日刊大衆TOP 芸能

絶対的優勝候補巨人を苦しめた大混セの2014年ニューヒーロー7選手

[増刊大衆10月26日号]

今春、プロ野球開幕前、「優勝は巨人で決まり」というムード一色だったセ.リーグ。しかし、蓋を開けてみたら、しばらくリーグは大混戦。例年以上の面白いシーズンとなった。この大混セの立役者は誰か!? ニューヒーロー7人にスポットを当てる!

1 山田哲人(22歳)二塁手/ヤクルト
今季対巨人戦は本塁打6本打率も.333と大暴れ!

セ.リーグで打率.323は3位、打点77は4位、本塁打24本は3位(数字は9月16日現在=以下同)。
山田哲人は、間違いなく今年のセ.リーグを盛り上げた立役者の一人だ。
山田は2010年、高校通算31本塁打を放った強打者として、履正社高からドラフト1位でヤクルトに入団した。
翌11年は、公式戦での出場こそ叶わなかったが、大舞台でド派手なデビューを果たす。中日とのクライマックスシリーズ.ファイナルの第2戦に1番.遊撃手として先発出場。高卒新人野手のCS先発出場は、これが史上初だった。
この試合は無安打に終わったが、第3戦では四球で初出塁、初得点。第4戦では、2安打1得点を記録して、数々の「高卒新人のCS記録」を打ち立てた。
このとき、小川淳司監督が山田を抜擢したのは、彼自身が「僕を使ってください」と監督に直訴したからだという。「面白いヤツ」と、首脳陣に山田の名が強くインプットされた。

12年シーズンの出場は26試合にとどまったが、13年シーズン途中からレギュラーに定着し、主に二塁手として94試合に出場して.283の打率を残した。
この年の飛躍のきっかけは、シーズン途中でファームに落とされたことだろう。そこで杉村繁二軍打撃コーチの徹底指導を受け、打撃フォームを大改造。それまで、どちらかというとホームラン狙いの大味なタイプだった山田は、広角に打って打率を残す技術を身につける。
そして、勝負の今年。開幕から「1番.二塁」に定着し、ヤクルトの核弾頭として活躍。交流戦で優秀選手賞と首位打者のタイトルを獲ると、夢のオールスター戦にも出場し、第2戦ではホームランを放った。
そんな彼は大の巨人キラー。対巨人戦では本塁打6本、打率.333という恐るべき結果を出している。
今季こそチームは最下位に低迷したが、若きヤクルトの至宝は、今後、球界を背負う大打者に成長していくことだろう。

2 三上朋也(25歳)投手/DeNA
ルーキーらしからぬ度胸で"ハマの守護神"に大抜擢!!

4月2日、横浜スタジアム。巨人を相手に2点リードした6回表の場面で、DeNAの中畑清監督は新人の三上朋也投手をマウンドに送り出す。しかし、三上は緊張からか制球が定まらない。2四球と1死球で瞬く間にノーアウト満塁のピンチ。迎えるは高橋由伸。
この絶体絶命のシーンでもボールが先行。誰もが押し出しを想像したが、ここで三上は踏ん張りを見せる。ストライクを3つ続けて、高橋を見逃し三振に討ち取り、続く長野久義をダブルプレーに仕留めて、自ら招いたピンチを帳消しにしてしまう。

このときの「ルーキーらしからぬ」マウンドさばきを見た中畑監督は、三上を"ハマの守護神"に抜擢することを決め、4月29日の中日戦から実行に移す。
彼自身にとって、抑えは初めての経験だったが、中畑監督は「怖いもの知らずの新人に賭けてみようと」と決断したのだ。
結果から言えば、この抜擢は大成功。DeNAの勝ちパターンが完成し、チームに安定感が出てきた。万年最下位争いのチームが、Aクラス争いに加わるようになったのは、三上の活躍によるところが大きい。
9月16日の時点で57試合に登板し、1勝3敗19S、防御率1.82。特に巨人にはめっぽう強く、11試合を投げて失点0。今年のDeNAが、かつての"横浜銀行"の立場を脱却し、巨人を苦しめている要因は、三上を抜きにしては語れない。

そんな大物ルーキーだが、実は彼の持ち球はストレートとスライダーのみ。多彩な変化球を持つ投手が有利と言われる現代野球では珍しいタイプだが、それが、かえって相手を戸惑わせているという。
「ストレートは3種類あり、スライダーも、落ちるのと、横に滑るのを持っていて、打者を惑わせています」(球界関係者)。
普段はサイドスローだが、時折、ストレートをオーバースローで投げるため、ペナントレースも終盤に入り、球種を狙われるようになったというが、今後、新たな球種を習得すれば、三上は二代目"大魔神"に就任できるかもしれない。

3 井納翔一(28歳)投手/DeNA
以前の不思議キャラから二ケタ勝利の大黒柱に変身

7月25日の対ヤクルト戦。井納翔一は6回1失点で、本人初の10勝目を挙げた。2012年、かつての横浜ベイスターズがDeNAという新球団になって、初めて誕生した二ケタ勝利投手である。"番長"三浦大輔投手は一昨年、昨年と9勝止まりだった。
現在、井納は11勝7敗。この数字は確実にチームの大黒柱のものである。

実は、この井納。ちょっと不思議な言動から、チーム内では"宇宙人"と呼ばれている。
たとえば、誕生日に「いくつになったか」と聞かれて、「今日です」と答えたエピソード。まあ、これは、他人の話をよく聞いていないということだけなのかもしれないが、ほかにも、こんな話がある。
試合終了後の中畑監督の囲みインタビューの際、記者団の中に、ペンとメモを持った井納が紛れ込んでいた。本人は冗談のつもりだったのだろうが、いつしか記者から質問を受けることに。そして、「変わり者という自覚はあります」とか、「それを個性として生かせるようにすればと、前向きにとらえています」と発言していた。

このように、1年目は「キャラクター先行」の存在だった井納が、エースの自覚を持って、鮮やかに覚醒したのが今季と言える。
飛躍のきっかけとなったのは、春季キャンプの際、たまたま視察に来ていた"フォークの神様"、球界の大先輩.杉下茂さんからのアドバイスだった。
「もっと手首を使ってカーブを投げることにより、フォークもストレートもよくなる」という杉下氏の言葉を実践したことで、試合で使えるカーブが投げられるようになり、真っすぐもフォークも、より質の高いものになったというのだ。
さらに彼を成長させた、もう一つの出来事は、昨年侍ジャパンに招集されて、2イニングを無失点で抑えたこと。この代表での活躍が、今年の自信に繋がっていることは明白だろう。
二ケタ勝利とともに、目標に掲げてきた「年間150~160イニングを投げる」という目標もほぼ達成して、成長を形にした井納。来季も、"ハマの大黒柱"の活躍に注目したい。

4 福谷浩司(23歳)投手/中日
投球フォームを数値化して自ら立証した秀才リリーバー

『野球の中に存在するあいまいさの定量化』
これは慶応大学理工学部出身、12年のドラフトで中日に1位指名された福谷浩司投手が書いた卒業論文のタイトルである。
「ボールの出どころがいい、球持ちがいい」「キレがある」など、野球でよく使われるあいまいな表現を、数値化しようというのが、この卒論のテーマ。
「リリースの瞬間が見づらい」と言われるロッテの成瀬善久投手の投球フォームを解析し、「体の回転軸を抑えることが"見づらさ"につながる」と結論づけた。
大学時代、学業成績オールAという優秀な福谷は、プロに入って、研究の正しさを自ら証明する立場となったのである。

しかし、プロデビュー年となった13年、彼はいきなり、つまづいてしまう。右足内転筋の肉離れで戦線を離脱してしまったのだ。
ケガが回復して、一軍登録されたのは6月8日。翌9日にプロ初登板のマウンドに上がり、150㎞の快速球で1イニングを三者凡退に抑える好投を見せた。
だが、その後は細かいコントロールミスから打ち込まれるようになり、7月7日に登録抹消。初年度は9試合を投げて0勝1敗3ホールド、防御率7.36という不本意な成績に終わった。

悪いことは続く。
「このオフに就任した落合博満GMのコストカットの対象となり、野球協約の減額制限いっぱいの25%ダウン、1125万円で契約更改しました。それだけに、2年目の今季が勝負の年となったんです」(全国紙記者)
キャンプで頭角を現し、開幕一軍を勝ち取った福谷は今季、セットアッパーとして活躍。66試合に登板し、0勝4敗7S32HP、防御率1.86の堂々たる成績を残している。
印象的だったのは、プロ初セーブとなった8月6日の広島戦。9回表一死二塁の場面で岩瀬仁紀が左ヒジの張りを訴えて緊急降板。急遽、救援を任された福谷はエルドレッドを130㎞のチェンジアップで空振り三振に仕留め、キラには四球を与えたものの、田中広輔を中飛として接戦を締めた。希有な"才人"の今後が楽しみだ。

5 上本博紀(28歳)二塁手/阪神
"レギュラーの座は渡さない"骨折をも克服した核弾頭!

3月30日の阪神対巨人戦、開幕早々、阪神は悪夢に見舞われた。ボールを追った福留孝介と西岡剛が激突、西岡は救急車で病院に搬送され、長期離脱を余儀なくされたのだ。
だが、この悪夢を"ケガの功名"に代えたのが、プロ5年目の上本博紀内野手だ。この日、西岡に代わって登場した上本は、左翼席に本塁打を放って好調さをアピール。その後も上本は、首脳陣の信頼を勝ち取り、阪神の核弾頭として、「1番.二塁手」に定着。打率.281、打点38、本塁打7、出塁率.374、長打率.397と勝負強さを見せ、押しも押されもせぬチームリーダーとなった。

だが、その道のりも、決して順風満帆なものではなかった。5月3日のヤクルト戦で、右親指を骨折してしまったのだ。
せっかく掴んだレギュラーの座は誰にも渡さない!
「骨折した上本は、すぐにリハビリを始めます。2日後、西宮市内にある二軍施設で患部を固定しながら、室内でエアロバイクや体幹トレーニングなどをこなしました。そのおかげで、わずか半月後の5月20日には見事、戦線復帰を果たしたんです」(スポーツ紙記者)
ケガが刺激になったのか、その後は節目となる試合で勝負強さを発揮し続けることとなる。
たとえば8月15日のDeNA戦。走者一掃の決勝打を放ち、チームの連敗を止めたかと思うと、18日の同じくDeNA戦では、プレーボール直後の初球を叩いて本塁打で先制、4回にもタイムリーを打って、ベイスターズを突き放した。
同20日の中日戦では、上本の凡フライが、野手の接触によって勝ち越しタイムリーとなる幸運にも恵まれた。さらに、9月4日のDeNA戦でも、フルカウントから高めに浮いた変化球を見逃さず、逆転勝ち越しタイムリーを放っている。
彼の活躍がなければ、阪神がここまで優勝争いに絡んでくることはなかったかもしれない。そして、5月のケガの際、上本を見限らず、早期復帰させた阪神首脳陣の英断が彼を成長させたと言えるだろう。

6 呉昇桓(32歳)投手/阪神
不安視する声もなんのそのピンチを救った虎の守護神

韓国のプロ野球で5度のセーブ王に輝き、通算277セーブの記録を持つ呉昇桓(オスンファン)。そんな呉投手を契約金2億円、年俸3億円で獲得することを阪神が発表したとき、日本のプロ野球ファンの多くは懐疑的だった。
「"高すぎるのではないか""そもそも韓国で一流とはいえ、日本の野球に合うとは限らない"など、あの頃、様々な雑音が聞こえてきたものです。それを呉投手は見事に黙らせてしまったのですから、頭が下がります」(スポーツ紙記者)
呉は、これらの懸念の声を蹴散らすかのように、すんなりと日本の野球に順応。いまや藤川球児の魂を受け継ぐ"虎の守護神"として、絶大な信頼を獲得している。

デビューは3月29日、東京ドームの巨人戦。9回裏に登場し、1イニング被安打1で無失点に抑え、見事、初セーブを獲得した。
4月10日、甲子園でのDeNA戦では、同点で迎えた9回に登板。1イニングを無失点に抑えると、その裏の攻撃でチームはサヨナラ勝ちを収め、初勝利をものにした。そして、この試合から12試合連続無失点を続ける。
さらに翌4月11日の巨人戦からは、10試合10イニング連続無被安打も記録。7月21日の巨人戦では、元.ヤクルト(現.三星ライオンズ)の林昌勇に次ぐ史上2人目の日韓通算300セーブを獲得した。

淡々と仕事をこなしているように見える呉だが、意地を見せたのは8月27日の巨人戦。その前日からの天王山3連戦。「この試合に勝てば、首位巨人との差は0.5、負ければ2.5」という大事な試合で彼は救援に失敗してしまう。「メッセンジャーを続投させていれば」と誰もが悔む継投ミスだった。
負ければ自力V消滅、というところまで追い込まれた阪神は、この27日、10回裏2点リードの場面で呉を投入。しかし、先頭の阿部慎之助にソロ本塁打を許してしまう。頭をよぎる前日の悪夢。だが、彼は気持ちを切り替えて後続を断ち、リベンジを果たした。
呉がいなければ、阪神は優勝争いなど決してできなかっただろう。

7 エルドレッド(34歳)外野手/広島
前半戦に本塁打を量産して赤ヘル快進撃の立役者に!!

今季のセ.リーグを盛り上げたチ―ムが広島であることはプロ野球ファンなら誰もが認める事実だろう。開幕ダッシュを成功させて終始、優勝争いに参加。5~6月の交流戦での大失速がなければ、間違いなくペナントは広島のものだったはずだ。
この広島快進撃の立役者となったのがブラッド.エルドレッドであることは間違いない。
昨年は終盤に固め打ちをしたものの、打率.247、32打点、13本塁打という平凡な成績に終わった。だが、この凡庸な外国人が今季に入って突如、覚醒する。実は、多くのカープファンと同じく、松田オーナーも昨季のエルドレッドに物足りなさを感じており、早い時期に見切りをつけ、解雇を決めていたという。

ところが、この決定に強力に反対したのが、野村謙二郎監督ら現場スタッフだった。最終的に野村監督がオーナーを説き伏せる形で、年俸1000万円ダウンでの残留が決定したという経緯がある。
「野村監督らカープのスタッフが高く評価したのは、エルドレッドの野球に取り組む姿勢でした。これまで、真面目な外国人が多かった印象がある広島の助っ人の中でも群を抜く真面目さで、これは慣れてきたら、絶対いけるという確信があったと言います」(スポーツ紙デスク)
案の定、今季、エルドレッドは覚醒した。打って打って打ちまくり本塁打、打点の2部門でトップに立ち続けた。

ところが、7月末、突如調子を崩して、三振の山を築くようになる。
8月、二冠王のまま二軍落ち。広島の勢いもエルドレッドの戦線離脱をきっかけに、すっかり失速してしまった。
「あれは、完全に野村監督の判断ミスです。ああいう選手は、打たなくてもメンバーに入っているだけで、相手投手の脅威になります。代打要員でもいいからベンチに置いておくべきでした。二軍落ちは、自らのクビを絞める行為です」(前出・スポーツ紙デスク)
ともあれ、エルドレッドの豪快な一発が今季のセ.リーグを華やかに彩った事実は消えることはない。
今度はぜひ、エルドレッドの見事な復活劇を見たいものだ。

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.