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弱点を克服する『人間力』川島明(漫才師)

[週刊大衆01月26日号]

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弱点を克服する『人間力』川島明(漫才師)

「芸人になるという目標だけの人生でしたから、逃げたら何もできんというのがわかっていました」

今でこそ、バラエティ番組とかに出させてもらって、たくさん喋っていますけど、学生時代は、とにかく存在感がなかった。無視されるレベルでもない、まして、嫌われるだけの知名度もなかったです。

友だちは小、中学校を通じて3人だけで。高校の時は、誰も友だちがおらへんかったです。
僕が24歳くらいの時、同窓会の連絡が来て、友だちおらんけど行ったんです。すると、なんで『麒麟』の川島がここにおるのって会場がザワザワし始めて、誰も僕のことを覚えていなかった。見た目も、変わっていたせいもあるんですけどね。それほど影が薄かったんです。

最近、『うつむきくん』っていう身の回りに起こった不幸を集めたイラストエッセイを出させてもらったんですけど、キャラのモデルは完璧に僕。本と同じようなヘタレでした。エッセイにも書きましたが、テスト中に消しゴム落としても、先生に言えなかったです。控えめっていうか目立ちたくなかったんです。

というより、目立たんようにしていたんです。なんでかな。皆と感覚がずれていたんですかね。目立ちたくはなかったけど、芸人にはなりたかったです。そのことに、僕の中では矛盾はなかったですね。おもろいネタはいつも考えていたんで、クラスメイトがテレビで見たダウンタウンさんの物真似して皆が笑うんが、それちゃうやろって思っていました。自分で作ってないのに、クラスの人気者ってちゃうやろとね。

でも、考えたネタを喋ろうとしても声に出せなかった。この世界に入るまでは、大人しくして、ずーっと我慢していました。その考えたネタをラジオによく投稿していました。京都でしか聞けんラジオ番組に、雨上がり決死隊さんや、バッファロー吾郎さんっていう大先輩が出ていためちゃおもろい番組があったんです。

そこで読まれるリスナーからのハガキのレベルが高いんです。僕も出すんですけど、まぁ読まれない。それで、イライラして、よくラジオを蹴飛ばし、オカンにボコボコにしばかれていましたね。

高校卒業して、NSCっていうお笑い養成所を受けたら、合格通知が届いて家族裁判です。なんやこれ? どういうことやと詰問され、生活費も面倒みん、一切手を貸さん。でも、他人から金は借りるなってことで許されました。だから、養成所の費用を稼ぐためと、人前に立つ練習を兼ね、嫌々ウエイターのアルバイトをしたりして秋に入所しました。

入所するには、面接があるんですが、何したいん? 誰が好き? みたいな簡単な質問に答えるだけですから、99%受かるんです。僕はおどおどしながら、なんとか受け答えできて受かりましたが、入ってみると、そんなやつばっかりでした。基本的に、売れている芸人って根が暗いんですよ。逆に、クラスの人気者は養成所に入ってもすぐ辞めていくんです。やっぱ違ったみたいな感じで。
養成所に入ったはいいものの、誰かに声掛ける勇気がないので、コンビも組めない。養成所でのネタ見せの場では仕方なしに、一人でボソボソとやっていたんですけど、先生が「見せ方は下手やけどおもろい」って褒めてくれたんです。

先生はめったに褒めないんで、「うわっ凄っ! 良かった」と思いましたね。その日の帰りに、相棒になる田村裕が声を掛けてきたんです。
「お前、おもろかったから、コンビ組んだってもええで」ってね。

僕が考え込む性格やから、相方は能天気なバカがいいなって思っていたところに、田村がきたんで、待ってましたと思いましたね。それでも、人前に出て漫才やるとなると、飯も食べられんほど緊張したり、恥ずかしくて田村の後ろに隠れて喋ったりしながらも、なんとかここまできました。

芸人になるという目標だけの人生でしたから、逃げたら何もできんというのがわかっていました。自分らで考えたネタをやり、キャーキャー言われたい、モテたい、金持ちになりたい、今までの人生を取り戻したいっていう願望がいまのモチベーションになっています。

撮影/弦巻 勝


川島明 かわしま・あきら

1979年2月3日、京都府生まれ。AB型。お笑い芸人養成所『NSC大阪校』時代に、田村裕と『麒麟』を結成。養成所の同期には、『トータルテンボス』などがいる。02年にABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞を受賞するなど、数々のコンテストで賞を受賞。低音ボイスで「麒麟です」と自己紹介するネタが受け、一躍、売れっ子芸人に。現在はお昼の情報番組『昼まで待てない!』(名古屋放送)を始め多数のレギュラー番組を持つ。川島明氏初のイラストエッセイ『うつむきくん』(双葉社刊)が絶賛発売中。

「うつむきくん」(川島 明/双葉社)










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