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【岩井志麻子】格安風俗店のサツキvol.4 写真の中年女性が雇ってくれと…

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岩井志麻子のあなたの知らない路地裏ホラー
格安風俗店のサツキvol.4 写真の中年女性が雇ってくれと…


その女性編集者は仕事は何でも楽しむが、オカルト的なものだけはいつまでも苦手だった。彼女自身は霊感などないというが、たまにこれは危険と感じるときもあるそうだ。

ある格安風俗店で店長に聞かされたサツキという女の話も、そこに含まれた。要約すれば、ちょっと心の状態がアレな子が不意にいなくなった、そんな話だ。サツキが普通の女子大生やOLや主婦なら、行方不明なんて一大事だが。

風俗業界では、ありふれた話となってしまう。そこのところも、怖いといえば怖い。

サツキがいなくなってから1カ月ほど過ぎた、五月の終わり。女性編集者は店長に電話をもらった。そこで聞いた話は、彼女を凍えさせた。夏も近いというのに。

「昨日、五十くらいの女が雇ってくれと来たんです。ごく普通のオバサンだけど、どこかで見たことあると考えて、あっと思い出しました。サツキの写真に写ってたオパサンです。うちの履歴書の、霊が見えるか見えないかの項目は、“見える”に○してました」
「僕は、聞きました。あなた娘さんいないですか、って。そしたら、息子しかいないと答える。例のサツキの写真を見せました。するとオバサン、この写真には自分と息子しか写ってないという。ともあれ、この男の子は息子だけど、隣に女なんていないという。

サツキは、写真にオパサンが見えない。オバサンは、写真にサツキが見えない。どちらも、ばっちり写っているのに。そしてオパサン、この店にも霊がいるなんていう。

それから、トイレ貸してといって廊下に出て、それっきり帰ってきませんでした。

なんだろう。サツキが死んでいるのを知ってて、会いに来たのかな。まさかサツキの死、いや、行方不明なことにオバサン関わってないだろうなぁ……。ま、こういう女性たちを怖がっていては、風俗店なんてやってられないですけどね」

※この物語はフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません。

岩井志麻子(いわい しまこ) プロフィール
1964年12月5日生まれ
A型
高校在学中の1982年、第3回小説ジュニア短編小説新人賞に佳作入選。少女小説家を経て、1999年『ぼっけえ、きょうてえ』が選考委員の絶賛を受けて、日本ホラー小説大賞 を受賞。 半生を赤裸々に語るトークや「エロくて変なオバチャン」を自称する強烈なキャラクターが注目を集める。

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