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快眠外来 第13回 脳のタイプで睡眠時間が違う


左脳タイプは長眠、右脳タイプは短眠で元気


快眠外来3、4、5でご登場いただいた、脳神経外科医、篠浦伸禎先生の再々、再登場~!「右脳タイプと左脳タイプでは睡眠時間が違う」というお話。いったいなぜ? どうして? そして、あなたはどっち?

先生
篠浦伸禎/しのうら・のぶさだ
1958年生まれ。医学博士。東京大学医学部卒。富士脳障害研究所、東大医学部付属病院、国立国際医療センター、シンシナティ大学分子生物学部留学を経て、2000年より都立駒込病院脳神経外科医長、2009年より同部長を務める。脳の覚醒下手術でトップクラスの実績を誇る。『どんどん脳を使う』『相性は脳で決まる』『人に向かわず天に向かえ』『逆境をプラスに変える 吉田松陰の究極脳』など、著書多数。



「私は眠りの専門家ではありませんが、脳を研究していると左脳タイプと右脳タイプでは、必要な睡眠時間が違うのではないか、と考えています」と、篠浦伸禎先生。

あのォ……、左脳っていうのは、言葉を理解したり、計算とか分析とか論理的な思考に関わっている脳ですよね? 右脳は、感情とか情緒とか、芸術に関係している…?

「そうです、そうです。人間、みな両方の脳を使っているのですが、どちらの脳をより多く使っているかによって、行動や性格が違ってくるのです」

左脳をよく使っている人は、自分の中に厳密な基準があって、それによって優劣を決めようとする傾向にあるといいます。過去から学んだことを積み上げ、厳密に実験なども重ねて、より高度なもの、品質の高いものを目指そうとします。

「発明や発見、文明の進歩にかかわる脳といえます。野球でいえば、安打数を重視するイチローは、左脳タイプといえるでしょう」

一方、右脳をよく使う人は、あれもこれもありで、さまざまなものごとを同列に見ます。多くの情報が飛び交う現実の世界に瞬時に対応して、人づきあいもよく、人や社会とバランスをとりながら調和して生きようとします。

「右脳は芸術も理解する、調和や文化にかかわっている脳。チームの勝利を重視する松井秀樹は、右脳に傾いた脳といえます」

そうした脳の使い方の違いと、眠りがどう関係しているのですか?

「左脳は、常に頭の中で論理的、合理的思考をしているので、より多くの睡眠が必要だと考えられるのです。睡眠中に、脳は昼に得たさまざまな情報や考えを整理しているからです」

たとえば、アインシュタイン。彼は毎日10時間寝ていたといいます。イチローも9時間、落合博満も現役時代に10時間寝ていたとか。ほかにタイガー・ウッズも10時間、石原慎太郎も8、9時間……。

「みな左脳タイプといっていい人たちです。私も典型的な左脳タイプで、手術を執刀する前の日は、11時間眠ります。眠ることで仕事の質を上げることができるからです」
では、右脳タイプは? 
「人を巻き込んで直感的に生きるタイプです。まわりとのやりとりからエネルギーをもらうので、多少睡眠時間が短くても元気でいられます。左脳が常に境界をはっきりさせ、物事も人間関係も細分化してはっきりさせるのに対して、その境界をあいまいにしていくのが右脳。境界がなくなると、まわりからエネルギーが入ってくるのです」

右脳タイプにはナポレオンがいますが、3時間しか寝なかったというのは伝説になっています。エジソンは両脳タイプですが4時間、またレオナルド・ダ・ビンチは4時間ごとに15分眠る、という妙な睡眠パターンだったといわれています。

右脳がまわりのエネルギーをもらうということを、自ら体験したのがジル・ボルト・テイラーという脳科学者です。

「彼女は脳出血を起こすのですが、そのとき自らの脳がどうなっていくのかを内側から観察したのです。左脳が働かなくなり、右脳の働きだけになったときに、体の境界がわからなくなっていきます。自分が大きくひろがって、全てのエネルギーと一体となり、そのときにすばらしい幸福感を味わいます。体が軽くなり、仕事のストレスが消え、平安で満ち足りた気分になったというのです。この話は脳の研究者の間ではとても有名です」

不思議な左脳と右脳の働き――。篠浦先生は、自分の脳のタイプを知って、脳の機能をレベルアップさせることで、仕事の質も人間としての質も向上し、充実した人生を生きることができる――と、多くの著書や講演で提唱しています。

自分の脳タイプを知れば、睡眠への考え方も改まりそうです。左脳タイプなら、睡眠時間をしっかりとることで、昼間の活動のレベルアップをはかる。右脳タイプなら、睡眠時間にあまりこだわらず、コミュニケーションを大切してまわりからエネルギーをもらう――。

さて、あなたは左脳タイプ? それとも右脳タイプ? 

え? 眠りの女王ヒサコはどっちかって? うーん、中途はんぱな右脳タイプ……でしょうか。左脳を働かせる計算は苦手だし、片付けや掃除もヘタ。なるようになるサ……と感覚的に場当たり的に生きているし……。でも、右脳ももっとレベルアップさせていかないと、女王として不眠の民のお役に立てませんね。それにいくら不得意とはいえ、左脳ももう少し鍛えて、しっかり進歩もしていかないと――。

(取材・文/眠りの女王ヒサコ)

快眠外来 第13回 脳のタイプで睡眠時間が違う

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