の応用です。プロが見れば一発で、その軍隊の実力がわかるからです」(黒鉦氏)
東日本大震災での自衛隊の活動を目の当たりにした中国軍幹部は、 「自衛隊の実力に絶句していた」(古是氏) という。

「米本土での実弾演習でのこと。自衛隊の放つ砲弾が百発百中なので、米軍の将校に"お前たちは特殊部隊を連れて来たのか?"と聞かれたことがあります。参加していたのは一般の特科(砲兵)部隊でした。米海兵隊との共同訓練後の交流会では、米兵が酒を飲みながら"お前らはグレートだ。アメリカは最高のバディ(同盟国)を持った"と言ってきたので驚きました。ただ、僕らはそれぞれ課題も感じていたし、特別なことをした意識はありませんでした」(元レンジャー助教)

たゆまぬ日々の訓練が、世界最高レベルの実力を築き上げたのだ――。

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