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【パンチ佐藤】「闘将・上田監督は時空を超えて移動していた!?」

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パンチ佐藤の「野球が一番!」
第8回 時空を超えて移動していた!?上田監督とキャンプの裏話


2015年シーズンからBCリーグ『武蔵ヒートベアーズ』の宣伝本部長に就任したパンチ佐藤。かつての日本代表~オリックスのドラ1も、今では芸能人としての色が濃い。そんなパンチが野球界に“復帰”して改めて思ったことは「野球が一番」ということだ。今回は、闘将・上田利夫監督について、そしてキャンプを俯瞰して感じたことを、パンチ流に解説する!
      ★      ★
僕がプロ入り1年目の時、指揮をとっていたのは上田利夫監督でした。とにかく、上田監督は一瞬たりとも気が抜けない。ティーバッティング時は、バックネットの後方でこちらを見ています。

時々、「もっと強く打てんか!」という“檄”が飛んできますから、こちらはサボれない。必死で打つしかないのです。勿論、上田監督にとって選手は僕だけではありません。数分するとバックネット裏から3塁ベンチを経由、レフトポール際から出てそのままブルペンに直行します。

バッティングゲージ内で僕は上田監督が立ち去ったことを確認。ホッとしてバッティングに“余裕”が出てきた、その時、僕の後方から厳しい“檄”が再度、飛んできました。

「佐藤! もう少し強く振れんか?」

あれ!? 確か、今ブルペンの方に向かったハズなのに……。後ろにいたのです。上田監督は神出鬼没。時空を超えて移動していると言っても過言ではありません。これは、選手間でも話題になっていました。

一見、温厚そうに見える上田監督。ところが彼は日本シリーズ・ヤクルト対阪急戦でヤクルト・大杉勝男選手が放った本塁打を巡り、超猛烈に抗議した張本人。冗談抜きでヤンキーもビビる程の闘将なのです。そのため、選手は一瞬の気も抜けない。強いて抜けるとすれば、レギュラーが約束されている選手だけでしょう。
ここからは上田監督の存在だからではなく、一般的な話です。入団1年目もしくは初めて一軍キャンプに参加している若手にとって、この時期は毎日が超特急。何が何だか分からないうちに一日が終わってしまいます。

そうなってしまったら、毎日を乗り切ることに全神経を注いでしまう。技術向上が本来の狙いであるはずなのに、そこまで意識が到達できない……これでは一軍キャンプにいる意味はありません。たとえ、キツクても自分の課題をしっかり見据え、どっしり構えないと「キャンプに呑まれてしまう」。自分のペースは絶対に大事です。

高校から入団1年目のゴジラ松井(松井秀喜)君はキャンプ初日に遅刻。ある意味、このくらい大胆で太い神経を持っていないとプロでは通用しないのです。

一方の僕は、普段の約束事であっても30分前には目的地に着いている。常に「次は何があるのか」と一歩先、一歩先を考えて行動するタイプ。企業人にとっては評価されますが、プロ野球の世界では、そんなに神経を張り巡らせていたら、すぐパンクします。

象徴的なのは「昼食時間が30分」と決められていたら僕は20分で終わらせるように努めます。とはいえ、これをしたからといって、査定が変わることも首脳陣からの評価も変わりません。「30分」と言われたら、最低でも「30分」。大物は「40分」を目安で食べる……これがプロです。
プロ入り数年経つと練習メニューを見れば、力の入れどころ、抜きどころが分かるようになります。「このタイミングで着替える」「この時間は水分補給できるな」「こことここの間でタバコでも吸うか」……などなど。時間の使い方が達者になります。

その逆に入団1年目を筆頭に、若手にはその余裕が全くありません。丸一日アンダーシャツを交換できない。これは僕も経験しました。着替えのタイミングが分からないのです。その結果、汗でビッチョリ→冬空で自然乾燥→汗でビッチョリ→自然乾燥影……これの繰り返しで、練習終了時には身体が汗臭くて堪りませんでした。

ご存じの通り、一軍と二軍とでは全ての面で異なります。宿泊先のホテルなどは最たる例。一軍はグランドホテルで豪華ですが、二軍は民宿かビジネスホテルがほとんどです。使用グラウンドの“質”も違います。まさに天と地ですね。

僕はキャンプ中盤に二軍落ちが定番。ファーム行きとなり、荷物を段ボールに詰めてホテルのフロントへ行くと、決まって入れ替わりで一軍へ上がる選手と鉢合わせになる。向こうは意気軒高。こちらはため息です。

次回は、キャンプ編の最終回。コーチの先入観について書いていきますね。これは僕しか書けません。面白い舞台裏ですよ。

やっぱり、野球が一番!

パンチ佐藤(ぱんち・さとう)プロフィール

1964年12月3日生まれ
亜細亜大学から熊谷組を経て、オリックスにドラフト1位で入団。プロ野球時代、トレードマークのパンチパーマと独特な発言で人気者に。引退後はタレントとしても活躍し、2015年シーズンからBCリーグ『武蔵ヒートベアーズ』の宣伝本部長に就任した。

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