日刊大衆TOP 娯楽

【武豊】GⅠ勝ちはなくとも忘れられぬ名馬

[週刊大衆02月16日号]

人生に役立つ勝負師の作法 武豊
GⅠ勝ちはなくとも忘れられぬ名馬


ねがはくは
花のもとにて
春死なん
そのきさらぎの
望月のころ

2月……この時期になると、一頭のサラブレッドを思い出します。生涯成績は全6戦で、1着3回、2着1回、着外2回。GⅠはひとつも勝っていません。

その名を歴史に残したのは、「日本馬で初めてケンタッキー・ダービーに挑戦した馬」ということ。僕の中では、間違いなく名馬の一頭としてその記憶が鮮やかに残っています。ヤンチャで、タレ目の芦毛馬、スキーキャプテン。彼は、世界への道を拓いてくれた最高の相棒でした。

父は、アメリカで人気の高かった種牡馬、ストームバード。母は、当時アメリカで暮らしていた社台ファームの吉田照哉さんが自家生産したスキーゴーグル。
半姉には、仏GⅠ「ムーラン・ド・ロンシャン賞」を制したスキーパラダイスがいて、生まれたその瞬間から、「ケンタッキー・ダービー」を走るという大きな夢を背負っていました。

デビュー戦は、1994年10月9日、阪神の芝1600メートル。単勝1・3倍という圧倒的な1番人気を背負った彼は、ここで、いきなり度肝を抜くような走りを見せてくれました。

前半は後方待機。最後の直線で一気に末脚を爆発させると、最後は測ったように先頭を走る馬を差し切ってみせたのです。走ることはわかっていましたが、まさかあれほど凄いとは思ってもいませんでした。

続く2戦目、「京都3歳S」も、派手なパフォーマンスで連勝を飾り、3戦目、GⅠ「朝日杯3歳S」へと順調に駒を進めました。
単勝人気1.0倍つかまって勝利!

このレースで優勝したのは、後にカネヒキリ、サダムパテック、イスラボニータなどを生むことになるフジキセキ。しかし、スタートで出遅れながら、そのフジキセキをクビ差まで追い上げたスキーキャプテンの能力の高さは世代トップクラスで、覇権を争えるだけの器を持っていました。

乗りやすい馬か、乗りにくい馬かと問われたら、間違いなく後者です。でも、あの凄い脚を殺してまで乗りやすい馬にするというのは本末転倒です。
どんなレースでも、誰が相手でも、勝負は最後の直線――それが彼の真骨頂で、それを120%見せつけてくれたのが、今週末、京都競馬場で行われるGⅢ「きさらぎ賞」(芝1800メートル)の舞台でした。

単勝1.0倍。レース後、勝利ジョッキーインタビューで、「今日はただ馬につかまって、直線に向いてゴーサインを出しただけでしたね」と話しましたが、正真正銘、僕はただつかまっていただけでした。

今年、このレースで僕の相棒を務めてくれるのは、サンデーレーシングのポルトドートウィユ。初めてのコンビになりますが、父ディープインパクト、母ポルトフィーノは、どちらも力を知り尽くした戦友です。
ここをステップに、三冠クラシックへ――負けられない闘いです。



■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】GⅠ勝ちはなくとも忘れられぬ名馬

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.