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DDTの異色レスラーが語る 好奇心への訴求法 前編

DDTの異色レスラーが語る 好奇心への訴求法  前編

路上プロレス、空気人形との試合、飯伏幸太の2団体同時所属、高木三四郎のW-1とのフロント兼任。プロレスブーム再燃と呼ばれる昨今、DDTプロレスという団体が脚光を浴びている。格闘技界で異彩を放ち続けているDDTプロレスなかで、なお笑いと熱狂の中心に居続けるひとりのレスラーへインタビューを行った。何故いまDDTが支持されているのか、その秘密と謎に迫る。


■男色ディーノ だんしょく・でぃーの
1977年、広島生まれ。DDTプロレスリング所属のレスラー。得意技は「男色ドライバー(相手の顔をタイツの間に挟んで落とす改良型パイルドライバー)」「漢固め(押し付け式体固め)」など。入場曲は「スリル(布袋寅泰)」。
Twitter @dandieno

――いまではプロレス界、唯一の“ゲイレスラー”としての立ち位置を確立したディーノ選手ですが、ここまでの経緯で批判の声もあったとお聞きしました。

男色ディーノ(以下、ディーノ) 最初の頃はそれこそ「プロレスをバカにしてるのか」なんて同業者に言われたりしてね、しかもわざわざ人づてに聞かされたりして。面と向かって言われたら私だってプロレス的に盛り上がってやるけどさ、陰口みたいなそんな卑怯なヤリ方をされたらね、どっちがプロレスをバカにしてんのよ、って当時はだいぶ腹を立ててましたね。あとは、他の団体さんの興行に呼ばれて試合をしたときに「真面目にやれ!」なんて、今度はお客さんからお叱りを頂戴したり。私としてはキャラを全うしてただけで、“真面目にやってるのよ”としか思えなかった。私は私のスタイルを貫かないと意味が無いって思ってプロレスをやってますからね。

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身体をまさぐる、タイツを脱いで攻撃する、などの攻撃を得意とするディーノに会場からは悲喜こもごもの歓声があがる。



――これまで(真っ当な)プロレスを観戦してきた人に、そうではないプロレスがあるということを伝えるのは至難の業だったと思うのですが。

ディーノ プロレス界に風穴を開けるにはどんなことをすればいいだろうって一時期マジメに考えたときに、ちょっとずつ風穴を広げていくのが得策ってわかったのね。一気に大きな穴を開けたら「痛いっ!」ってなることも、少しず~つ慣らしていけば、なんとなく慣れていくものなの。私みたいなキャラを受け入れてくれてるのもそうだけど、DDTって団体は幸いなことに、そういったヘンなことでも許容してくれる懐の深さがあるのよね。メジャー団体がやろうとしていることを我々がやっても仕方ないし、だったらとことん違う味で勝負してやろうってスタンスでやってきたので、いまのお客さんからの熱い指示を見てると、その風穴もだいぶ広がった感じかしら。プロレスっていう食卓のなかでDDTっていう珍味が正当に評価されてきてる感じはあるわよね。

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ショッピングモール、町工場、廃墟、海岸。あらゆる場所がプロレスの舞台となる。



――実際に、DDTのプロレスを見たことがないという読者さんへ向けて、では他の団体とどう違うかということを教えて欲しいのですが。

ディーノ いま、DDTの名刺代わりになっているのが『路上プロレス』といって、本屋さんの中で試合をしたり、遊園地(花やしき)で試合をしたり、普通の人たちがバーベキューをやっているようなキャンプ場で試合をしたり、要するにリングの無いところでプロレスをしてやろうというコンセプトのプロレスね。ファンの一軒家を借りて、天井や壁を破壊しながら試合をしたこともあるわね。

――固い質問になるかも知れませんが、リングがなくてもプロレスなんですか?

ディーノ リングがなくてもプロレスなんですよ。

――リングがなくても試合が成立するんですか?

ディーノ それを言うとね、じゃあ、場外乱闘って何なんだって話になってくるの。DDTがテーマとして持ってるのはアレの延長上にあるロマンなんですよ。壮大な場外乱闘としての『路上プロレス』。プロレスはそもそも、リングの中だけで収まるような小さいものじゃなくて、その昔、猪木さんが新宿伊勢丹前でタイガー・ジェット・シンと乱闘した、マサ斎藤と巌流島で戦った、アレが言ってしまえば路上プロレスなんですよ。戦う選手の魂の中にリングがあれば、どこだってプロレスが出来るんですよ。
――「路上プロレス」の他に、DDTならではの趣向はありますか?

ディーノ ワタシもそうなんだけど、選手のバラエティーの豊富さは他のどの団体と比べても勝ってると自負してるわ。

――例えばどんな選手が在籍しているのでしょうか。

ディーノ ヨシヒコですかね。彼はルックスがちょっと変わってて、パッと見、まるで空気で膨らませたビニール人形のような選手なんだけど、れっきとしたDDTの所属選手で、ちゃんと試合もするんですよ、しかも武道館クラスの大会で、どの選手にも負けない支持を集めるのよね。

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地獄の墓堀人・ヨシヒコvs飯伏幸太。途中、9連発カナディアン・デストロイを繰り出すなど、人間離れしたアクロバティックな動きと、無尽蔵のスタミナで天才・飯伏をこらしめた名戦。死闘の末、飯伏のフェニックス・スプラッシュからの片エビ固めで惜しくもピンフォール負けを喫した。



ディーノ あと特徴的なものといえば、タレントさんとの試合カードがよく組まれるってことがDDTでは多いわね。まぁ、そちらに関しても「シロウトをリングに上げやがって」的な批判はあるとは思うケド、でもそう思ってもらわないと、実は何にも引っかかってくれないって方が問題なワケで。普通にスルーされるようになったら、それはそれで先が見えないもの。

――しかし普段、格闘技をやっていない方々との試合は相当にハードルが高いものだと思うのですが。

ディーノ そういう人たちとの試合をきちんと成立させる、我々はそういう仕事のプロだとおもっているわ。その点のスキルがズバ抜けて長けた団体だと思ってもらって結構ね。今までのプロレスってさ、どんな突飛なカードでも、あらかじめ成立したもの同士が戦ってきたものだったと思うのね。でも私たちDDTというのは“成立出来ない”“成立しない”であろうカードをどうにか成立させることで意外性を産んできたの。DDTというのはその仕事ができる唯一の団体であって、その面白さが支持されているのであれば、そのことがプロレスのひとつの正解のカタチなんじゃないかって思ってるわ。今のところ、だけどね。

――他にはどのような選手が所属しているんですか?

ディーノ あとは、先日W-1という団体のCEOに任命されて経営を任されているウチの大社長の高木三四郎。この人がすべてを許すから私みたいなレスラーもいるわけ。あとは、正統派でいえば、新日本プロレスと2団体に所属している飯伏幸太、HARASHIMA、KO-D無差別級王座のKUDOといった選手ね。

――人材でいえば、DDTには若手選手が充実している印象があります。

ディーノ 現役高校生でプロ入りをした竹下幸之介もそうだけど、若い人たちがDDTを志してくるパターンが多くなってきたわね。さらに言うと、志してくる人たちの毛色が10年前とは格段に違ってきてる。最近では相撲出身の樋口和貞や、総合格闘技やってました、なんて子もいてね。……うちの団体のどこに総合格闘技の要素があるのよとか首を傾げつつも、いろいろな層から好まれてるみたいで有り難いですね。

――そんな選手層の厚さもあり、DDTは現在では両国国技館や日本武道館での大会も成功させる大きな団体となっていますが、ディーノ選手から見た、DDTの面白さとは?

ディーノ さっきも言ったように、どんなものでも成立させてしまうという懐の広さじゃないかしら。観ている方もいまじゃ許容範囲がものすごく広がってしまっているワケよ。と、なるとね、次はナニをナニするんだ? というね、そういう試合がようやく出来るようになってきた。お客さんが「どの要素を放り込まれてくるんだ?」って構えてるところに、プレーヤーとして趣向をぶつける。そういう駆け引きの面白さが楽しめる団体ってところかしらね。まぁ、我ながら上手くいきすぎちゃって、素直に受け入れられてしまうと逆にやりにくい部分もあるけど、大きくなったら大きくなったなりの苦悩があるわよね、ホント。


取材◎ライターゐりゑ

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