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「田舎で暮らしてはいけない?」憧れのスローライフに警鐘!7つの理由

[ヴィーナス11月03日号]

「田舎で暮らしてはいけない?」憧れのスローライフに警鐘!7つの理由

 今、「地方」に熱い視線が注がれている。

 5月31日に、地方創生フォーラム『地方で暮らす、日本が変わる』が東京・六本木で開催された。石破茂地方創生担当大臣が基調講演で「地方への移住を応援する」と熱弁を振るい、実際に地方移住を果たし成功を収めた人たちがパネリストとして登壇し、地方移住の素晴らしさをアピール。新聞などでも大きく報じられ、話題になった。

「最近は在宅勤務を社員の権利として認識している会社が増加しています。ネット環境が整っていれば、自宅での仕事は十分可能。通勤ストレスから解放され、物価が安く、食べ物も美味しい地方に移住しようという人は増えています」(経済ジャーナリスト) こうして、政府も民間も、地方移住を積極的に後押ししているのだから今後、地方移住が我々の人生の新たな選択肢として、かなり有力になることは間違いない。

 しかし、地方が“人生の楽園”ともてはやされているが本当のところはどうなのか? 検証してみよう! 2年前から、自給自足を目指した田舎暮らしを決行し、その様子を綴った漫画「ぼっち村」を雑誌『週刊SPA!』(扶桑社)誌上で連載中の漫画家・市橋俊介さんは、次のように話す。「地方移住を甘っちょろく考えていたら、大変な目にあいますよぉ!?」連載をまとめた単行本『ぼっち村』が、9月2日に発売された市橋さん。絶好調の地方ライフを送っているのかと思いきや、これまでの道のりは、苦労の連続だったという。

「地方移住に“古民家に暮らして、無農薬野菜を育てながら暮らしたい”みたいな憧れを抱いている人、結構いると思うんですけど、そんなのは夢物語でしかありませんよ。“(1)住む物件を探すのが大変”なんです。だいたい、まず、地方移住を考える人が最初に考えそうな、賃貸で畑付きの手頃な物件てのが、ほぼありませんから……」全国には800万軒以上もの空き家があり、社会問題にもなっているというし、田舎暮らしを推進することを目的に、地方の各自治体が『空き家バンク』というサービスをネット上で行っているのだが、「『空き家バンク』で扱っているのは、ほとんどが売買物件。たまに良さそうな賃貸物件が出ていたとしても、問い合わせると、もう何年も前に借りられちゃった物件だったりして、運営自体が、かなりいい加減な自治体が多いんですよ」(前同)

 ならば首都圏よりずっと割安なことだし、売買物件を購入すればいいとも思うが、田舎暮らしの諸問題に詳しい、一級建築士で不動産鑑定士の中山聡氏は、その難しさをこう語る。「古民家の場合、購入自体は300万円前後から可能です。ただ、築35~150年という物件ですから、リフォーム費用がかかってきます。建て坪で80~100坪と広いものが多く、修繕箇所も多いので、購入代金と同じか、それ以上の費用がかかってくることもあります。また、築年数から建物としての価値がゼロに近いため、ローン商品の選択の余地が少なく、現金での支払いになることが多いのも難点と言えるでしょう」

 住んでからも、大変なことは多いという。前出の市橋氏も、田舎暮らしのスタートは古民家だったそうで(その後、2度の引っ越しをしている)、「“(2)住宅維持費用が、バカにならない”んです。クーラーがなかったので、夏は室温が40度を超えましたし、冬は隙間風がハンパなく、暖房効率も悪いので、灯油代がかかりますよね。ちなみに、その古民家では、お風呂も灯油ボイラーで沸かしていました。何より冬は水道管の凍結による破裂を防ぐための“水抜き”という作業が必要なんですが、古民家は広くて蛇口の数が多く、毎晩、結構な作業でしたね」

 また、農作業に関しても、「“(3)農作業はめちゃくちゃ大変”です。OLが都会のベランダでやっている“プランター農園”の延長のつもりでいたら、大変なことになりますよ」と、市橋さん。「ヤバいのは雑草の繁殖力。せっかく開墾したのに、たった数日で、また雑草だらけ。無農薬野菜を作ろうなんてのも、素人じゃ無理です。“全部の葉っぱに虫ついてんじゃん!”みたいなことになりますから」

 また、市橋さんは農作業中にブヨに刺されて足がパンパンに膨れあがったり、スズメバチとの遭遇も珍しいことではないという。「“(4)動物や虫がたくさんいて大変”。動物なら、サル、シカ、イノシシ、タヌキ、ハクビシン。マムシもいましたし、カラス、キジをはじめとするいろんな鳥などによる被害も当たり前で、最初は対策に追われることになるでしょうね」なるほど、田舎暮らしに思い描きがちな“ゆっくりと流れる時間”を味わう余裕など、なさそうだ。

 そして、“(5)地方独特の人づきあいの在り方が本当に大変”だという。「基本的に皆さん、とても優しく、いい人なんです。ただ、地方には“絶対に怒らせてはいけない地元の主”みたいな人がたまにいて、その人に嫌われちゃうと、とてもやっていけません。私が最初に住んだ古民家の大家さんが、まさにそういう人で、傷んだ個所の修繕について問い合わせたことをきっかけに、修復できないほどに関係性が悪化してしまい、退去を余儀なくされました」(市橋さん)

 “地元の主”とまでいかずとも、地方の大家さんの中には、移住者に対し「貸してやっている」という意識の人も少なくないようで、一度ヘソを曲げられると、「都会もんには分からないんだ。出てってもらって構わない」と、以降こちらの話には一切耳を貸してくれなくなるというのも“移住者あるある”だという。「当たり前のことではありますが、大事なのは“ご挨拶”であることを、改めて実感しました」(市橋さん)

 それだけではない。緊急時に行政の対応は遅くなってしまいがちなので、普段から地域の夏祭りや盆踊り、伝統芸能の練習やBBQ会、集落にある神社の合社の作業などにも積極的に参加し、地元の皆さんとの交流に努めているという。「全部に参加するのは大変だし、もともと人数が少ないので分担する役割は結構多かったりするんですが、出ていけば皆さん喜んでくれて、可愛がってもらえるということが分かってきましたね」(市橋さん)

 11年に高知県に移住し、『まだ東京で消耗してるの?』で高知の魅力を発信するプロブロガー・イケダハヤトさんも、「地方には様々な特色があって、住んでいる人のノリも東京とは違いますから、まずは自分に合った地域を選ぶことが、重要でしょうね」と言う。「いきなり移住して自分に合わない場所だった、なんてことになったら大変なので、一度、その地域の都市部で生活をしてみて、ここなら大丈夫そうだという手応えをつかんでから、より深い地域に移住先を見つける。僕も行った“二段階移住”がオススメです」

 東京暮らしでは考えられない、地域の風習や習わしに戸惑うこともあるという。前出の中山氏が、こう語るのだ。「よくあるのが、“(6)様々な名目での集金”です。自治会費に、入村料(公民館負担金という場合も)、交通安全費、地域の神社への寄付など。年間にすると、4~20万円にも及び、結構な負担になるんです。しかも、徴収はすべて訪問集金。断ろうとするものなら“それなら、ゴミ捨て場を使わせないよ”といったことを言いだす。役場に訴えても、結局は“地域の人とうまくやってください”と言われて、どうにもならないことが多いようです」

 何より、“(7)仕事、収入をいかに確保するか”という大きな問題もある。「都会のような仕事はありませんが、実は田舎には田舎の仕事がけっこうあるんです。役場の職員、町おこし協力隊、農業や林業、事業継承などで、1つでは無理ですが、毎月3万円を5か所からもらうくらいの気持ちでいれば、物価も安いので生活は成り立ちます。ただし、行動力は都会暮らし以上に必要になってくるでしょう」(イケダさん)

 ライバルの少ない地方では、アイデア次第で起業のチャンスはいくらでもあるという見方もあるが、「仕事は自分で作るもの、という起業家精神がある人。地方の可能性にワクワクできる人じゃないと、難しいかもしれません」(前同) その道に詳しい3人が警鐘を鳴らす憧れのスローライフ。今まで挙がった“田舎で暮らしてはいけない7つの理由”を参考に、地方で何をしたいのか、果たして自分は田舎暮らしに向いているのか――地方移住に憧れている人は、もう一度よく考えてから、行動に移したほうがよさそうだ。

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