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【武豊】 父が調教師を勇退した09年のこと

[週刊大衆08月03日号]

人生に役立つ勝負師の作法 武豊
父が調教師を勇退した09年のこと


学生時代は歴史の年号を覚えるのに苦労しましたが、こと競馬に関することだけは、今も昔も変わらず、スラスラと出てくるから不思議です。きっと頭の構造が、競馬仕様になっているんでしょう(笑)。

騎手としてデビューした1987年からひとつひとつ話し出すと、それこそ何日徹夜しても終わりそうにないので、今回は、すべての野球ファンが歓喜した、日本代表のWBCの連覇と、ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜選手がワールドシリーズでMVPを獲得した2009年のことを書きたいと思います。

この年は僕にとっても、忘れられないことがたくさんあった年でした。
まず、重賞レースでは、チェレブリタとコンビを組んだGⅢ「京都牝馬S」の勝利で幕を開け、ブレイクランアウトでGⅢ「共同通信杯」を、リーチザクラウンとGⅢ「きさらぎ賞」を制覇。春のGⅠでは、ウオッカとのコンビで、「ヴィクトリアマイル」と「安田記念」を連勝。ウオッカにはたくさんいい思いをさせてもらいましたが、思えばこの頃が、サラブレッドとしてのピークだったような気がします。

負ける気がしない――。
そう思わせてくれたパートナーは、僕の競馬人生の中でも数えるほどしかいません。ランザローテでGⅢ「プロキオンS」を、ヴァーミリアンをパートナーに臨んだ交流GⅠ「帝王賞」「JBCクラシック」に勝利、2歳馬ヴィクトワールピサとのコンビでGⅢ「ラジオNIKKEI杯2歳S」を制したのもこの年でした。

さすがに正確な日付までは覚えていませんが、当日の馬場状態、スタンドの風景、どんな感じでゲートに入ったのかも思い出すことができます。スタートから道中の位置取り、どこでGOサインを出し、それにパートナーがどう反応したのか……。レースのことはほぼすべて覚えています。
父の管理する馬で弟の幸四郎が勝利

そしてもうひとつ、09年は、父・武邦彦が調教師としての定年を迎えた年でもありました。苦労する父の姿を側で見続け、「早く辞めてのんびりしてほしい」と思っていた僕にとっても大きな出来事で、なんか、ものすごくホッとしたのを覚えています。

残念ながら、当日、武邦彦厩舎のロードアムンゼンに騎乗した僕は6着に終わりましたが、そのぶんも弟幸四郎が奮闘。7番人気のエーシンフォーマーで見事に優勝し、オヤジ、幸四郎とともに僕も、人生初、最初で最後になるだろう口取りに参加させてもらいました。このときのスリーショットの写真は、今でも僕の宝物です。

この09年に行われたGⅢ「中京記念」は、河内洋厩舎のヤマニンキングリーで2着に惜敗。今年は、あのときに味わった悔しさを倍にしてお返ししたいと思っています。暑い夏。ますます熱い競馬をお見せしますので、次の週末、7月26日は、ぜひ中京競馬場に足を運んでください。


■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】 父が調教師を勇退した09年のこと

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