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【武豊】騎手だからわかる「馬の適正」について

[週刊大衆04月06日号]

人生に役立つ勝負師の作法 武豊
騎手だからわかる「馬の適正」について


その馬のことを一番理解しているのは、調教師の先生や厩務員の方たちです。
一頭一頭、性格や癖を把握し、芝、ダートの適性を見極め、その馬に合った距離を絞り込んでいく――日本のレース体系は、GⅠに向けて、それぞれステップレースが組まれているので、どのレースに出走させるかによって、その後の結果に大きく影響してきます。

ただ、その一方で一緒にレースで戦った騎手にしかわからない、いや、騎手だからこそ感じる手応え、可能性というのもあります。

――ずっと芝のレースに使ってきたけど、この馬にはむしろダートのほうが合っているんじゃないか。
――走り方は短距離向きだけど、手応えからすると、もう少し距離が伸びてもいけそうだ。

そのレースの勝敗にかかわらず、乗っていて感じたことは、レース後、調教師の先生に伝えるようにしています。2007年のGⅠ「高松宮記念」を制したスズカフェニックスも、その中の一頭でした。
デビュー戦、2戦目はダート1400メートル。3戦目のダート1200メートルで初勝利を挙げると、その後は芝の1600メートルから2000メートルのレースに出走し、12戦して1着5回、2着1回、3着4回。すべて掲示板を確保するという、常に安定した成績を残していました。
このまま中距離路線で賞金を積み重ね、近い将来、GⅠの舞台に――僕自身もそう思っていました。

もしかすると、もしかするかも!?
そう感じたのは、07年1月27日に行われたGⅢ「東京新聞杯」(芝1600メートル)を勝ったときです。順当なら、次は芝1800メートルのGⅡ「中山記念」です。
路線変更が成功し見事にGⅠを勝利

しかし、確かな手応えと未知への可能性を感じた僕は、迷わず、橋田満先生にこう進言していました。
「次は距離1400メートルの阪急杯を使いませんか?」
「それって!?」
「ここでいいレースができれば、高松宮記念でも勝負になると思うんです」

時間にしてわずか2秒か3秒。橋田先生も、「おもしろそうだね」とニヤリと笑みを浮かべていました。その「阪急杯」は僅差の3着。さあ、そしていよいよ本番、「高松宮記念」です。初めての1200メートル。未体験の重馬場……まるで不安がなかったと言えば嘘になりますが、迷いはありませんでした。

道中は中団やや後ろ。それまでの戦法……後方一気ではなく、3コーナー手前から馬群の外を進出。直線入り口で先行集団を捉えると、最後は僕の想像を超える力強さで、栄光のゴール板を駆け抜けていました。

今年、この「高松宮記念」で僕のパートナーを務めてくれるのは、コパノリチャードです。
前走「阪急杯」は、最後の直線で脚が止まり6着に敗れましたが、本番に向けて、体調もアップしているようです。狙うはもちろん、90年のバンブーメモリー、05年のアドマイヤマックス、07年のスズカフェニックスに続く4度目のV。チャンスは必ずあるはずです。


■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】騎手だからわかる「馬の適正」について

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