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岩井志麻子【三月】③淫猥な夢に今でも出てくる弥生さん...

ボートレース戸田
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岩井志摩子のあなたの知らない路地裏ホラー
淫猥な夢に今でも出てくる弥生さん…


収録当日の弥生さんは、小さな女の子がいると繰り返しながら本当に震えていた。

そのテレビ局は、昔は結婚式場だった。どちらにしても、小さな女の子が化けて出るのは妙だなと、芸人の春日くんは思った。女の子の正体はなんなんですか、何がいいたくて出てくるんですかと聞いても、霊能力者の弥生さんもそれはわからないと震えるだけだ。

また彼女とホテルに行きたいと、春日くんはスケベな下心も持っていたが。なんとなくそんな気も失せて、収録後はすぐに帰宅した。弥生さんも収録後は春日さんの楽屋に挨拶にも来ず、飛び出すように帰っていった。まだ桜の咲かない、暗い夜道を。

●南国風のエキゾチックな美しさの彼女が消えた

連絡先は知らせ合っていたが、しばらくはどちらからも電話もメールもしなかった。気まずさというより、二人とも何か怖さを感じていたのだ。

それでもその番組は、弥生さんの南国風のエキゾチックな美しさもあって反響を呼んだ。彼女をまた出してという要望も多く来た。プロデューサーは、来月の四月の改変期から彼女をレギュラーにと検討もしたが、彼女の出演はそれっきりとなった。
弥生さんは消えてしまったのだ。ツイッターもブログも消し、電話番号も変えていた。

春日くんは直接、霊を見たのではないが。彼の中では、霊体験をした、となってしまった。そして一度きりのまじわりだったが、弥生さんも恋人の一人として記憶した。

あれからもう三年。弥生さんと会えなくなってからも、たまに彼女は夢に出てくる。必ず淫猥な夢で、セックスをした。生々しく現実感があり、彼はいつも夢精してしまった。

不思議なことに、夢の中の弥生さんはいつも小さな女の子だった。なのに、まじわっているときだけは成熟した女になっていた。先日久しぶりにまた彼女の夢を見た彼は、忘れていた遠い昔のことを思い出した。あまり思い出したくはなかった、あのことを。


岩井志麻子(いわい しまこ) プロフィール
1964年12月5日生まれ
A型
高校在学中の1982年、第3回小説ジュニア短編小説新人賞に佳作入選。少女小説家を経て、1999年『ぼっけえ、きょうてえ』が選考委員の絶賛を受けて、日本ホラー小説大賞 を受賞。 半生を赤裸々に語るトークや「エロくて変なオバチャン」を自称する強烈なキャラクターが注目を集める。

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