日刊大衆TOP 社会

あなたの「老後マネー」が狙われている!

[週刊大衆02月09日号]

せっかくコツコツ働いても、判断誤れば、奈落の底へまっしぐら! 不安につけこむ悪辣手口を一挙公開。

リタイア後の生活に不安はつきもの。老後に備え、貯蓄に励んでいる人も多いのではないだろうか。
「60歳以上の平均貯蓄額は2000万円を超えると言われています。これは、わが国全体の個人金融資産の約6割を占める額です」(全国紙社会部記者)
こうした"老後マネー"を狙った詐欺などの被害が現在、後を絶たない。
「金持ちだから狙われるわけではありません。高齢者は、他の世代に比べて気力や体力が劣っている、昼間も自宅にいる割合が多いなど、カモにしやすい要素が多いからなんです」(前同)
電話勧誘、家庭訪問販売など悪徳商法の被害が、シニア世代に圧倒的に多いのもそのため。

鹿児島県内で一人暮らしをする和田正さん(66=以下、回答者は仮名)も、そんな被害者の一人だ。
「2年ほど前に、50代の女性営業マンから補聴器の訪問販売を受けたんです。今思えば、これはきっかけ作り。それ以降、購入した補聴器のメンテナンスを口実に、彼女は頻繁に訪ねて来ました。一人暮らしの寂しさも手伝って、外食や日帰り旅行までする関係になったんです」(和田さん)

そのうち、彼女の息子がやっているという投資会社の社債を勧められたという。
「300万円も損をしてしまいました。提訴も考えましたが、弁護士などの費用もかかるし、気力も萎えて……。泣き寝入りです」
また、最近多いのが"劇場型勧誘"と呼ばれる手口。
「特別な債券や発展途上国の外貨取引などのパンフレットを送り付け、その数日後、"パンフレットが届いた人にしか購入権がない。数倍の価格で買い取るので代わりに購入してほしい"と電話します。ですが、この電話の主と販売業者はグル。ターゲットが転売目的で購入した途端、姿をくらますんです」(前出・全国紙記者)
もっとも、老後マネーを狙うのは悪徳業者ばかりではない。一般企業、さらには大手、一流といわれる会社ですら、信用の高さを逆手に取り、犯罪スレスレのことをやっているのだ。

証券会社は手数料が目当て!

岡村正一さん(60=東京都在住)は自身の財産のほとんど、実に約4000万円を株式投資で失った。
悪夢の契機は、約2年前に、知り合いの紹介で人生初の株式投資を始めたこと。
テレビCMでも知られる大手証券会社だったことから、すっかり信用したという。
「最初の担当者との間で1000万円損したときにやめればよかった。しかし、その会社のお客様相談室に文句を言ったら、"成績優秀な担当者に替えます。それで取り戻してください"と言われたんです」(岡村氏)
以降、岡村さんは新しい担当者から毎日かかって来る電話の指示に従い、頻繁に売買を繰り返した。すると、損失はさらに約3000万円にまで拡大。
「これは法律で禁止されている"一任勘定"(すべて証券マンに任せること)に抵触する可能性があると知り、提訴も検討しました」

しかし、会社側にそれを伝えると、平然とこう言い放ってきたという。
「担当者はあなたに購入する理由も銘柄も告げ、あなたは、それに"はい"と同意していました。だから違反ではありません」
岡村さんにしてみれば、証券会社が損を取り戻すために指名してくれた担当者。そして、自分に株の知識がないから信頼して従ったわけだが、これだと証券会社側はセーフのようだ。
「証券会社にとって、投資の結果など、どうでもいい。収入は売買手数料ですから。大きい売買を頻繁に繰り返すほど、儲かるんです」(ベテラン証券マン)

一方、埼玉県在住の安藤貞子さん(70)のように、信用ある企業の不良社員に騙されるケースも。
「65歳のとき、契約している生命保険の"医療特約"が更新時期を迎えたので営業マンと久々に会いました。すると、"いい投資話がある"と持ちかけられたんです。"うちの保険に入っているから、元本は保証される"とも話していました」その言葉に安心した安藤さんは2500万円を出資。
「ところが、出資先が倒産したとのことで、利益がないどころか、一銭も戻ってきませんでした。その後、告訴し、営業マンは逮捕されましたが、保険会社は"社員が勝手にやったこと"の一点張りで、お金は今も戻ってきません」

こうした事例について、フィナンシャル・プランナーの青山重雄氏はこう語る。
「生保の営業マンは、契約を取れないと数か月で固定給がゼロになるシビアな世界。皆が必死ですから、各社、毎月のように客とトラブルを起こし、クビになる者が続出しています」

また、安藤さんのケースのように、生命保険の"医療特約"は60歳ないし65歳で更新時期を迎え、保険料は跳ね上がる。だが、これを機に、新たな保険契約を結ぶのは大変危険だ。
「ただの更新では営業マンの成績にならない。ですから、"公的介護保険だけでは要介護度が高くなった場合に賄えないですよ"などと、自社の介護保険を売り込んできます。"医療特約"にしても、70歳になれば医療費は1割負担で済むことを思えば、更新しないのも一つの考えです」(前同)
また、医療とともに気になるのが老後の生活。"面倒を見てくれそうな人もいないし、いずれは老人ホームへ……"と考える方もいるだろう。だが、ここにもワナが存在する。
入居者を追い出す老人ホーム

現在、寝たきりの生活を送っている安田澄子さん(75)は、こう打ち明ける。
「体が弱ってきたので、長年住んでいた賃貸アパートを出て、老人ホームに入居することにしたんです。ところが入居中に、病気で寝たきりになりまして」
そのホームは、寝たきりの場合は入居できない条件なのだという。
「条件については了承していたので、ホームを出されることに異存はありません。問題は、1000万円の入居一時金が、たった半年暮らしただけで、一銭も戻って来ないことです。老後の財産のほとんどをつぎ込んでしまったので、今後、どう暮らせばいいのやら」

国民生活センターによれば、有料老人ホームの約7割が月々の賃料とは別に入居一時金を徴収している。
「そのうちの15%は、退去時に入居一時金を一切返還していないといいます。その分、賃料を安く抑えていると主張する会社もありますが、実態は不透明です」(前出・全国紙記者)

さらに、「悪質な例では、入居者を意図的に要介護状態にさせ、入居一時金だけ奪って、追い出すホームもあるようです。自力で歩ける高齢者にも、強引に車椅子を使わせ、筋力を落として、要介護にさせるといいます」(前同)
財産のみならず、命まで危ないのだ。
また、持ち家を"終(ついえ)の住処(すみか)"と決めた際に注意したいのが、テレビCMでもよく目にする"リバースモーゲージ"だ。
「自宅を担保にお金を借り、死後に売却して返済するのが基本的な仕組みです。借入金で旅行三昧できるなど、夢のあるサービスで、銀行や大手住宅メーカーが手掛けています」(情報誌記者)

某地方都市に住む佐藤敏夫夫妻(70代)は、これに手を出したばかりに、大変な目にあったという。
「一括で限度額まで借りたところ、自宅の担保価値が下がったとして、その差額300万円を請求されたんです。余裕がないから借金しているのに、払えるわけがありません」(佐藤さん)
自宅が抵当に入っているため、まだ元気なのに、家から追い出されるという危機に瀕している。
犯罪社会学を研究する、国士舘大学大学院の加藤直隆教授は、こう注意を促す。
「本当にオイシイ話なら、人には勧めません。最近では、東京五輪に便乗した儲け話など、老後マネーを食うネタは時流を見て、次々に登場します。大手銀行にしても、かつて"変額保険"なるものを売りまくって多くの被害を出したように、一流と言われる企業だって信用はできません」

一歩間違えば一文無し。老後マネーを狙うワナは、かくも恐ろしいのである。

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.