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大ヒール・メイウェザーにまんまとやられた。[プチ鹿島コラム]


5月2日に行なわれたボクシングの世界ウエルター級タイトルマッチ、フロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオの世紀の大一番。

試合後もまだ世界が「揺れている」。

パッキャオが右肩の負傷を隠してリングに上がったため損害を被ったとして、ネバダ州の住民らが5日、パッキャオ陣営を相手取り、500万ドル(約6億円)以上の賠償を求める集団訴訟を起こした(時事通信)。

要は「パッキャオ勝利に賭けた」のに、ケガの情報を隠しやがってという文句である。

一方、こんな話題も。

“ジーターの後継者”トラウト、メイウェザー応援でツイッター炎上 (スポニチ)

エンゼルスのマイク・トラウト外野手はメイウェザーへの応援をツイッターでつぶやいた。すると「家庭内暴力などで過去に数回収監され、素行の悪いことで有名なメイウェザーをメジャーリーグの“顔”となるべき選手が支持するとは何事かとトラウトへの非難が集中した」という。

あの一戦をいかに多くの人々が全力で観戦したかという証明だ。
ふたりの「構図」もよかった。メイウェザーは過去の素行の悪さだけでなく、現在も高級車100台を買っていかに自分が金持ちか見せつけちゃうような嫌味な男。

それに対しフィリピンの英雄・パッキャオ。常に母国のことを思っているイメージ。ファイトスタイルは超攻撃的で「負けるときは前のめりに」とでもいうようなスタイル。

見る側は感情移入しやすい。私もパッキャオを応援した。

しかし試合はメイウェザーが鉄壁なディフェンス技術で判定勝ち。試合の最後は自身の勝利を確信してガッツポーズまで披露し、小憎らしいまでの振る舞い。

「パッキャオのほうが面白かったぞ!」と一瞬イラッとしてしまったが、しかしよく考えたらこれぞメイウェザーの狙いなのかも、と思い直した。

完璧すぎてともすれば「面白くない」とも言われてしまうメイウェザーのファイト。

ではどうすれば観客を「ヒート」させることができるか。リング以外で破天荒になるしかない。高級車100台買っちゃうのはプロとしての振る舞いだったのかも。「あいつが負けるところを見たい」。観客にそう願わせて会場に足を運ばせる。金を落とさせる。全力のブーイングを浴びる。

なんて王道の「いいヒール」なんだ。大ヒール・メイウェザーにまんまとやられた。

こういう言い方はヘンだけど、懐かしいプロレスラーを見た思いでした。


プチ鹿島
PROFILE
1970年5月23日生まれ。お笑い芸人。オフィス北野所属。時事ネタを得意とする芸風で、新聞、雑誌などにコラムを多数寄稿。ラジオ番組「東京ポッド許可局」(TBSラジオ)、「荒川強啓のデイキャッチ」(TBSラジオ)、「キックス」(YBS山梨放送)ほか、TVや映画など多方面で活躍中。





「教養としてのプロレス」(プチ鹿島/双葉社)
2014年8月7日発売 新書判304ページ





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ブログ:http://orenobaka.com/
ツイッター:@pkashima

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