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パンチ佐藤 高校野球・甲子園地方予選編vol.3

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パンチ佐藤の「野球が一番!」
第20回 高校野球・甲子園地方予選編vol.3


地方大会も終わり、甲子園出場校が出揃いました。そこで今回は、僕が高校最後の夏、実際に体験した話を綴ります。

僕が3年になった時、1番打者A君、2番打者B君は武相高の看板でした。正直、僕は彼らには勝てませんでした。ただ、僕のスタイルは「コツコツ」型。いわゆる努力型でした。彼らは天賦の才を持ち合わせていたので、「感覚」型だった気がします。

タイプが全く違う僕と彼ら。前述しましたが、基本的に僕は彼らに勝てない。が、肝心なところでは僕が結果を出したのも事実です。彼らは、決定的な要所は凡打していました。そこが、僕と彼らのモチベーションの差だったと思います。

とはいえ、A君とB君の能力に大学やノンプロが黙っているわけはありません。実はこの二人、亜細亜大学からスカウトが来ていたのです。ところが、彼らは天才肌が災いして下積みを嫌った…。坊主頭になって、先輩からコキ使われるのを拒んだのです。

何のことはない。A君、B君が入学を辞退した2枠に僕と阿波野秀幸が滑り込んだ、というのが亜細亜大・野球部の真相です(ともにプロ入りしましたが…)。

ちなみに彼らは、神奈川県の強豪社会人チーム(ノンプロ)に入りましたが、選手生活は短く、プロ入りはできませんでした。
話を戻しましょう。僕が高校3年の時、一瞬ですが、「甲子園に行けたら」という“夢”を抱きました。その理由は高校2年と3年の春季大会に優勝したからです。

春のセンバツは秋季大会の結果で出場校が決まります。よって、春季大会はセンバツには直結しません。そのためか、春季大会は全国大会がなく関東大会までで終了。「春を制するモノは夏も制す」ではありませんが、地区大会優勝の本命候補です。春に神奈川を制したことで甲子園が至近距離になった、というわけです。

ところが、チーム全体を見回すと練習、生活態度ともにチャランポラン。とても、甲子園を目指す状況ではありません。正直、僕は「こんないい加減なことをやっているチームは甲子園にいけないし、いってはいけない」と、すぐに目が覚めました。

そこで僕は、甲子園は 無理かもしれない、ならば、 練習試合から予選から、とにかくチャンスで打って目立つことを考えたのです。

「俺はヒーローになるよ!  打ってやる!」

3番打者だった僕は、「有言実行」で初戦の第一打席をホームラン。それからも打ち続け、チームは神奈川県大会の準決勝まで駒を進め、そこで「チームの夢」は消えました。

ベスト8…かなり微妙ですが、空中分解寸前のチームだったので、ベスト8まで進めたのは正直、評価に値するところでしょう。
地区大会で敗北し、ほとんどのナインは涙を流しましたが、僕はキッと前を向いたままでした。「次! 次!」と、高校で果たせなかった夢を次のステージで返していこう、と考えていたのです。
野球への取り組みがリアルな形で結果に出ます。それにも関わらず、高校球児の約8割は「もう少し、真面目に取り組んでおけば良かった」と後悔するのです。これは、武相に限った話ではありません。

後悔先に立たず。自分の託せなかった夢を子どもにぶつけている親は多いと思います。それはそれで否定しませんが、僕は若干、感じます。

それは、プレーは親でなく子どもがしている、というところ。果たして、その子どもは日々の大切さをどれだけ知っているのでしょうか。

高校生は大げさでなく、一日も無駄にできないし、してはいけません。高校1年にとって、3年生は厳しくて、面倒な先輩でしょう。ただ、その先輩のプレーをしっかり目に焼き付ける事が1年生に求められる。

ここ一番で力を発揮できる先輩は普段、どういった練習をしているのか? その逆に要所で力を出せない先輩は? それを意識して観戦すれば、自ずと普段の生活態度が形成できるハズです。

自分の夢を子どもに託す親は、そこまで子どもを指導しているでしょうか?  僕が違和感を抱くのは、親が自身の反省をしっかりしているのかが疑問だからです。

なかには、天才肌でいい加減な事をしてもしっかり結果を残す選手もいます。この選手は、稀の中の稀。99.9%の選手は努力なくしては栄光を掴めません。

今年もプロ注目の選手が生まれていますし、夏の甲子園でも生まれることでしょう。ぜひ、そういった一流選手の表情やプレーを観てください。ムダがありませんから。

やっぱり「野球が一番!」ですよね。


パンチ佐藤(ぱんち・さとう)プロフィール

1964年12月3日生まれ
亜細亜大学から熊谷組を経て、オリックスにドラフト1位で入団。プロ野球時代、トレードマークのパンチパーマと独特な発言で人気者に。引退後はタレントとしても活躍し、2015年シーズンからBCリーグ『武蔵ヒートベアーズ』の宣伝本部長に就任した。

パンチ佐藤 高校野球・甲子園地方予選編vol.3

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