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【武豊】時に"思い"が勝敗を左右させる

[週刊大衆11月23日号]

人生に役立つ勝負師の作法 武豊
時に"思い"が勝敗を左右させる
ヤクルト・スワローズとソフトバンク・ホークスとの間で争われた今年のプロ野球、日本シリーズは、4勝1敗で、ソフトバンクが優勝。日本一になったのが阪神タイガースじゃなかったことをのぞくと(苦笑)、いい刺激をたくさんいただいたシリーズでした。
第3戦で、スワローズの山田選手が放った3打席連続ホームラン――打ってほしいと期待され、その思いに、きっちりと応えた山田選手のすごさは、鳥肌が立ちました。これぞ、アスリートの凄さです。
優勝で沸き返るグラウンドで、工藤監督はじめ選手たちが、肋骨の骨折で戦線離脱した内川選手と熱い抱擁を交わしていたシーンは、見ていて胸が熱くなりました。これぞ、スポーツの持つ魅力です。
4番である内川選手の欠場は、戦力的に見ると、間違いなくマイナスでした。でも、それによって、ひとりひとりが、内川選手の分も、内川選手のために――と、心をひとつにしたことが、シリーズの勝敗を決める大きな要因になったような気がします。
――勝つためには、何が必要なのか?
答えはひとつではありません。体を鍛えることも、技術を磨くことも、頭を柔軟にしておくことも大切です。何が何でも勝つという強い気持ち。ギリギリの勝負を数多くこなすことで生まれる経験則も必要です。
その上で、誰かのために、あの人の喜ぶ顔がみたいからという想いがいかに大きいかを、あらためて気づかされた気がします。
あれは……04年10月29日のことでした。僕にダービー連覇の栄誉をプレゼントしてくれた第66回ダービー馬、アドマイヤベガが偶発性胃破裂のために急死。8歳という若さでした。
4角を回ると内にポッカリと隙間が
そして、この彼の訃報から16日後に行われた「エリザベス女王杯」でパートナーを組んだのが、同じサンデーサイレンスを父に持ち、オーナー(近藤利一氏)も、調教師の先生(橋田満氏)も同じ、アドマイヤグルーヴです。
彼女にとっては、連覇のかかったレース。僕にとっては、01年トゥザヴィクトリー、02年ファインモーション、03年アドマイヤグルーヴに続く、同一GⅠ4連覇という偉業がかかったレースでもありました。しかし、それ以上に、アドマイヤベガにいい報告がしたい――そんな気持ちが強かったような気がします。
内ラチ沿いを走っていた彼女が4コーナーを回ったとき、最後の直線でインコースがポッカリと開いたのは、競馬の神様からのプレゼントか、それとも、亡くなったアドマイヤベガの後押しだったのか……力強く抜けだした彼女の強い伸び脚には、女王の風格が漂っていました。
今年、このレースで僕のパートナーを務めてくれるのは、GⅡ「府中牝馬S」を勝ったノボリディアーナです。松永昌博先生の、厩舎スタッフの、原田豊オーナーの、すべての関係者の、そして、ファンの方の喜ぶ笑顔を見るためにも、最高の騎乗をしたいと思います。
■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】時に

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