日刊大衆TOP コラム

【岩井志麻子】好色OL殺人事件vol.1 早百合ちゃんがセピア色に…

ボートレース戸田
https://www.boatrace-toda.jp/
GⅢ 戸田マスターズリーグ第10戦・週刊大衆杯

1isii1

岩井志麻子のあなたの知らない路地裏ホラー
好色OL殺人事件vol.1 早百合ちゃんがセピア色に…


「あの暑い日々。考えてみれば、あのときの彼はまだ人殺しじゃなかったんです」

ライターをしている涼風くんは、夏休みののどかな思い出を語るように話してくれた。

「でも今のぼくの中では、人殺しと飲んだことある、となっていますね」

涼風くんは大学生の頃、いわゆるバックパッカーとしてアジアの某国に行った。

ゲストハウスと呼ばれる安宿の一軒に泊まっていたら、そんな日本人たちが多く集まる食堂でイチさんと呼ばれる日本の男に声をかけられた。薄毛の中年だが、精神年齢は若かった。

彼は、先輩バックパッカーというより、年季の入ったアジア沈没組だった。彼らはたいてい日本で短期間の重労働をして稼ぎ、物価の安いアジアに来てビザと金が切れるぎりぎりまでいて、安酒と商売女に溺れる。そしてまた日本で稼いで……その繰り返しだ。
こうはなりたくないと思いつつ、ここでは輝いてる人なんだなイチさん、とも思った。
「でも、イチさんちょっと他の仲間とは違ってました。安宿街でぶらぶらしてんだけど、付き合うのは男も女も日本人旅行者だけでした。ぼくと出会ったときは、ロリ巨乳の東京出身OLといい仲になってました。確か早百合ちゃんといったっけ。

早百合ちゃんのあのときの声が大きくて、薄い壁の向こうのぼくら、大変でしたよ。

エロい早百合ちゃん、他の男とも遊んでました。いわゆるヤリマンですね。別のゲストハウスの男と、郊外のビーチに泊まりに行ってたりしてた。でもイチさん、あんまり気にしてないふうでした。イチさんもさっさと、別の日本人女をひっかけてたし。

そんなある日、ゲストハウス近くのバーに行ったらイチさんと早百合ちゃんが並んでビール飲んでた、と見えたんです。それがなんというか、早百合ちゃんに色がないんです。

うまくいえないけど、写真に撮ったら彼女だけセピアに色あせてた、みたいな」


岩井志麻子(いわい しまこ) プロフィール
1964年12月5日生まれ
A型
高校在学中の1982年、第3回小説ジュニア短編小説新人賞に佳作入選。少女小説家を経て、1999年『ぼっけえ、きょうてえ』が選考委員の絶賛を受けて、日本ホラー小説大賞 を受賞。 半生を赤裸々に語るトークや「エロくて変なオバチャン」を自称する強烈なキャラクターが注目を集める。

【岩井志麻子】好色OL殺人事件vol.1 早百合ちゃんがセピア色に…

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.