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天龍が語るプロレス論「プロレスラーは“自分LOVE”でなければ、上までいけない」

[シリーズ 逆説のプロレス vol.2]

天龍が語るプロレス論「プロレスラーは“自分LOVE”でなければ、上までいけない」

ついに今年の11月に行われる両国興行で引退する天龍源一郎が、新日本プロレスG1クライマックス、馬場、猪木から、先日亡くなった盟友、阿修羅・原まで、プロレスの真髄を語りつくす。


インタビュー前半はこちら https://taishu.jp/17106.php

■天龍源一郎 てんりゅう・げんいちろう
●1950年、福井県出身。大相撲を経て、76年に全日本プロレスに入団。ファンクス道場で修行をし、テキサス州で行われたテッド・デビアス戦で髷を結ったままデビュー。帰国後は馬場、鶴田に続く3番手のポジションで活躍したが、90年にSWSへ移籍。92年かWAR、98年からフリー、2010年から天龍プロジェクトで活動。三冠ヘビー級王座、IWGPヘビー級王座に輝き、日本人で唯一BI砲からピンフォール勝ちを収めた男でもある。今年の11月15日に両国国技館で引退興行を行う。


全日本の遠征に同行取材していた筆者は、ロサンゼルスに猪木が滞在中となれば、黙っていられなかった。猪木と連絡を取り、天龍をアスレチッククラブに案内したのだ。

当時、全日本の現場責任者を務めていた佐藤昭雄は、米国マット界にも精通していた。日本プロレス時代には、馬場の付き人を務めており、猪木の付き人だった藤波辰巳(現・辰爾)とは仲がよかった。もちろん猪木とも面識があった。


――でも、馬場さんがよくOKしましたよね。

天龍 馬場さんは怒らなかった。というか、知らなかったんじゃないの? 「猪木さんに会いに行きます」なんて言ったら、馬場さんが「いいよ」なんて言うわけない。「なにしに行くんだ」ってなると思う。

――あの時が猪木さんと初対面ですか?

天龍 はじめて話をした。猪木さんは俺に気を遣ってくれて、夢を大いに語ってくれたよ。

――馬場さんと猪木さん、BIをフォールした唯一の日本人レスラーが天龍さんですが、馬場さんと猪木さんにはどういう印象を?

天龍 馬場さんは現実的で、猪木さんは夢を語る人。馬場さんと話していると、いい悪いじゃなくて、シビアな話がほとんどで、猪木さんは本当に「ああしたい、こうしたい」って夢の語りを、とうとうとしてくれる。

――天龍さんも夢とロマンをいろいろとお持ちだったと思うんですが、猪木さんと話されたことで刺激されましたか?

天龍 猪木さんと会って、馬場さんと猪木さんの話、どちらが理解できるかといったら、馬場さんの話のほうが理解できたよ。猪木さんは夢のある語りをしてくれて、若い人が聞いたら希望を持てるよ。

――天龍さんは全日本にいながら、猪木さん的な発想をしていたイメージだったんですが?

天龍 そんなことはない。俺は現実を受け止めての着色だから。

――猪木さんの話は夢のまま終わったことも多いですね。

天龍 そこが結局は会った人の、言葉としては悪いけど「頭がいいか、悪いか」の問題になる。信用してコケるか、一歩引いて、もう一回、自分を見つめ直して踏みとどまるか。

――猪木さんの事業欲をどう見ていましたか?

天龍 猪木さんの「事業をやっていく」といういろんな話を、誌面なんかで読んで「社会貢献をしているんだな」という認識はあった。馬場さんは堅実にやっていく人。「若かった天龍源一郎はどうだったの?」と聞かれれば、夢を語る猪木さんに興味がないこともなかった。みんな、若い時は「金儲けしたい」と思っているでしょ。ただ、できるかどうかは、わからないけど。
阿修羅・原を捨て置くのはもったいなかった
――武藤敬司が「天龍さんがいなくなったら大変。本当に引退してほしくない」と語っています。武藤は天龍さんの次の「ミスタープロレス」ですから。天龍さんがいてくれると、精神的に楽なようです(引退マッチは11・15両国国技館大会)。

天龍 武藤がそんなことを言うの? 珍しいね。まだまだいるよ。藤原喜明選手とかグレート小鹿とか。藤波辰爾選手だって……。俺は自分がケガをしてみて、あれだけ膝が悪いのに、あのポテンシャルでプロレスをまとめ切る武藤敬司に「大したもんだ」と言いたい。

――天龍さんも武藤敬司も本当にプロレスが好きですよね。

天龍 プロレスなんて好きでなきゃ、やってられない。大して高いファイトマネーをもらえるわけじゃないし。自分の体を痛めて、受け身を取らなきゃはじまらないんだから。こんなデメリットのあるスポーツ、好きでなければやれない。よほどの自己愛かプロレスが好きか、どちらかだよ。

――そのレスラーがどちらか、見ればわかるものですか?

天龍 武藤は間違いなく自己愛。

――天龍さんは?

天龍 俺はプロレスが好き。相撲からプロレスにきて、はじめて花開いたのが俺だから。プロレスラーってのは「自分LOVE」でなければ、上までいけない。例えばG1で「あ、ここで俺よりもコイツが優勝したほうが、ここの観衆が喜ぶな」っていうところまで読まなきゃいけないけど、そんなことできるヤツはいないでしょ。いま、ここで俺が勝ったら「ファンが引いてしまうから」とか、いま、俺の敵方にいるコイツがきれいに俺に勝ったら「ファンが喜ぶから」って引けるレスラーなんていないよ。みんなが「俺が優勝したい」って、しょうがないヤツばっかりだから。逆に言えば、だからこそ面白いのかもしれない。

――馬場さんはどうでしたか?

天龍 昔のトップの人たちは、みんな自分が好きな人たちばかり。「馬場さんしかり、猪木さんしかり」だと思う。昔は「会社のために」と考える必要などなかった。だって、黙ってたってお客さんがその人を見に来ているわけだから。いまはプロレスが低迷しているから「会社のために」と思って、やらなきゃいけない場合もあるけど。

――亡くなった阿修羅・原さんのお話を思い出すと「天龍さんのために」という発言が多かった気がしますが?

天龍 そうなの? 俺、聞いたことないからわからない。

――原さんは、天龍さんに何度もリングに上げてもらって活躍できましたよね。

天龍 ただ、人材として「そこらへんに捨て置くのはもったいない」って気持ち。みんなが「わずらわしいから関わりたくない」って言っても、「彼がプロレス界にきたほうが面白いでしょ」っていうだけのこと。例えば、長州力が乗り込んできてガチャガチャやったら全日本は面白かったし、輪島大士が入ってきてゴチャゴチャやれば、盛り上がった。自分の業界が活気づいたほうが、やっている自分が楽しいじゃないですか。胸張って世の中を歩けるわけだし。「しょっぱい(つまらない)業界団体に身を置いている誰々です」って言う自分はイヤでしょ。

取材◎柴田惣一

徹底追跡、大特集。新日本プロレスのG1クライマックスの25年間の全事件に迫った「シリーズ 逆説のプロレス vol.2」絶賛発売中!

「新シリーズ 逆説のプロレス vol.2」(双葉社スーパームック)より引用

天龍が語るプロレス論「プロレスラーは“自分LOVE”でなければ、上までいけない」

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