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“江川新監督”が消えた理由とは…巨人軍「底知れぬ黒い闇」

[週刊大衆11月16日号]

“江川新監督”が消えた理由とは…巨人軍「底知れぬ黒い闇」

背番号は現役時代と同じ「24」。復権を目指す12球団最年少の監督の前には、計り知れないほどの困難が待ち構えている。
「先輩たちが作り上げた伝統を守りつつ、自分らしさも出しながら、なんとか、不安はいっぱいありますけど、覚悟を持って邁進(まいしん)していきたいと思っています」
就任要請からわずか3日後の10月26日、現役を退き、読売巨人軍の指揮を執ることを決断した高橋由伸新監督(40)は都内で就任会見を行った。
「少なくとも、晴れやかな場にふさわしい表情ではなかったですね。あのこわばった顔が新監督の置かれた悩ましい状況を物語っていると言えます。巨人軍は"底知れぬ黒い闇"に覆われていますからね」(会見を取材したスポーツ紙記者)
75勝67敗1分のセ・リーグ2位で今シーズンを終えた巨人。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージこそ阪神に勝利したものの、ファイナルステージでヤクルトに敗れ、4年ぶりの日本一奪回への挑戦もかなわなかった。
「そのCSファーストステージ直前の10月5日に突如表面化した野球賭博問題、そして、噂されていた原監督の退任から新監督決定までのゴタゴタぶりを見ても、現在の巨人は、とても"球界の盟主"とは思えないありさまです」(前同)
10月19日、通算12年間でリーグ優勝7回、日本一3回という輝かしい成績を残した原辰徳前監督(57)の勇退が決まった時点で、選手兼任打撃コーチの由伸自身は、自分が次期監督に就任することになろうとは考えてもいなかったという。
「由伸は監督就任直前まで、同い年の井端弘和や入団1年目の岡本和真らと、来季に向けた合同自主トレの計画を立てていた。つまり、由伸にしても、その由伸と時を同じくして現役を引退し、内野守備走塁コーチに就任することとなった井端にしても、現役をやめる気などさらさらなく、今回は、文字通り"寝耳に水"だったはず」(ベテラン記者)
巨人にとって、ここ数年の懸念事項であった"ポスト原"問題。最終的に3年契約で由伸新監督に決まるまで、候補の名が、次々と浮かんでは消えていった。
最有力と目されていたのは、由伸新監督の1歳年上で、1998年から5年間、巨人でチームメートだった松井秀喜氏(41)だった。
「だが、今年の3月にニューヨークヤンキースのGM特別アドバイザーに就任した松井は、アメリカから日本に戻ってくる気配がない」(球団関係者)
そこで代わりに、その名が浮上してきたのが球団OBの江川卓氏(60)だ。
「指導者の経験こそありませんが、読売グループである日本テレビでの評論活動も長く、関係は深い。7月頃から"次は江川で決まったらしい"という噂が、球界では半ば常識のように語られてきた」(前出のベテラン記者)
そして、日刊スポーツが、9月26日の紙面で<巨人原監督V逸なら解任も後任候補に江川氏らの名>とぶち上げ、この"江川監督説"は一気に公のものとなる。だが、この時点で、読売本社の一部では「川相昌弘ヘッドコーチの内部昇格」という案が検討されていたようだ。
「4月、原監督がインフルエンザで欠場した試合で監督代行を務め、4勝1敗と結果を残した川相ヘッドの采配を評価する声が高まっていたんです。渡邉恒雄球団最高顧問をはじめ、巨人をフロント主導型チームに変えていこうとする読売グループにとって、アクの強くない川相は操りやすい人物ですからね」(球団に近い関係者)
しかし、そこにも問題があった。
「川上哲治、長嶋茂雄、王貞治、そして原辰徳ら、過去の歴代監督に比べると、川相では明らかに地味。実力うんぬんではなく、人気、集客面での不安が大きいでしょう」(専門誌記者)
そんな微妙なタイミングで発生したのが、巨人軍の現役選手による野球賭博事件だった。
「10月5日、久保博球団社長は記者会見で、球団所属の福田聡志投手が野球賭博に関与していたことを発表。日本野球機構(NPB)へ告発することを表明しました。さらに、告発を受けて調査を行っていたNPBの調査委員会は、21日の中間報告で、新たに笠原将生投手と松本竜也投手も関与していたことを発表しました」(全国紙運動部記者)
10月24日の日本シリーズ開幕戦を直前に控えた中でのこの不祥事に、巨人軍はもとより、球界全体が大きな衝撃を与けた。
「この野球賭博には、元巨人軍選手で、引退後、飲食店を経営していた人物が関与しているのではないかとみられています。この店には、笠原や松本をはじめ、巨人の若手二軍選手が入り浸っており、今後の展開によっては、3人以外の名前が浮上してくる可能性は大いにあります」(前同)
そして、当然ながら、この事件が、新監督人事にも少なからぬ影響を与えたとみられる。
「今回のスキャンダルによって、巨人には過去に例のないほどの暗雲が垂れ込めたと言える。それだけに、これを払拭できるようなフレッシュな人材の登用が急務となったんです。となれば、江川監督の線は完全に消える。仮に、このタイミングで江川が就任すれば、『空白の一日』事件などのダーティな過去が蒸し返されることは確実だからです」(夕刊紙記者)
明るく爽やかなイメージの高橋由伸なら、ファンが離れることを防げる。チーム作りよりも集客――。"急転直下の由伸擁立"には、そんな"思惑"が透けて見えるのだ。
監督不在のままドラフト突入
あまりにも急激な流れは、10月22日のドラフト会議でも"異常事態"を引き起こした。
「巨人は監督が不在のままドラフトに臨んだんです。これは、ドラフト自体をボイコットした78年を除けば、現役引退直後ながら選手として日米野球に出場したため、不参加だった74年の長嶋監督以来、実に41年ぶりのことでした」(前出の専門誌記者)
ドラフトでは、育成選手も含めて大量16人もの選手を指名したが、
「中央球界で名が通る即戦力級の有名選手は皆無。世代交代、新陳代謝を見越した指名と言えば聞こえはいいですが、戦力のハンパ補強は否めません」(前同)
翌23日、由伸への就任要請があった。当初は、現役へのこだわりを見せていた由伸だったが、
「球団が内々に流した情報が元になったスポーツ紙の一面報道によって監督就任の機運が高まっていく一方、長嶋茂雄終身名誉監督に"次は高橋由伸君しかいない"とまで言われ、"外堀"を完全に埋められた格好」(前出の夕刊紙記者)
となったのだ。そして、冒頭に触れたように、26日の就任記者会見へとなだれ込む。息つく間もなく、由伸新監督を支える"内閣"の陣容も27日に発表された。
一軍ヘッドに村田真一前総合コーチを、投手コーチと打撃コーチに、尾花髙夫、内田順三のそれぞれ前二軍コーチを昇格させ、"原野球"を継承する一方、引退した井端弘和を内野守備走塁コーチに、二軍打撃コーチにOBの二岡智宏氏という同世代を配置し、コーチも若返りが図られた。
ちなみに、"ライバル"と目された川相ヘッドコーチは、来年新設される三軍監督に就任した。野球評論家の橋本清氏は、
「村田ヘッド、内田、尾花両コーチというベテラン勢が不慣れな由伸をサポートし、井端、二岡のフレッシュな面々が由伸を支えるという陣容ですが、一日も早く"ヨシノブ色"を出してもらいたいですね」
と期待を寄せる。
"代打の切り札・由伸"の喪失
紆余曲折を経て誕生した新指揮官は、28日、秋季キャンプ第2クールが行われる川崎市内のジャイアンツ球場に、スーツにネクタイ姿で登場。練習前には、室内練習場で全選手、スタッフに向けて訓示した。
「今季限りで現役を引退し、監督を務めることになりました。私自身、強い覚悟を持って決断しました。ここにいる選手、スタッフすべての人が強い覚悟を持って、日本一に向けて進んでいってほしいと思います」
しかし、"強い覚悟"とは裏腹に、現実的には"日本一"の奪還には、かなりの困難が伴うと思われる。今年の巨人がセ・リーグ2位という順位につけたのは、12球団一の防御率2.78を誇る投手陣の頑張りがあればこそ。一方のチーム打率は、.243の貧打で、12球団で11番目の惨憺(さんたん)たる成績だ。目立った補強もない現在、来季、この貧打戦が突然覚醒する可能性は極めて低いと言わざるをえない。
「特に深刻なのは、坂本勇人、長野久義という次代の巨人を担うべき人材が伸び悩んでいること。阿部慎之助、村田修一といったベテランには、もはや伸び代はないし、新しい戦力も出てこない。このままでは苦しい」(スポーツ紙デスク)
巨人は現在、次なる4番候補として、今季限りで中日退団が濃厚なルナの獲得に照準を合わせているという。
「ルナにしても35歳だが、フロントは阿部を、もはや4番候補としては当てにしていないということだ」(前出のベテラン記者)
また、自身が監督に就任したことは、今季、代打に限定すれば47打数15安打の打率.395、8四死球も加われば出塁率が.489にもなった"代打の切り札・由伸"がいなくなることを意味する。同時に、今年98試合に出場した"守備の要・井端"も現役を退いた。
「今のところ、この穴を埋めるような選手はいません」(前出のデスク)
投手陣とて、盤石ではない。内海哲也、杉内俊哉の両エースが故障でフル稼働できなかった今シーズンは、菅野智之、マイコラス、ポレダに大きな負担をかけた。
「特に今シーズン、13勝、防御率1.92と、大活躍したマイコラスは、メジャーからのオファーが来て、退団必至という状況でしたが、2年で4.8億円という大型契約が実を結び、残留が決定。これは巨人から新監督に贈る唯一に近いプレゼントでしょうね」(前同)
クローザー転向が奏功し、36セーブを挙げた澤村拓一はまだしも、山口鉄也、マシソンら中継ぎ陣にも、以前ほどの信頼が置けない。
「加えて、阿部の後釜となる正捕手が、いまだに育っていないことも問題。来季こそ、小林誠司には奮起してほしいでしょう」(同)
また、由伸監督自身の"性格"も気になる。
「原監督は、成績の悪いベテラン選手の打順を平気で落としたりする非情采配を見せていましたが、心優しくて、根が良い人である由伸に、ああいった芸当ができるとは思えません」(前出の球団関係者)
しかし、前出の橋本氏は言う。
「球界には、監督が変われば、チーム内の淀んだ空気が吹っ飛んで、一気に活性化するということがよくあります。今までくすぶっていた人材が、新監督の誕生で一気に開花する可能性もあります」
高橋由伸新監督が、巨人の闇を振り払うことができるのだろうか――。

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