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日本人なら見習いたい「天皇陛下の健康ごはん」

[週刊大衆07月13日号]

日本人なら見習いたい「天皇陛下の健康ごはん」

超豪勢なフルコースを毎食召しあがっているかと思いきや、その献立は意外にも庶民的でむしろ質素だった。

大正から昭和期に、宮内庁で"主厨長"を務めた人物をモデルにしたドラマ『天皇の料理番』が好調だ。
「1978年に発表された同名の小説のドラマ化はこれで3度目ですが、今回は『TBSテレビ60周年特別企画』だけあって、局もかなりの力の入れようです。視聴率も尻上がりに伸びていて、6月21日放送の第9回は、これまでで最高の16.7%をマークしました」(テレビ雑誌記者)

このヒットで再注目されているのが、天皇陛下の普段のお食事。
天皇皇后両陛下のお食事を作っているのは宮内庁管理部大膳課の厨司たちで、
「大膳とは皇室の食事全般を担当している部署で、料理人は厨司と呼ばれる国家公務員です。大膳課は5つの係に分かれていて、第一係は和食、第二係は洋食、第三係は和菓子、第四係はパンと洋菓子、第五係は東宮御所担当となっています。厨司と配膳、その他の事務を担当する主膳と合わせて約50人の職員が働いています」(皇室ジャーナリスト)

料理は主厨長と副厨長が両陛下のご公務などを勘案しながら、2週間分の献立を考える習わしだという。
「きっと、普段から山海の珍味を集め、贅を尽くした料理を召し上がっているに違いない」

中には、そう思い込んでいるお父サンもいるかもしれない。だが、実は"天皇陛下の食卓"は至って質素。それでいて必要にして十分な栄養素が摂れる健康食・長寿食でもあるのだ。
医療ジャーナリストの牧潤二氏が、こう解説する。
「近年、和食は長寿食として世界で注目されていますが、"1975年頃の日本人の食生活が最も健康によい"という説があるんですね。天皇陛下のお食事は、それに近いものがある。まさに"健康ごはん"です」

天皇陛下のお食事というと、国賓を招いた宮中晩餐会などでお召し上がりになるフランス料理のフルコースを思い浮かべがちだ。だが、それはあくまで相手をもてなすための特別な食事。
普段のお食事は、
「ご朝食に関しては昭和天皇の時代からオートミールやシリアル、トーストに野菜サラド(サラダ)など、軽めの洋食をお取りになるのが常だそうです。ご昼食とご夕食は、昼が和食なら夜は洋食といった具合に、和洋交互にバランスよくお召し上がりになっているとか」(前出の皇室ジャーナリスト)
「普段の献立は一般家庭でも」

なお、両陛下が口にされる料理の食材のほとんどは栃木県高根沢町にある宮内庁御料牧場で生産されている。東京ドーム54個分(約252ヘクタール)の広さがある御料牧場では牛、豚、鶏、羊が放し飼いにされており、新鮮な牛乳、バター、ヨーグルトの他、ハム、ベーコン、ソーセージなども作られている。
「また、野菜は無農薬の自然栽培で、肥料は馬の堆肥に有機肥料を混ぜたものを使用しているとか。もちろん調味料はすべて天然物で、化学調味料は一切使いません。ただし、魚だけは新鮮な旬の食材を築地の魚屋さんから取り寄せています」(女性誌皇室担当記者)

意外なことに、食卓に提供されるのは、マグロ、タイ、ヒラメなどの高級魚よりも、アジ、イワシ、サンマといった大衆魚のほうが多いくらいだという。
料理研究家の新井陽子さんが解説する。
「陛下が召し上がるものと同じ品質の食材は、私たちにはなかなか入手できませんが、普段の献立自体は一般の家庭でも作れるようなものばかりです」

ある日の陛下の料理を、新井さんに家庭料理としてアレンジして、再現してもらった。なお、参考としたのは、『昭和天皇と鰻茶漬』(谷部金次郎著・河出文庫)だ。
「今回作ったのは、カレイの竜田揚げ、滷肥肝(るいちんかん ※レバーのあんかけのこと)、白花豆と昆布の味煮、カマスの吸物、麦ご飯です。ウリの奈良漬は市販のものを使用しました。実際に作ってみると、思っていた以上に、栄養のバランスが取れた料理であることに驚きました。塩分は控えめだったそうなので、味付けはあっさりした京風にしましたが、高タンパク低カロリー。野菜も豆類も海藻類もしっかり摂れています。麦ご飯も、白米よりミネラルなどが豊富なのでお勧めです」(新井さん)

昭和天皇は麦ご飯を常食にされていたが、
「戦後、食料難に苦しむ国民の姿に心を痛めた天皇陛下は、自ら麦入りのご飯をご所望になったそうです。以来、麦ご飯を召し上がるのが、天皇家の新たな伝統になりました」(前出の皇室ジャーナリスト)

ただし、ご飯を炊く際も大膳課では米を研いだあと、水を切ってザルに上げた米粒を一粒ずつチェック。箸で異物を取り除いてから炊くのが決まりごとになっているそうだ。
ちなみに、麦ご飯をおいしく炊くコツは、
「塩をひとつまみ、日本酒を大さじ1杯加えて炊くとパサつかず、しっとりと炊き上がります」(新井さん)

昭和天皇も今上天皇も、お食事に関しては出されたものをお召し上がりになるのが基本で、「あれが食べたい、これが食べたい」と言われることは決してないが、それでも、「ごくたまにウナギや寿司など店屋物を老舗からお取り寄せになることはある」(前出の女性誌皇室担当記者)そうだ。

魚もアジ、イワシ、サバ、サンマなどの青身魚を召し上がることが多いが、
「天皇家の食卓では、"お皿に盛り付けたものはすべて食べられる"のが大原則です。魚料理は背骨や小骨を取り除いたうえで、元の形に整えてからお出しすることになっています」(同記者)

ただし、公務の多い天皇陛下は、もしものことを考慮して、めったに刺身など生魚を召し上がることはないのだとか。
またチャーハン、餃子、シューマイなどの中華料理が、天皇家の食卓を賑わせることも珍しくないそうだ。

一方、洋食はどうかといえば、主菜に牛フィレ肉のロースト、合鴨の赤ワイン煮、ニジマスのバターソテー、若鶏刻み肉のパイ生地包み焼きなど、いかにも高カロリー、高コレステールなメニューが多いが、
「量はさほど多くないですし、副菜に野菜をたっぷり使っているので、意外にヘルシーと言えそうです」(前出の新井さん)
栄養のバランスに優れた食事

洋食のメニューは明治維新後、皇室が率先して取り入れた経緯もあり、大膳課では今でも独特の用語が使われている。
サラダをフランスふうにサラドと発音するのは前述したが、コンソメスープは清羹(せいかん)、パンは麺麭(めんぽう)、キャベツは甘藍(かんらん)といった具合だ。
「厨司の間では、タマネギは正確に1センチ角に、ニンジンの千切りは1本でも太さが違ったらやり直しというルールがあったそうです。これは見た目を良くするだけではなく、火が均等に回るようにするための工夫でしたが、ジャガイモに至っては、まっすぐ転がるほど丸く剥(む)くのだとか」(女性誌皇室担当記者)

また、昭和天皇のお食事は1日1800キロカロリー、塩分は1日10グラムまでと厳格に定められていたそうだ。

こうして見ると、天皇陛下のお食事は質素ながらも栄養のバランスに優れていることがわかる。
「旬の野菜は栄養価が高く、ビタミン、ミネラルも豊富です。和洋の食事を交互に取ることは、バランスのいい食生活を習慣づけるために効果的です。糖分控え目で高タンパク、低カロリーなのも素晴らしい。青身魚に含まれるEPA、DHAには心臓疾患を予防し、高血圧を防ぐ効果があるし、麦ご飯は白米よりもビタミンと食物繊維が豊富。たいへん理に適った食生活と言えますね」(前出の牧氏)

今日からでも、すぐに真似してみたいものだ。

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