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【武豊】 騎手の身近でサポートする大切な仕事とは

[週刊大衆07月13日号]

ボートレース戸田
https://www.boatrace-toda.jp/
GⅢ 戸田マスターズリーグ第10戦・週刊大衆杯

人生に役立つ勝負師の作法 武豊
騎手の身近でサポートする大切な仕事とは


"バレット"という仕事を知っていますか?

競馬開催の当日、騎手の仕事は鞍の準備から始まります。レースごとに斤量が違いますから、まず、これがひと苦労。馬の背中と鞍の間に敷くスポンジ、腹帯を揃えて前検量へ。

7着以内に入ったら後検量があり、優勝すると、口取りの記念撮影や表彰式が待っています。そこからパドックに走り、本馬場入場からまた次のレースへ。1日12レースに騎乗するときは、かなりのハードワークです。

そこで生まれたのが、そのレースで使用する鞍などをあらかじめ準備したり、汚れた鞍をきれいに掃除してくれたり、勝負服を揃えてくれたりと、騎手のサポートをしてくれるバレットという仕事です。

雇用契約はJRAとでなく、騎手個人。1人で数名の騎手の掛け持ちをしている人もいます。僕が初めてこのバレットの存在を知ったのは、アメリカでした。

レース後、自分で鞍を外し、汚れを落とし、ようやく次のレースの準備を始める頃、バレットがいる騎手は、すべてを終えて臨戦態勢に入っています。

――なんて、いい制度なんだ。これは日本にも取り入れなきゃ。
新しいもの、便利なもの、優れたものには、すぐにアンテナが反応します。

気にし始めたらきりがないので、験は担ぎません。でも、負け続けたり、ここ一番の大勝負のときなどは、やっぱり腹帯をどれにしようかなどと、つい考えてしまいます。

そういう負担をなくすことができるなら、これは最高の制度です。
バレット見習いで学んだ大切なこと

制度が認められ、僕が初めてバレットと契約した当初は、懐疑的な目で見ていたほかのジョッキーたちも、次々に導入。

最初はみんな手探りでしたが、時間の経過とともに関係が密になり、かゆいところに手が届くというか、単に騎手のサポートをしてくれる人ではなく、最も身近にいるチームの一員としてなくてはならない存在になってきました。

――ん!? あれっ?
ここまで書いて思い出したことがあります。

あれはまだ僕が、"あんちゃん"と呼ばれている頃のことです。河内騎手の馬具の手入れも僕の仕事のひとつ。今で言うバレットの見習いのようなものですが、指示される通りに用意していくと、「前にあの馬に乗ったときも、この鞍を使っていたな」とか、「この馬のときはいつもアブミが短い……」とか、気づかされたことが多々ありました。

言葉であれこれ言うのが苦手だった河内さんは、ひとつひとつ、日常の作業を通して、僕自身に考える環境を作ってくれていたのかもしれません。きっと、いや、絶対にそうです。

調教でも、騎乗でも、道具でも、自分の頭で考え、いいと思ったことは遠慮せずにどんどん盗め。河内さんが背中で教えてくれたことは、今も武豊の根っこであり、とても大切な財産です。


■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】 騎手の身近でサポートする大切な仕事とは

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