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「底が丸見えの底なし沼」北朝鮮ニュースの見方とは?[プチ鹿島コラム]


プロレスは「客席から見えてるようで何も見えてない」ことが往々にしてある。かつて「週刊ファイト」の名物編集長だった井上義啓氏は「プロレスは底が丸見えの底なし沼」と名言を吐いた。

リングは四方からすべて見えているはずなのに「真ん中」が見えないのだ。

最近なら「世IV虎 vs 安川惡斗」戦だろうか。いったいどういうワケでああいう凄惨な試合になったのか。真相は語られることがないからこそ、100人のファンがいたら100通りの見方、考え方が出てくる。いろんな解釈を聞きたいという欲望がある。リテラシーや複眼的な見方と言えばカッコイイが、野次馬の「性癖」なのだと思う。

さて、最近「真ん中」が見えないと言えば北朝鮮のニュースだ。

ちょっと並べてみただけでも、

・北朝鮮、今年に入り高官15人を処刑か 韓国情報機関(CNN・04.30)
・金正恩氏がロシア訪問を取りやめ 国内事情に関係か(CNN・05.01)
・北朝鮮が人民武力相を公開処刑、高射砲で射殺 - (TBS News ・05.14 )

などたくさん。

「いったいどうなってるの?」とザワザワする。とくに軍ナンバー2の人民武力相は、実は処刑されていないという情報も出るなど、何が何だかわからない。

ひとつだけ確実なのは、ああいう秘密の国であるかぎり、外側にいる我々は真相を知ることはできないということだ。専門家も見立てを述べるしかない。
そこで私は「荒川強啓デイキャッチ!」(TBSラジオ)で、3人の専門家(ルポライター・新聞記者・大学教授)に聞いてみた。

同じ質問を3つ。

1・人民武力相の粛清は本当?

2・ロシア訪問のキャンセルをどう見ればいいのか?

3・今、北朝鮮では何が起きているのか 金正恩の暴走か?

この3問、きれいに見解が分かれたのである。

問1の「粛清は本当か」については、「韓国の国家情報院(情報機関)がつかんだ情報だから間違いないだろう」という意見と、逆に「国家情報院はガセをつかまされたのかもしれない」という意見も。北朝鮮が、恐怖政治と発言した韓国大統領を非難したが、粛清については否定しなかったことから「粛清は本当なのでは」という見立てもあった。

問2の「ロシア訪問キャンセル」については、「国を留守にしている間のクーデターが怖いから急遽キャンセルした」という見方があれば、「金正恩の外交デビューはまだ早い。ロシアが発表しただけで北朝鮮は最初から行くつもりはなかったのでは」という見解もあった。

問3の「金正恩の暴走か」については2人が「誰も信じられない不安な証拠かも」と言えば、残りの1名は「そもそも北朝鮮の政治手法はそんなもの」という答え。

専門家でもいろいろ見方が異なる答えで非常に興味深かった。誰が正しいのかわからない。それなら、いろんな角度や可能性を頭に入れたほうがいい。

そういえばアントニオ猪木が北朝鮮の専門家でもあるというのは、なにか非常に示唆的ではないか。

どちらも「底が丸見えの底なし沼」なのである。



プチ鹿島
PROFILE
1970年5月23日生まれ。お笑い芸人。オフィス北野所属。時事ネタを得意とする芸風で、新聞、雑誌などにコラムを多数寄稿。ラジオ番組「東京ポッド許可局」(TBSラジオ)、「荒川強啓のデイキャッチ」(TBSラジオ)、「キックス」(YBS山梨放送)ほか、TVや映画など多方面で活躍中。





「教養としてのプロレス」(プチ鹿島/双葉社)
2014年8月7日発売 新書判304ページ





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ブログ:http://orenobaka.com/
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