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2014年に流行した健康法の「ウソ・ホント」

[週刊大衆1月5日,12日合併特大号]

"ご飯を食べないと痩せる"やら、"ふくらはぎを揉め"やら、効果のほどはいかに!? 真相を確かめた!

年を取ると健康が気になるもの。そんな中高年のために、次から次へと新たな健康法が登場するが、いったい、どれを信じて良いのやら。
2014年に流行した健康法の真偽を検証してみた。
今や熟年男性の間でも健康のためにダイエットがブーム。"糖質制限""1日1食"など"食"に関する健康法が話題を集めた。
「糖質制限とは、炭水化物や砂糖などの糖質を極端に減らす食事法です。ご飯やパン、麺類などの炭水化物はNGですが、肉や魚などはいくら食べてもかまいません。従来のカロリー制限と違い、お腹いっぱい食べられるので世界的にも流行中です」(健康誌記者)
はたして、効果はあるのか!? 健康政策や現場医療に詳しい医事評論家の牧潤二氏は、こう説明する。
「糖質制限は科学的な理論もしっかりしているため、最初は糖尿病や生活習慣病を治療する医療現場で取り入れられました」

これを実践すると中性脂肪が減るため、やがてダイエット法としても人気を集めるようになったという。
だが、このブームを危険視する声も。
「日本糖尿病学会は、炭水化物のみを極端に制限する食事法は、長期的に見て、安全性の上で科学的根拠が不足しているとして、薦められないという見解を出したんです」(前同)
栄養学の専門家からも、
「日本人は、米とみそ汁、季節のおかずという食事で長年健康を保ってきたのに、いきなり米抜きにするのは、食生活の長期的な安全性という意味からも疑問がある」
と否定的な意見が出た。
「糖質制限をするときは、肉や魚だけでなく、食物繊維や、糖質が少ない野菜もしっかり摂らないといけませんが、素人ダイエットでは、この点がおろそかになりやすく、腸内環境が悪化する恐れがあります」(同)

また、肉や魚を主食にするため、経済的負担が大きいのも難点だ。
「食べ慣れた白米やパンを食べないことでストレスがたまるという人もいます。イライラする、逆に食べ過ぎてしまうなんて人には、オススメできません」(前出・健康誌記者)
1日1食は、ビートたけしなどの有名人も実践しているダイエット法。実は、50代半ばの本誌記者も、1週間ほど夕食のみの生活にトライしたことがある。
4~5日で70キロあった体重がストンと3キロ落ち、食事の準備も楽だし、食費も減るなど、良い点も多い。

だが、この健康法には大きな問題点があるという。
「1日1食だと、これまで3食で補っていた各種栄養分を1食で摂らなければならないため、栄養バランスが悪くなりがちなんです」(前出・牧氏)
極端な話、1日1食がカップラーメンでは、低栄養状態になる。
「若い女性は食事制限でダイエットするケースが多いんですが、栄養不良で病気になる人も多いんです」(前同)
これを中高年世代が実践すれば、筋肉量が低下し、将来は寝たきり生活に――なんてリスクもあるのだ。
「50代で体重70キロの男性だと、1日に必要なカロリーが2200キロカロリー程度ですが、1食でこれだけの量を摂るのは困難です」(栄養士)
また、慣れたらともかく、慣れないうちは「1食しか食べられない」ことが、やはりストレスにもなる。記者も1週間を過ぎると我慢できず「いつもの3食」に戻り、体重も元に戻ってしまった。

マッサージはやりすぎ注意!

さて、近頃は"1日3分で病気が治る""○○をやれば3日で治る"といったタイトルの健康本が出回っているが、これにも疑問点が多いようだ。
こうしたタイトルの著書を14年春に出版した医師が、匿名を条件に明かす。
「本に書いたように、科学的な根拠もマウスの実験などで証明され、私の指導で病気がウソのように治った患者もいるんです。その意味で決してウソではないんですが、タイトルを見れば、どんな人でも治るかのように誤解されるんですよね」
読者は年齢も体質もさまざま。当然、万人に効くわけはないのだ。
「出版社に"あまりタイトルにしてほしくない"と言ったんですが、"これぐらいでないと読者に手に取ってもらえない"と押し切られたんです。確かにそんな面もあるだろうと思い、OKしましたが……」(前同)

こんな本の健康法を実践しても、「1日3分」では無理だったり、3日で治らない人も出てくる。これで長続きせずに、やめてしまうケースも多いようだ。健康本といえば、"ふくらはぎ揉み"や"足指揉み""腹へこまし"など、手軽にできる健康体操やマッサージを解説したものも話題になった。
「こうした健康体操やマッサージは、"やって気持ちがいい"程度にすれば問題ないんですが、マジメな人ほど一生懸命やりすぎて、逆効果になることがあるんです」
こう話すのは、医療ジャーナリストの黒木要さん。

たとえば、ふくらはぎには大きな静脈があり、血栓ができやすい。強くふくらはぎを揉みすぎると、この血栓が剥がれて心臓や肺に至り、いわゆるエコノミー症候群を発症することもあるという。
また、"体温を上げると病気にならない"という健康法も話題だった。

ところが、必ずしも一概には言えないようだ。
漢方医学に詳しい田村哲彦氏(薬学博士)の説明を聞こう。
「漢方医学では、基本的に体を温めるように指導しますが、人によっては体温が十分高く、温めすぎると、のぼせて具合が悪くなる場合があるんです」
テレビの健康番組などでは、タマネギ、ゴボウ、納豆、ヨーグルトなど、さまざまな食品が健康に良いと紹介されているが……。
「ヨーグルトは腸内細菌を増やし、免疫力をアップさせるということでもてはやされましたが、冷え性の人が"体にいいから"とヨーグルトを食べ過ぎれば、マイナスに働くこともありえます」(前同)

食べ物には、その人に"合う・合わない"もある。
「ニンニクも、現代科学でもその食効を認める食品ですが、胃が弱い人が生で食べると、胃が荒れて逆効果になります」(健康誌記者)
まずは自分の体質を把握することが重要だ。

減塩しても血圧は下がらない

14年は人間ドック学会が健診基準値を緩和したことが話題を呼んだが、特に注目されたのが血圧の数値。
「高齢者は血圧がやや高めのほうが生存率が高くなるという研究があり、WHO(世界保健機関)も、80歳を超えて元気な人は血圧が180以上だったと報告しています」(健康誌記者)

さらに、高血圧対策にも疑問点が潜んでいた。
「"減塩が健康に効く"と思われていますが、塩分を減らしても血圧が下がらない、食塩非感受性高血圧の人は多いんです。塩分を減らしたことで血圧が下がる人は100人に1~2人という研究もあります」(前同)
とはいえ、
「塩分過多の食事は、腎臓病や胃がんの発生率が高くなります。塩分はあまり摂らないに越したことはありません」(牧氏)
というから、しょっぱい物はほどほどに。
血圧と同様に気になるのが、悪玉コレステロール。血管にへばりつき、動脈硬化の元凶とされている。

そこで、"低コレステロール"な食事を心がけ、極端なケースでは卵を食べないという人もいるが、これも間違った健康法のようだ。
「卵は悪玉コレステロールを体外に排除するレシチンを多く含みます。アミノ酸バランスがいい卵は、1日に1~2個食べたほうがいいぐらいです」(前同)
最近は食品の有効成分を凝縮した"健康サプリメント"も簡単に入手できるが、頼りすぎるのは禁物だ。
「食品として食べると効果がある成分も、サプリにすると、マイナスになるものがあるんです」(前出・黒木氏)

その典型はニンジンなどに含まれるβ(ベータ)カロテンだ。胃がんや肺がんの予防効果が注目され、健康食品として出回ったが、その後、がんを誘発する可能性があるとされ、ブームは冷めた。
「食品の効果成分の研究は進んでいますが、摂取しすぎると、どんな作用が出るかについての研究は、意外となされていません。また、ある種のハーブティやサプリメントは、抗がん剤の効果を弱めることも。抗がん剤治療を受けている方は、医師に何を飲んでいるかを報告しましょう」(前同)
新しい健康法にはすぐ飛びつきたくなる。しかし、かえって健康を害することもあるのだ。振り回されないようにしよう。

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