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みんな大好き!「そばVSうどん」50の秘密

[週刊大衆05月25日号]

ズズズッとすすってみたら、あら不思議。おいしすぎる和風だしの麺"二大巨頭"の魅力に迫ってみましたゾイ。

"奇跡の大復活!!"とは、東京・神田の老舗そば店『かんだやぶそば』のことだ。
「1880年創業と130年以上の歴史を持つ同店ですが、2013年2月、火災が発生して木造2階建ての建物が半焼。営業停止を余儀なくされていました」(全国紙文化部デスク)

(1)食通で知られる作家・池波正太郎も愛した同店は昨年10月、鉄骨造りの新たな佇まいで営業を再開していたのだ!

本誌取材班も足を運ぶと、午前11時半の開店を前にして十数人がゾロゾロ行列。
店内に案内されると、「せいろ~、にま~い」と、厨房に注文を告げる、名物女将の独特な声が店内に心地よく響く。
「(2)やぶそばは、内地産で最上級の粉を使った鶯(うぐいす)色のそば、コクのあるつゆが特徴。つゆが少し濃い目なので、(3)そばを半分ほど、つゆにつけて食べる。すると、そばの香りと鰹節のだしが、お互いを引き立て、一番おいしく食べられます」(グルメ誌記者)

ということで、せいろをいただきます……香りも贅沢で、つるつるでうまい!
「(4)わさびをつゆに溶かさず、箸先につけて、そばと一緒に食べるのもいいですよ」(同記者)

本当かと思いつつ、やってみると、確かに美味!
「(5)通なオーダー法としては、"天抜き"なんてのもあります。天ぷらそばの、そばを抜いたもの。つまり、揚げたての天ぷらに、つゆをかけたお吸い物のような逸品ですね」(同)

頼んでみたら、つゆにヒタヒタの芝海老のかき揚げが登場。重さもなく、胃がホックホクあたたまる。
「前に見たお客さんは、(6)とろろそばを、とろろだけを先にもらって、とろろと日本酒で一杯やったあと、かけそばを食べてサッと出ていきました」(同)

そばは、なんとも奥深い。
本誌連載「極うま麺」でおなじみのフードジャーナリスト、はんつ遠藤氏は、
「昨今、伝統的な製法で丁寧に作られた、古き良きそばの素晴らしさが再評価されています。(7)老舗と言われる日本そばの店は、どこも盛況です」
としながらも、
「つゆにラー油の入った、辛めのつけ汁に太めのそばをつけて食べる(8)"辛いつけそば"というのが、全国的に広がりつつあるんです。元祖は、虎ノ門の『港屋』。02年のオープンから13年が経っていますが、今でもお昼時は100人もの行列ができる人気店です」

その味とは、いったい!?
東京に多数ある同様の"辛いつけそば"の店に行き、ズズッと試してみた……おっ、ラー油がピリッと効いたつけ汁に、太麺がしっかり絡む。量もあって、満腹感バツグン!!
とはいえ、
「そばは食った気がしねえ。うどんだ、うどん」(本誌編集部員= 36)というように、ワイルドな妙味が魅力なのが、うどんだ。
「『丸亀製麺』『はなまるうどん』など、外食産業の大手チェーンが参戦し、(9)2000年頃から"セルフうどん(自分で料理を受け取り、食器を返すうどん店)"が全国で爆発的に広まりました。テレビCMの効果もあってか、(10)『丸亀』は全国800店に迫る勢いで店舗を拡大。絶好調ですね」(外食産業担当記者)

冷やしうどんに、半熟卵、ねぎ、生醤油をぶっかけて、ずぞぞっと一気にかきこむ……これを至福と言わずして何と言うのか。ちなみに(11)讃岐うどんを出す『丸亀』だが、本社、1号店は兵庫県神戸市。なんでも(12)社長が香川県出身だそう。
「でも、うどんは関西のもの。各地方、特色があるけど、うどんと言えば関西!」(大阪在住カメラマン)

わかったよ……というわけで、"絶品大衆飯タウン"兵庫県は三宮へ突撃。風俗店、キャバクラ、サウナなどがひしめく中、地元で人気の"町のうどん屋さん"へ入店。なべ焼きうどんをいただきます……薄味で、麺も適度にだらしなくて、ハフハフ言いながら食べたこれが本当にうまかった。

そばVS うどん、優越なぞはつけがたい。そこで本誌は今回、独自アンケートを実施。「そばorうどんどっちが好き?」「好きなトッピング」「好きな店」を関東と関西で分けて聞いたが、(13)関東はそば、関西はうどんと結果は明快。(14)トッピングも差が歴然。なお(15)関東は「好きな店」に50人中7人が『小諸そば』、(16)関西は50人中10人が『丸亀製麺』と回答。他の「好きな店」はバラバラだった。

そもそも、なぜ関東はそば、関西はうどんなのか?
「(17)江戸時代前期にはまだ、そばが普及しておらず、江戸も大阪も麺類は、うどんが中心。次第に江戸は、そばが中心になったようですが、(18)関東は寒冷地に強いそばのほうが栽培しやすかったのが一因と言われてます」(前出のグルメ誌記者)

つゆも東西で色から違う。
(19)関東では濃口しょうゆ、関西では薄口しょうゆを使うためとはよく知られた話だが、それだけではない。
「水の硬度が高く、昆布でだしが取りづらかったため、(20)東京では鰹節でだしを取り、旨味を補うために濃口醤油を使った。(21)関西では昆布と何種類かの鰹節でだしを取り、醤油はあくまで風味づけで、薄口醤油なんです」(同記者)
関西の薄味のだしをいただきます……昆布が効いて、滋味深くてグッド。一方、関東のだしは、かき揚げに染みてナイス。西も東も、そばもうどんも大好きだ!!

他方、「きつね」「たぬき」という言葉も、東西で大きな違いがあるという。
「関東には、"きつねうどん""きつねそば"がありますが、(22)関西では"きつね"と言えば、味つき油揚げが載ったうどん。"たぬき"と言えば、油揚げの載ったそば、つまり関東で言う"きつねそば"を指します。(23)関東で"たぬき"を意味するトッピングは、天かす(揚げ玉)ですが、関西では"ハイカラ"と呼ぶ文化がありました」(前出の外食産業担当記者)

とはいえ、最近の(24)関西人は「そんな使い分けはしない」んだそうで……。
空海はうどんで庶民を救った

"みんな大好き!"そば、うどん。どのような運命を辿って現在に至るのか?
まずは、そば。(25)初めて文献に登場するのは、797年の『続日本紀』。そばは(26)収穫まで2~3か月と短く、土地も選ばず気候の変化に強いため、(27)天皇からも栽培を推奨されたという。
「ただ、当時のそばは、そば粉をこねて餅状にしたもので、今で言う"そばがき"や"そばもち"に近いもの。(28)麺の形になるのは18世紀の俳文集『風俗文選』に登場する"そば切り"が最初。(29)そば切りの元祖は、信州そばで、これが甲州街道や中山道を通り、江戸に伝えられたとのこと」(食番組担当ディレクター)

だが、高知県内では、(30)9000年以上前の遺跡から、そばの花粉が発見され、そばの栽培が行われていた可能性も。なんたる歴史!

一方のうどんは、起源について、そば以上に諸説あり。有力なのは、(31)小麦粉から作られた、あん入りの団子"こんとん"が奈良時代に中国から伝来した、という説。この"こんとん"を温かい汁に入れて食べるようになり、(32) "こんとん"→"おんとん"→"うんとん"→"うどん"と名称を変えていったという。
「今も(33)讃岐地方の雑煮は、甘い汁にあん入りの団子を入れて食べるという風習が残っています。(34)弘法大師・空海が唐の国からうどんの製麺技術を伝え、貧しい人々を救ったという伝説もあります」(同ディレクター)

なんたること。
他に、(35)平安時代の漢和辞典『新撰字鏡』に登場する"牟義縄(麦縄)、鎌倉時代に中国から博多経由で伝わった"切り麦"が、うどんの始まりと信じられる地域もある。
「ただ、現在のように、(36)鰹節のだし、醤油味のつゆで食べるようになったのは、元禄(1688年)以降のこと。それ以前は、いわゆる(37)"味噌煮込みうどん"が主流でした。(38) 天ぷらうどんや鴨南蛮うどんは、江戸時代中期から後期にかけて開発されたものだそう」(フードコンサルタント)
武蔵野うどんをずるずるっと

麺類に歴史あり。そばもうどんも、全国各地に郷土料理として深く根づいているのは周知のとおりだろうが、うどんは驚くほど多種多様。(39) 「三大うどん」の香川の讃岐うどん、秋田の稲庭うどん、群馬の水沢うどん(時に長崎の五島うどん、富山の氷見うどんが数えられる)以外に、
「刻みねぎと卵黄、甘みのあるタレをかけて食べる(40)宮城の"甘ったれうどん"、牛の小腸(ホルモン)の細切れを揚げた"油かす"を入れた(41)大阪の"かすうどん"。麺が柔らかく、(42)ごぼう天と食べるのが定番の博多うどん、(43)きな粉と食べる"やせうま"も、大分ではよく食べられています」(経済誌食担当記者)

(44)極太なのにフニャフニャの伊勢うどん、そして今、(45)全国的にブームとなっているのが、武蔵野うどんだ。
「東京都の多摩地域と埼玉県西部に伝わるうどんです。"肉汁つけうどん"など、コシが強い太麺を、あたたかい肉汁につけて食べるスタイルが人気を集めています」(前出・はんつ氏)

武蔵野うどん、いただきます。ずるずるずっ……これはうまい! 肉のだしも濃いつゆと絶妙にマッチ!

かたや、そばも負けてない。(46)長野の戸隠そば、島根の出雲そば、岩手のわんこそばの「三大そば」の他、
「(47)青森には、つなぎに大豆が使われる津軽そばがあるし、(48) 新潟には、つなぎに布海苔を使用したへぎそば、(79)つなぎに大量の自然薯を使った鹿児島の薩摩そばはコシがすごい。(50)長野には、しゃぶしゃぶのように食べる"とうじそば"なんてのも」(前出の経済誌食担当記者)

しゃぶしゃぶ!? というわけで、長野県木曽町へ行ってみた。あったかいつゆを火にかけた土鍋で、そばを湯がき、細切れにしたカブの漬物"すんき"とともに、ズズッといただきます……ああ、酸味も効いていて、心底しみます。うまいっ!!

ほんと、仕事場に戻りたくないな――。

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