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安倍晋三の首を狙う「7人の元首相」

[週刊大衆12月15日号]

師走の決戦に向け、かつての日本の顔が水面下で暗躍している。大勲位、変人、宇宙人、殿様、ドジョウ…の思惑は?

安倍首相による"自爆解散"か、それとも……。
各党、各政治家たちの生き残りを賭けた、衆院解散・総選挙(12月2日告示、同月14日投開票)が、11月21日、安倍首相によって高らかに宣言された。
「首相は、この解散を"アベノミクス解散"と命名。安倍政権発足以来、2年近くにわたって断行してきた経済政策(アベノミクス)について、国民の信を問うと、大勝負に出ました」(全国紙政治部デスク)
これに対し、野党側は「大義なき解散だ」と猛反発。「野党は、国民の賛否が分かれる原子力政策や、安全保障問題にも争点を広げ、安倍政権2年間全体の審判を仰ぐ戦略です」(前同)

解散総選挙について、朝日新聞が実施した全国緊急世論調査(11月19~20日)では、同政権の経済政策を〈失敗だ〉と回答した人が39%。〈成功だ〉の30%を上回った。また、首相が胸を張る〈(賃金や雇用に)結びついている〉と答えた人は20%。「そうは思わない」の65%に、大きく水を開けられる結果になった。
「選挙結果に直結する内閣支持率も39%と、同新聞が11月上旬に実施した前回調査から3%ダウン。不支持率は4%アップの40%と、支持と不支持が逆転する、首相にとっては思わぬ結果です」(自民党中堅議員)

その安倍首相は先日、生出演したテレビの報道番組(TBS『NEWS23』=11月18日放映)で、これら世論の動向について、
「同番組で紹介された街の声、たとえば"景気がよくなったとは思えない""誰がもうかっているんですかねぇ"に慌てふためき、あの甲高い声で"おかしいじゃないですかっ!""全然、(庶民の)声に(ママ)反映されてない"と、早口でまくしたてたんです」(テレビ局関係者)
そんなトップリーダーのろうばい狼狽に、自民党の某幹部は「(選挙に響くから)もう首相をテレビに出すな」と、怒り心頭だったという。
「とはいえ、首相の自爆に、野党側が勢いづいたかというと、さにあらず。 出馬すれば、確実に旋風を起こせると期待されていた橋下徹大阪市長が、早々に撤退宣言。これで、第三極ブーム到来の夢は、一気に潰(つい)えてしまいました」(ベテラン政治記者)

そんな"燃えない"総選挙を横目に、ギンギンに燃えている男たちがいる。
「功成り名を遂げた元首相たちです。彼らが"あの栄光の日よ再び!"とうごめきだしているんです」(同)
その筆頭が安倍内閣の第1順位指定大臣(副総理)であり、現在も財務大臣、金融特命大臣(デフレ脱却担当)の華々しい地位にある麻生太郎・元首相(首相在位期間08年9月~09年9月=以下同)だ。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「今後、安倍政権の支持率が極端に下がる、もしくは首相の体調に大きな変調が現れるなどの緊急事態には、"安倍政権を継続していくのは俺以外にない"と、ポスト安倍に麻生氏が名乗りを上げるのは必定です」
政治評論家の浅川博忠氏も、「今回の総選挙で、自民党が50議席減となるなど大敗した場合、首相の責任問題に発展します。そうなれば、常日頃から"安倍さんだって再登板できた。なら俺だって"との野望を隠さない麻生氏が、ポスト安倍に打って出るのは火を見るより明らかです」

実際、ここにきて"いざ、その時"を強く意識。手勢拡大に一直線という。
「近い時期の大島派との合併が模索されています。これが成れば総勢47人。岸田派42人を抜き、晴れて党内第3派閥に躍進します」(前出・政治部デスク)
その麻生氏は、解散の直前まで"消費税10%決定直後、安倍内閣の支持率が急降下。政権は耐えられず、12月中旬、安倍首相花道退陣"とのシナリオを描いていたという。それが、
「首相の消費増税先延ばし解散で、消費増税が最優先課題である財務大臣としての顔を潰されたうえ、描いたシナリオもご破算に。それでも現在は"選挙でコケたら俺が!"と作戦を変更。早晩、その出番はやって来ると信じて疑わない状況だとか」(前同)

この麻生元首相に負けず劣らず、「好機到来」と舌なめずりしているのが"大勲位"中曽根康弘・元首相(82年11月~87年11月)。
「96歳となった現在、狙っているのは首相復帰ではありません。孫の康隆氏に地元の選挙区を継がせ、"中曽根王国を再び盤石に"との老いの一念に燃えているんです」(地元の群馬県議)
この康隆氏は現在、父・弘文元外相(参院議員)の秘書を務めている。
「安倍改造内閣の華として登場した小渕優子・前経産相がスキャンダル辞任したのを好機と、小渕氏の選挙区群馬5区に康隆氏を殴り込ませ、あわよくば同選挙区を乗っ取ろうともくろんでいるんです」(地元の自民党群馬県議)

さらに、嘘かまことか、
「小渕疑惑発覚当初、"ワイン問題(小渕氏が地元有権者にワインを配った公職選挙法違反容疑)"をリーク。揺さぶりをかけたのは、中曽根事務所関係者だ、との声まで地元ではささやかれているんです」(前同)
中曽根氏が執念を燃やすのは、なぜか? 群馬5区は中選挙区(旧群馬3区)時代、中曽根元首相と福田赳夫・元首相、それに小渕恵三・元首相が加わって"上州戦争"と言われた激しい選挙戦を展開したゆかりの地だからだ。
「ただ、その激戦地も、故・竹下元首相に"永久比例1位"を確約されて数年で、草刈り場になり、地盤が沈下。その後、小泉政権時にほご比例名簿の永久1位も反故にされ、事実上の引退勧告を受けた。それらに対する悔しさから、目の黒いうちに選挙区を奪還したいのでしょう」(前出・浅川氏)
総選挙で政界が揺れている今、中曽根元首相は"王国復興"のチャンスとばかりに暗躍しているのだ。
野党再編のカギを握るノダ!

一方、民主党が華やかなりし時代、首相の座に就いて、得意満面だった鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦の3氏も"返り咲き"に強い意欲を見せている。

まずは、首相時代、米ワシントン・ポスト紙に「ルーピー(愚か者)」と揶揄された"宇宙人"こと鳩山元首相(09年9月~10年6月)。
「政界を引退した今も、復帰に未練タラタラです」(民主党中堅議員)
この鳩山氏、首相辞任後、日本を混乱させた責任を取って、次回総選挙には立候補しないと表明。

しかし、その舌の根も乾かぬうちに撤回。ついには、時の首相だった野田氏から引導を渡される醜態まで演じてしまったのだ。
その後も、沖縄の反基地勢力から沖縄1区での出馬を要請されるや、またもや心がグラグラ。
「今回の総選挙でも、維新でもない、みんなでもない第三極を結集する新党構想を模索していた」(前同)
ただし、笛吹けど誰も踊らず。かつての仲間・民主党議員たちからでさえ、総スカン状態にあるという。

「やはり宇宙人なのでしょうか? 元首相が海外に行って国益を損なう話をしないというのが政治家のイロハのイなんですが……。彼は中韓などで現政権の悪口を言いたい放題。今後、野党再編が進もうとも、鳩山氏が"首相に指名"されることはないでしょう」(浅川氏)

かたや"史上最低首相"との評が定着(失礼!)している菅元首相(10年6月~11年9月)だが、
「これまた、マジで首相カムバックを狙っています。今総選挙で自民党に対抗できる総大将は、自分以外にない、と自負。自身のブログを通じて、野党陣営に指示まで出す権力亡者。もちろん、まともに相手する人はいませんが……」(民主党関係者)
先の11月25日には、菅元首相の後援組織『菅直人の復活に期待する会』が、会費2万円の政治資金パーティを開催。勝負資金は揃った、ともいわれるが……。
「総選挙で、脱原発が大きな争点となれば、"首相経験者であるオレの出番だ"と意気込んでいます」(前出・鈴木氏)
浅川氏は、「2年前の総選挙で自民党候補に敗れ、比例区で復活当選。首相経験者なら、選挙区で敗れた時点で後進に道を譲るのが筋。見苦しいというほかありません。これ以上の醜態を晒さないためにも、潔く政界引退することを考えたほうがいい」
と手厳しいのだが……。

一方、ドジョウ首相改め民主党"最後の将軍"野田前首相(11年9月~12年12月)は、
「消費増税が延期となり、一番腹が立っている一人です。もともと、消費増税は"3党合意"で社会保障の充実と一体でした。それが、自民党政権になって経済優先に。社会保障の充実はなおざりにされています」(鈴木氏)

今後、3党合意の当事者だった野田氏が、この点に絞って選挙戦を戦えば、
「野党再編の旗頭の一人として、急浮上してくる可能性もある」(前同)
12年の政権交代後、「敗軍の将は兵を語らず」と表舞台に出ることを控えてきたという野田氏。
「それも、ここにきて解禁。恒例だった辻立ちを、この(11月)17日に再開。"(3党合意の)定数削減は進んでいない。強い怒りを覚える"などなど、聴衆に訴えています。ただ、残念ながら足を止める人は限りなく少数です」(地元・千葉4区の商店主)
その閑散演説の模様がネットで流され、それを見た中国の人たちの間から「これでは、中国の村役人以下(の注目度)」と揶揄される憂き目にもあった。
変人は統一地方選を視野に!

これら落ち目の三度笠の3人に対し、ひょっとしたら? の期待が寄せられているのが"殿様"細川護熙(もりひろ)・元首相(93年8月~94年4月)と、"変人"小泉純一郎・元首相(01年4月~06年9月)の2人だ。
「細川、小泉両元首相とも、安倍首相と対極をなす"脱原発"の頭目。先の5月には、脱原発を掲げた一般社団法人『自然エネルギー推進会議』を発足。安倍政権との真っ向対決の姿勢を崩しておりません」(同会議関係者)
同会議の事務局長は、中塚一宏・元民主党衆院議員。また、設立パーティには、"卒原発"を掲げて安倍政権に勝負を挑んだ滋賀県の嘉田由紀子・前知事も駆けつけ、オール野党結集の勢いも見せている。

この細川、小泉の両氏、
「(今)総選挙には関わらない」と公言してはいるが、その実、「(解散は)原発再稼働隠しだ」(細川元首相)、「野党がどう取り組むかが大きい」(小泉元首相)と、安倍政権を真っ向批判。
「細川・小泉元首相連合軍が、純然たる憂国の情で動いているとは誰も思っていません。多くが、裏に政治的野心が隠れていると見ています」(自民党関係者)

浅川氏が言う。
「小泉元首相は、来年4月の統一地方選が脱原発運動の大きな節目になると、独特の勘で捉えています。もし、ここで脱原発の動きが大きな"ウネリ"となれば、人気者の息子・進次郎氏を巻き込み、永田町リベラル勢力の結集に動く可能性が強いでしょう」
同氏が続ける。
「安倍首相が仕掛けた師走の決戦。自民党は24~34議席を減らして、260~270議席と見られています。過半数を確保するとはいえ、これだけの議席減となれば、ポスト安倍がやかましくなるのは必至です」7人の"魑魅魍魎(ちみもうりょう)"元首相たちも躍り出た、今回の総選挙絵巻き。はたして庶民の審判や、いかに!?

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