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懐かしのSF大作が描いた未来は2015年「現実になっていた」

[ヴィーナス04月04日号]

子どもの頃、夢中になって観た名作たち……。「世界はこんなにも進歩するのか!」と心躍らせたが、多くの空想はもはやリアルに。心に残る名場面の実現度を、徹底チェック!

2015年10月21日。まもなく訪れるこの日は、大ヒットしたハリウッド映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(1989年公開)で、主人公のマーティーたちが未来にやってきた日だ。

本作はタイムマシンに乗って過去と未来を行き来するSF映画で、夢中になって観た読者も多いことだろう。公開当時は衝撃的な世界観だったが、実は現在の2015年で、実現している技術が山ほどある。
「この作品の未来で登場する液晶テレビは、現実の家庭に普及しているし、子どもたちが使用したメガネ型デバイスは、まるでグーグルグラスのよう。3Dホログラム広告も、3D映像やプロジェクションマッピングとして実現しています。極めつきはマーティーが老人に募金をお願いされるシーン。この老人が使用しているのは、iPadのようなタブレット型デバイスでした」(映画誌ライター)

タイムマシンや空飛ぶ車こそ夢のまた夢だが、ロバート・ゼメキス監督の先見性には脱帽するしかない。

現在よりも少し先の未来、2019年を描いた作品『ブレードランナー』(1982年公開)も、すぐに実現するかもしれない技術が描かれている。
本作は反乱を始めたレプリンカントと呼ばれる人造人間と、彼らを処刑する捜査官ブレードランナーの戦いを描く作品である。
レプリカントに使われている技術は記憶のインストール。彼らは人工的に記憶を植え付けられ、次第に感情を獲得していく。

ポップカルチャーに詳しいライターの九龍ジョー氏が、この技術について語る。
「米国防高等研究計画局が2014年、失った記憶を回復する技術として記憶回復デバイスを開発していると発表しました。脳に外傷を負った兵士やアルツハイマー病患者の脳に装置を埋め込むことで、記憶のインストールや復元が可能になると言われています」

人の役に立つ、なんとも素晴らしい未来技術……と言いたいところだが、この技術は倫理的問題もある。
「植え付けられた記憶が正しいかどうかとの疑念につながります。自分の思い出は、経験したと刷り込まれているだけではないか。とすれば自分はいったい何者なのか。そんな問題が生じるかもしれません」(前同)
技術が悪用されれば、擬似的な記憶を植え付けられ、誰かにとって都合のいい自分になってしまうことも!?

日本アニメの先駆けとも言える『鉄腕アトム』(1963年発表)は、2003年4月7日が誕生日とされ、続編の『ジェッターマルス』は2015年の世界だ。
手塚治虫が生んだアトムは、ロボット開発の夢と未来が詰まった存在だ。アトムを実現しようと努力する企業などは枚挙にいとまがない。今年発売されるという、ロボット開発の新たな一歩となりうる商品もある。

ソフトバンクが発売予定のPepperは、人間の感情をカメラで認識することで、生きているかのようにコミュニケーション取れる。学習機能によって性格が変わるというから驚きだ。また、アトムを兵器として見ると、それに近い兵器がすでに開発されている。

誘導システムによって正確な経路をたどり、進路を自動修正しながら対象をピンポイントで攻撃するトマホーク巡航ミサイルだ。
空を駆け、山を避けながら目標に飛翔するトマホークは、まるで『鉄腕アトム』のオープニング映像で見られるアトムのよう。もちろん手塚は、こんな戦争兵器としてのアトムの実現を望んではいなかっただろうが……。

1995年に放送され、社会現象となった『新世紀エヴァンゲリオン』も舞台は2015年。こちらもある技術が実現されつつある。
巨大な人型兵器エヴァンゲリオンと人間の感覚を繋げるA10神経接続だ。パイロットの精神とエヴァを繋げ、操縦するというもの。現実では脳波によってロボットを動かす技術であるブレイン・マシン・インタフェースが開発されている。人間が行動するときに発する電気信号を電極によって読み取り、機械を操作するという技術だ。

日本では2013年に、筋肉を動かせない患者が脳に電極を埋め込む手術を受け、アームを操作するという臨床研究が行われた。医療技術として今後の発展が期待される分野だが、無人機やミサイルへの応用も研究されている。恐ろしい話だが、リアル・エヴァも、そう遠い未来ではないのかもしれない。

90年代に人気を博したアニメ『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』(1991年放送)も2015年が舞台。近未来マシン・サイバーフォーミュラによるレーシングカー・アニメだ。時速600キロを超えるサイバーフォーミュラに匹敵するレーシングカーはまだ開発されていないが、注目すべきは、そのエンジン。
トヨタのFCVがアニメで登場!

サイバーフォーミュラに搭載されているエンジンは水素エンジン。二酸化炭素を発生させない無公害エンジンだが、どこか耳にしたことのある話だろう。
水素エンジンを使用する燃料電池自動車(FCV)はすでに開発され、2014年にトヨタが長距離走行可能なMIRAIを発表したことで一気に注目を集めている。今年2月には、トヨタ、ホンダ、日産が水素ステーションの整備に共同で取り組むと発表したばかりで、タイムリーな話題だ。

今では普通の技術を25年以上も前に予見した作品といえば、漫画『機動警察パトレイバー』(1988年発表)で、アニメと映画もヒットしている。
舞台は90年代後半から00年代の東京。作業機械レイバーの犯罪に、警察が二足歩行ロボットのパトレイバーで対抗する。斬新なのがOS(オペレーティングシステム)という概念でロボットを描いたところだ。

敵は同じ機体にもかかわらずOSがアップデートされることで、どんどん手強くなっていく。OS(ロボットの脳みそ)をハードウェア(ロボットそのもの)と同等に重要なものとして描いている。
ロボットがまるでパソコンのようであり、来るパソコンが普及する時代を見据えていたのかもしれない。

近未来SF漫画の金字塔といえば『AKIRA』(1982年発表)である。
映画もヒットした本作の舞台は、まもなく訪れる2019年のネオ東京。
主人公・金田正太郎のバイクは04年の東京モーターショーや、12年の大友克洋GENGA展でコンセプトマシンが披露された。金田バイクの性能も限定的にではあるが実現している。たとえば、今年ヤマハが欧米向けに発売する「YZF-R1M」は電子制御が盛りだくさんで、出力は200馬力と、この点に関しては金田バイクのスペックとほぼ同じである。

『AKIRA』のすごさは、その予言性にもある。
前出の九龍氏が語る。
「驚くべきは、2020年に東京オリンピックを控えているという設定を約30年前に作ったこと。現実でも2020年に東京オリンピックが開催されることが決定していますからね」

ネオ東京は、新型爆弾と第3次世界大戦の爪痕が残る場所。復興の最中に東京オリンピックを迎えるという状況は、現代の日本と重なって見える部分がある。
「『AKIRA』は、個人よりも社会や組織が優先されたバブルの時代、漠然とシステムを信仰していた社会情勢の中で描かれました。そんな状況の中でシステムを壊すのは、良くも悪くも個人の想像力であると、想像力の可能性を描いたところが秀逸でした」(九龍氏)

見えない未来を描こうと、数多の可能性を描いてきたSF作品。先行きの見えない混沌とした状況の日本を打ち破るのは、こうしたSF的想像力かもしれない。

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