日刊大衆TOP 社会

現役の警察幹部がすべて語った!「交通取締りズサン実態」スクープ激白120分

[週刊大衆12月1日号]

優良ドライバーに立ちはだかる怠慢かつ悪質な交通取締り。その怒りの矛先を、現場を指揮する幹部に直接ぶつけてきた!

「こんなデタラメが20年近くにわたって放置されていたなんて、全国のドライバーは"いい加減にしろ!"と、警察に怒りの声を上げるべきですよ!」
顔を真っ赤にして口角泡を飛ばすのは、本誌の交通関連記事でお馴染みの、熱血道路交通評論家の鶴田光秋氏だ。
鶴田氏の怒りも無理はない。10月末、広島県警は広島市安佐南区の交差点での交通取締りに関し、その根拠となる現場の状況を記載した「交通規制台帳」の内容が約20年もの間、誤ったままだったことを明らかにしたからだ。その結果、この20年間で、同交差点で処理された反則切符は実に1000件以上という。

「1994年の道路計画で、この交差点が3車線から4車線に車線が増えたんですが、この変更を交通規制台帳に反映させていなかった。本来は取締りの都度、台帳の内容を確認しなければいけないわけで、間違いに気づく機会はいくらでもあったわけですから、普段からいかにズサンな取締りをしてきたかの証左ですよ」(広島県警担当記者)
しかも、この件を受けて県警が県内を一斉点検したところ、同様のミスが37交差点、52か所で見つかったというから、優良ドライバーにとって、こんなふざけた話はない。

「今年5月には埼玉県内の外環道で、車両通行帯違反の取締りに必要な県公安委員会の意思決定がなく、交通規制の効力が発生しないまま、8年間で約2400人を取り締まっていたことが発覚しました。その反則金合計が1400万円以上といいますから、バカげた話ですよ」(前出・鶴田氏)
こうなると、これらの不祥事はたまたま発覚しただけで、他の都道府県では、いまだに判明していない不当な取締りが今日も行われているのではないか――そう考えるのが自然だろう。

その疑問をぶつけられる関係者はいないかと、各方面に取材をかけたところ、現役警察幹部のA氏への接触に成功。鶴田氏とともに直撃することとなった。
警察には階級があり、ある段階まではそれぞれの都道府県に属する地方公務員だが、ある程度出世すると、形式上、退職して国家公務員となる。A氏は、その一人であるから、押しも押されもせぬ警察幹部である。

鶴田「最初にお聞きしたいのは、広島や埼玉の件ですよ。なぜ、こんなことが起きるんですか!?」

A氏「どちらも公安委員会へ上申のし忘れですね。手続き自体は簡単なんですが、なんで忘れてしまったのか。ただ、道路改良ってしょっちゅうやっていて、そのたびに規制台帳も変更しなければいけませんから……」

鶴田「そんな無責任なことじゃ、困るんですよ。ドライバーの中には、取締りの結果、仕事を失う可能性もあるんですから」

A氏「恐らく、交通規制課の仕事というものが、1人で広範囲を担当しているためだと思います。かなり大きい範囲でも、せいぜい2人。その人数で、標識、信号など、無数の対象物を管理しなければいけない。そうなると、なかなか手が回らないという現実があって、規制台帳と実際の現場を常に突き合わせるだけの余力がないんです」

鶴田「人数を増やすことはできないんですか?」

A氏「増やせないんですよ。DV犯罪や振り込め詐欺、危険ドラッグ対策のような話題のあるところに人を集めざるをえない。そうなると、増員したいのは山々ですが、内部で具体的な議論にはならないんです」

鶴田「どうして、人手不足の部署に人数を配分できないのですか?」

警「国民にPRできないからですよ。全国民が被害者になりうるモノのほうが、国会でも説明しやすく増員しやすい。規制課だけでなく、交通部全体の問題として取り組むべきです。それが現実なんです」

A氏も、この現状でいいとはまったく思っていないと言うが、これだけ大きな問題が起きても、「国民へのPRが第一」が警察組織のホンネでは、今後、第3、第4のミスが発覚することはほぼ確実だろう。

来春から事故分析官を導入!

ますます怒りのパワーを増幅させた鶴田氏は、さらに交通取締り問題の核心に斬り込んでいく!

鶴田「ズバリ聞きますけどね、"交通指導取締り"は、適正に行われているんですか?」

交通取締りを適正化するため、67年8月1日に当時の警察庁次長が、〈いわゆる点数主義に堕した検挙のための検挙、あるいは取締りやすいものだけを取り締まる安易な取締りに陥ることを避けるとともに、危険性の少ない軽微な違反に対しては、警告による指導を積極的に行うとし……〉という通達を出しているが、それから40年が経った今も、"取締りのための取締り"が、盛んに行われていると指摘されている。

A氏「次長通達の思想は、間違いなく生きています」

鶴田「だったら、もっと素晴らしい交通社会が実現しているはずですが、相変わらず、"隠れて行う不当な取締り"で多くのドライバーが苦しめられています」

昨年6月、安倍晋三首相の盟友としても知られる古屋圭司国家公安委員長(当時)が、「歩行者が出て来る危険性もない直線道路で制限速度の20キロ超過を取り締まるのは疑問。取締りは事故防止に結びつくのが大切だ」と、現実に即さない速度規制について苦言を呈し、不当な取締りが多く行われていることを認め、有識者会議を設置している。

A氏「国家公安委員長の発言は、取締りの根拠をちゃんと持てということ。"○○の場所で×時~△時に事故が多い"と分析していれば、その時間に取り締まっても文句は出ませんよね」

鶴田「では、きちんとした分析をやろうとしているんですか?」

A氏「来春、各県警本部に"事故分析官"を新設することが決まっています。この統計・分析によって、"ここの道路ではこの事故が多いから、この取締りをしよう"といった方針を立てるんです。国家公安委員長の発言を受けて、少しずつ変わってきていますよ」

鶴田「そもそも、こうした取締りのための取締りがなくならない原因は、警察のノルマ主義だとも言われていますよ」

A氏「ノルマは、今は絶対にないです。個人に対するノルマはもちろん、都道府県レベルでもありません。ただ、"抑止目標"というのはあります。たとえば、"B警察署は死亡事故を何件以内に抑えるよう努力しましょう"といったもので、そのために管轄内で交通安全教室を開いたり、事故が多い場所にガードレールを設置したりするわけです」

A氏がそう説明する一方で、ドライバーにとっては「本当に必要?」と首を傾げる取締りや対策が多いのだが……。

A氏「やっている側からすれば、必要のない取締りはありません。たとえば、シートベルトの取締りはどこでもやっているものなんですが、取り締まられる側からすれば、"なんで、こんな所で!?"となるわけです。実際、そうしたケースでの苦情はスゴく多いですから、"取締りを外注すればいい"という気持ちがあるのも事実です。それがかなわないのであれば、自分たちの首を絞めるような取締りはやめるべきです」

隠れて取り締まる時代は終了

鶴田「では、なぜ隠れて取締りを行ったりするんですか?」

A氏「う~ん、微妙だな~。当然、取締りというのは取り締まる必要があるからやるんですが、その必要性を担保するには、切符を切って"取締りをやっている"と思わせる必要がある。そう思わせることで抑止になるのであれば、隠れていようがいいという考えが、確かに私にもありました。ただ、今はそうじゃない。正義と国民の味方である警察が、制服を着てコソコソやっているのは、よく思えません。それを見て、子どもたちが"警察官になりたい"と思いませんもんね」

鶴田「では、何か策はあるんですか?」

A氏「本当に抑止するには、取締りの量よりも質を求めていかないといけないんです。そのためには、"隠れてやるなら指導にする"というのが、個人的にはいいと思うんです。やり方を考えて指導すれば、切符を1回切るよりも、大きな抑止効果が生まれる可能性がありますからね」

鶴田「それは素晴らしい!」

A氏「実際、"警察のイメージを下げるような取締りは、警察組織にとってプラスにならない"という幹部も結構いるんですよ。今回の御嶽山など災害現場で、"一人でも多くの方の遺体を、ご遺族にお返ししたい"という信念の下で頑張っている警察官がいる一方で、交通課では、ミスが次々に発覚し"税金ドロボー"と呼ばれてしまう。これでは取締りの現場のモチベーションも上がりません。"ミスがどうした""隠れてやっている"なんて言われて、我々もツラいんですよ(苦笑)」

警察の信頼回復のためにも、ぜひとも、適正な取締りの実現をお願いしたいものだが、ここに新たな懸念材料があるという。
来年末から、警視庁が交通違反切符の発行に、タブレット型の携帯端末を使用するという話が、それだ。なんと、これが実用化されるとわずか10分ほどで切符が切られてしまうという。

鶴田「国民は裁判をする権利を持っていますが、機械化されて、手短に切符が切られていったら、その権利が剥奪されることになりませんか? ドライバーは訝しがっていますよ」

A氏「機械化しただけで、"問答無用に罰則"とはならないと思いますよ。むしろ、"急いでるんだ!"というドライバーの利便性を考慮してスピードアップを図るのが目的だと思います」

鶴田「でも、結局、起訴猶予になって点数だけ引かれますよね」

A氏「警察とドライバーの永遠の問題ですね。ただ、間違いなく量から質へと変換はしていますよ」

優良ドライバーの疑問を真っ向から受け止めてくれた警察幹部のA氏。いくつかの疑念を晴らしてくれたとはいえ、我々は安全な運転を心掛けるとともに、より一層、警察の動きに厳しい監視の目を向けていく必要がありそうだ。

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.