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岩井志麻子【三月】④床上手で愛らしい弥生さんの正体?

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岩井志麻子のあなたの知らない路地裏ホラー
可愛らしくも床上手な弥生さんの正体?


三年前の今頃の季節だった。芸人の春日くんが、仕事で美しい霊能力者の弥生さんに会ったのは。前日に、やたら子どもっぽい体と熟女みたいな態度の彼女とまじわっていた。

それはただ一度だったが、会えなくなってからも彼女は卑猥な夢に出てきた。彼女がテレビ局で見たという、小さな女の子。夢の中の彼女はまさに小さな女の子になっていた。

先日、春日くんはまた彼女の夢を見てしまい、あれは今頃の季節だったなと思い出した。それは三年前のことでなく、もっと昔のことだった。

●あの子は成熟した女になって俺とやりたかったのかも…

まだテレビには出られず、芸人とは自称でしかなく、無為な日々を送っていた頃。ふと東南アジアに旅に出た。そこには日本のような四季はなく、いつも真夏だ。そして小さな子も働かされる、過酷な貧しさに満ちていた。

物売りや食堂の手伝いばかりではない。ずばり、体も売っていた。特にその国のある町は、若い女どころか小さな女の子をそろえた置屋が並んでいるので有名だった。
春日くんは幼女になんか興味はなかったが、現地で知り合った悪い日本人に誘われ、つい興味本位で行ってしまった。本当に、子どもとしかいいようのない女の子が出てきた。

どうしてもそんな気分にはなれない上に、その子が可哀想でならなくなった。春日くんは持っていたお金をほとんどその子にあげて、こっそりと帰った。しばらくは、あの子はどうしているかなと気になったが、次第に忘れていった。

今、春日くんは思う。テレビ局にいた小さな女の子の幽霊は、あのときの子じゃないか。テレビ局やその前の結婚式場の地縛霊じゃなく、ただ俺についてきたのではないか。

いや、その子は別もので、弥生さんこそがあの子だったというのも考えられるかもしれない。あの子は成熟した女になってから、俺とやりたかったのかもな、と。

※この物語はフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません。

岩井志麻子(いわい しまこ) プロフィール
1964年12月5日生まれ
A型
高校在学中の1982年、第3回小説ジュニア短編小説新人賞に佳作入選。少女小説家を経て、1999年『ぼっけえ、きょうてえ』が選考委員の絶賛を受けて、日本ホラー小説大賞 を受賞。 半生を赤裸々に語るトークや「エロくて変なオバチャン」を自称する強烈なキャラクターが注目を集める。

岩井志麻子【三月】④床上手で愛らしい弥生さんの正体?

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