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仰天裏側「交通取締り強化月間」はデタラメだらけ!

[ヴィーナス12月04日号]

春と秋に年2回行われる大々的な全国交通安全運動、時折、喧伝される道路交通法違反者のニュース……。ドライバーにとっては”不満“と”疑問“ばかりの取締り強化だが、そこには、我ら市民には知られざる秘密があった――。

お祭り騒ぎの「全国交通安全運動」、告知なしの「逮捕強化」、芸能人たちがこぞって出演する「交通安全ポスターの怪」

9月21日から30日まで行われた『秋の全国交通安全運動』が終了し、ホッとひと息ついているドライバーの方も多いだろう。

10日間みっちりと、地域の交差点などに警察官が立ち、各所にテントや「全国交通安全運動実施中」ののぼりが立つ光景は、普段、交通ルールを正しく守っている善良ドライバーでも緊張してしまうはずだ。

「この運動は、"交通事故防止の徹底を図ること"などを目的として、春と秋の年2回行われます。確かにこの目的だけ見れば、素晴らしい運動です。しかし、隠れて取締りを行ったり、強引にキップにサインさせるような不当取締りが、依然として多く行われている。実際、期間中は、"無理やり違反を認めさせられた"という報告が増えるんです。これでは大義名分の下に正当化された"取締りのための取締り運動"と言っても過言ではないですよ!」

本誌でお馴染みの道路交通評論家・鶴田光秋氏も、こう捲し立てる。たびたび行われている"取締り強化"には、日常の交通マナーと同様に気をつけなければならないことが山積しているようだ。

ではまず、月別の取締り検挙数を見てみよう。
「2011年の警視庁の月別取締り件数を見てみると、1~3月は7万件前後で推移しているにもかかわらず、『春の全国交通安全運動』が行なわれる4月には、9万3025件とドンと増える。そして5月から減り始め、『秋の~』が行なわれる9月に、また4月と同等程度の9万件近くにまで上ります」

交通ジャーナリストの今井亮一氏がこう言うように、運動期間中に検挙数が急増しているのは明らかだ。警察官の姿をよく目にするため、ドライバーも重々注意をしているはずなのに、である。何か、裏があるに違いないと推測してしまうのも無理はない。

実際、ある警察関係OBは当時を振り返り、こう語る。
「ウチでは"一人何件"といった露骨なノルマはありませんでしたが、交通課長や課長代理が朝礼夕礼の挨拶の中で、"いよいよ、始まったな"といった言葉をチラつかせるんです。我々にとっては、すなわち、"少なくとも前年以上の成果を上げろ"とか、"検挙数を上げろ!"というプレッシャーにしか聞こえませんでしたね」

検挙実績は、昇進にも影響するという噂もある。そのために、現場の人間は運動期間中、とりわけ必死に"検挙"するというのだ。

「原則、交通課の職員は、運動期間の10 日間は無休でフル出勤することが義務づけられているそうです。そして、警官たち総出で些細な違反もキップを切っていき、"実績"を稼ぐというわけですね。シートベルトの未装着や、運転中の携帯電話の使用など、警告、指導をするべき取り締まりやすい違反を、特に狙ってくるでしょうね」(前出・鶴田氏)

というから、ご立派な運動の目的と実態とが、かけ離れていることがよくわかるだろう。
警察にとってはただの"お祭り"!?

「ドライバーは、交通の流れに沿って安全運転をしていれば大丈夫なんだと刷り込まれています。しかし、警察にとっては"道路交通法の遵守=交通安全"なんです。これといった具体的な危険性は関係なく、少しでも道路交通法に引っ掛かれば、びしびし取り締まっていく。つまり、日々ハンドルを握っているドライバーが考える交通安全と警察の交通安全は違う。これがわかっていない人が、この運動のいいカモとなってしまうんです」(前出・今井氏)

運動が終わったあとの警察官たちの動きを見ても、デタラメさが一目瞭然だという。
「運動後、フル出勤していた警官たちが一斉に休みを取ったり、現場に出ていたために溜まってしまった事務仕事に専念する。祭りのあとの静けさではありませんが、直後の数日間はほとんど現場に出られないらしいんです。本末転倒もいいところ。これが定例化しているなら、この運動の存在意義を問いたくなりますよ。ドライバーにとっては恐怖の期間でも、警察にとっては、ただの"お祭り"みたいなものですからね」(鶴田氏)

また、取締り以外のところでも、こんなキナ臭い情報が伝わってきた。その年の旬なタレントが起用される『全国交通安全運動ポスター』だ。
「あのポスターは、複数の広告代理店から売り込まれ、警察は無料で使用することもあるんですよ。代理店やタレント事務所は、警察に大きな"貸し"を作れるうえに大変な宣伝効果もありますから、喜んでプレゼンしてくるそうです。候補のポスターを廊下に張り出して、AKB48総選挙さながらに、"今年は連ドラで話題になったあの子だ!""いや、あのアイドルグループの誰かだろう"なんて、人気投票をやった年もあったようです。そういったところも、やっぱり"お祭り"なんですよね」(前出・警察OB)

不当な取締りが囁かれる裏で、警察がどこか浮かれているようにも見える。納得がいかない取締りを受けたことがあるドライバーにとっては腹立たしいこと、このうえないだろう。
だが、我々は、この「全国交通安全運動」ばかりに気を取られていてはいけないようだ。「それ以外にも、年末の"飲酒運転特別取締り強化月間"など、各県警、各地域で、さまざまに強化月間が設定されています。その月は当然、数字を上げないといけません。そのため、"あそこのスナックは、車で来て飲むヤツがいる"とわかっている場合、普段は見逃しておいて、強化月間の実績用に残しておくなんて、ふざけたことが普通に行われていたりするんです」(今井氏)

さらに、ドライバーにとっては最も怖い、いきなりの逮捕もありうるということ。いわば、「逮捕強化月間」なるものも存在するというのだ。「この期間中はオービスなどを含む違反で出頭を拒んでいる違反者を、じゃんじゃん逮捕するんです。反則金不納付のドライバーは結構な人数いますから、普段なら、すべてを処理するのは不可能ですが、この期間中にはやる。しかも、これは反則金を支払わせる、いわば"見せしめ逮捕"のようなものだから、タチが悪い。新聞やテレビで、たびたび"反則金不納付で何十人逮捕"のような見出しが躍るのが、それですね」(前同)
新聞の記事を見て出頭者が続々!

今年4月にも、ある県警が交通違反の未出頭者の77人を検挙し、うち45人を逮捕したという発表があった。
新聞紙面には、「まさか逮捕されるとは思わなかった」「交通違反を甘く見ていた」といった違反者たちの痛々しい供述が載っていたが……。

「この記事を見て"ヤバい!"と思った違反者が続々と出頭するんですよ。本来、反則金の不納付は逮捕の理由になりません。それが刑事手続きへ移行し、さらに、たび重なる呼び出しに応じない者が逮捕されます。しかし、ドライバーの多くはこういった手続きを知りません。新聞記事を見て、我先にと出頭してくるというわけです」(同)

もちろん、違反を犯した者が反則金を支払わなければならないのは当然のことだろう。しかし、それをこんな形で煽って焦らせて支払わせるのは、適切と言えるだろうか。
「しかも、こうした"強化月間"は警察内部で設定されているものもあり、全国交通安全運動のように日程が決まっているわけではありません。当然、告知もないですから、まさに"ある日突然"状態なんです」(今井氏)

この強化月間の背景には、近年、スピード違反の減少をはじめとする反則金の納付額が、減っている現実が見え隠れするという。
「趣味の多様化による若者の車離れを筆頭に、スピードのあまり出ない軽自動車やミニバンなどの人気が、原因の一つでしょう。しかし、毎年、反則金の納付額を見越した予算が組まれていますから、それをなんとか下回らないようにしなければならない。もちろん天下り先を"食わせ"なければなりませんしね。警察のノルマ主義の元凶は、ここにあるわけですね」(鶴田氏)

危険ドラッグ使用による事故の増加や、高齢者の事故防止のために、今後ますます取締りが強化されるという交通行政。

安全のために行われる運動であれば大歓迎だが、取締りのための取締りのようなデタラメだらけの「交通取締り強化月間」であれば、話は別。こんなことに泣かされることのないよう、読者諸兄には、くれぐれも気をつけてもらいたいものだ。

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