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【武豊】名勝負を演出する名脇役の存在

[週刊大衆03月09日号]

人生に役立つ勝負師の作法 武豊
名勝負を演出する名脇役の存在


ヒーローをより輝かせるために必要なのは、強いライバルの存在。そして、物語をより面白くするのは、個性あふれる脇役です。糸と糸が複雑に絡み合うほど、結末はより鮮烈な印象となって人々の心に刻まれます。
たったひとつの頂点を目指して、毎年、数多くのサラブレッドがデビューし、激闘をくり繰り広げる競馬は、こんな、最高に面白いドラマの連続です。

今回、紹介するヒーローは、第2次競馬ブームを築いたオグリキャップ。ライバルは、オヤジ、武邦彦厩舎のバンブーメモリー。そして、勝負をさらに盛り上げた名脇役が……今回、読者のみなさんに紹介したいホリノライデンです。
1985年4月3日、北海道・浦河町の日進牧場で生まれた彼がデビューしたのは、87年12月5日。手綱をとったのは、"競馬史に残る名勝負"と呼ばれる89年の「マイルCS」を制したヒーロー、オグリキャップの南井克巳騎手でした。

ドラマが大きく動き出したのは、89年5月27日に行われた「垂水S」。僕とホリノライデンの出逢いからです。彼にとっては17戦目。16戦3勝の彼とコンビを組んだ僕は、2番手から鮮やかに抜けだして勝利を手にすると、続く、GⅢ「阪急杯」では、スタートからゴールまで先頭を譲らず、重賞初勝利を挙げました。ちなみに、僕が「阪急杯」を制したのはこの一度だけ。僕にとっても、記憶に残る鮮やかな勝利でした。

その後、9月10日のGⅢ「セントウルS」は、南井騎手とのコンビで6着。10月7日のオープン「オパールS」では、再び僕とのコンビで6着。河内洋騎手とコンビを組んだ10月29日のGⅡ「スワンS」(12着)を経て、目指す最高の舞台、GⅠ「マイルCS」に駒を進めてきたのです。
脇役が後退した時激戦がスタート!

単勝1.3倍の1番人気は南井克巳騎手とオグリキャップ。僕とバンブーメモリーは、単勝4倍の2番人気。新たに村本善之騎手とコンビを組んだホリノライデンは、単勝91.9倍の13番人気でした。
勝負は最後の直線――並んだら絶対的な強さを誇るオグリを出し抜くには、馬体を合わせないことです。4コーナで早めに進出を開始したバンブーとオグリの間に、先頭集団を走っていた名脇役、ホリノライデンが脚をなくして下がってきたときが勝負です。

作戦は、完璧でした。
内を走るオグリ。下がってくるホリノライデン。進出を開始したバンブー。3頭が横一列に並んだとき、GOサインに鋭く反応したバンブーは、馬群を捌くのに苦労するオグリを尻目に一気に突き抜けていました。
最後の最後に負けたのは底力の差。それでも、ホリノライデンのアシストを得たバンブーは、勝ったオグリ同様に輝いていました。

今週末は、僕とホリノライデンにとって思い出のレース、「阪急杯」です。パートナーは、コパノリチャード。GⅠ「高松宮記念」に向けての大事なレースになります。今年はどんなドラマが待っているのか、今から胸がワクワクです。


■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】名勝負を演出する名脇役の存在

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