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第43回 中国人は「イスラム国」の日本人人質事件をどう見たか?


「イスラム国」の人質になっていた日本人ジャーナリストの後藤健二さんが無惨にも殺害されたニュースは、中国でも大きなニュースとして伝えられている。尖閣諸島をめぐるイザコザが起きて以来、日本関連のニュースの取り扱いには慎重だったあの国営のCCTV(中国中央電視台)が、北京の日本大使館前で急きょリポートをしたくらいだ。

ただ、この人質事件を中国人に向けて最も早く発信したのはこの私。イスラム国が72時間の期限を設けて日本政府を脅した時、いち早く中国版ツイッターの微博(ウェイボー)で発信したら、何と154万人に読まれた。

中国人は戦争で苦しむ女性や子供、老人など弱い立場の人々のため、危険を恐れず活動した後藤さんを評価している。もちろん「目立ちたいだけじゃないのか?」という意地悪な意見もある。しかし、何より彼が最後の瞬間まで尊厳を失わなかったことが、中国人を感動させている。

ただ、中国人が強く関心を持つのは、彼らにとってもこのニュースは他人事ではないからだ。
中国はウイグル問題を抱えている。一部の過激化したウイグル族のテロはずっと中国社会にとって脅威になっているし、最近では300人以上のウイグル族がマレーシア経由で第三国に出国し、イラクやシリアでイスラム国に参加していることが分かった。イスラム国で「勉強」した彼らが中国に帰れば、何をするか分からない。

今回の事件をきっかけに、日本では自衛隊の海外派遣をめぐる議論が起きている。中国メディアから警戒する声も出ているが、どちらかと言えば抑制的だ。個人的には、もし私が日本人でイスラム国に拘束されたら、自衛隊に助けにきてもらいたいと思う。中国政府やメディアがおとなしいのは、中国人が同じ状況になった時、人民解放軍を派遣するための布石かもしれないが……。


李 小牧(リー・シャム) プロフィール
1960年8月27日
中国湖南省長沙市生まれ
バレエダンサー、文芸新聞記者、貿易会社などを経て、留学生として来日。東京モード学園に入学する。ファッションを勉強する傍ら、新宿・歌舞伎町に魅了され、「歌舞伎町案内人」として活動。ベストセラーとなった『歌舞伎町案内人』(角川書店)などを上梓し、執筆や講演活動を展開している。マスコミ登場多数。

第43回 中国人は「イスラム国」の日本人人質事件をどう見たか?

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