日刊大衆TOP トレンド

知らなきゃソンする!! 「マイナンバーの常識」カンタン解説

[週刊大衆12月21日号]

知らなきゃソンする!! 「マイナンバーの常識」カンタン解説

 国民全員が12桁の番号で管理される未知の制度で、我々の暮らしはどう変化するのか。3分で分かる超絶簡単解説!——全国民一人一人を12桁の番号で管理する「マイナンバー制度」(社会保障・税番号制度)。個人番号を知らせる「通知カード」が届いた人も多いだろうが、年明けから運用が開始される。「対象者は日本に住み、住民票があるすべての人です。皇室の方々を除き、赤ちゃんから高齢者まで日本国民全員に番号が割り当てられます。希望する番号を選ぶことはできず、基本的に同じ番号を、一生使います」(全国紙社会部記者)

 このマイナンバー、どんな制度で、我々の生活はどう変わるのか、いまだに不明というのが大多数の意見だろう。そこで、最低限知っておきたい基礎知識を識者に解説してもらった。だが、その前に、“まだ通知カードすら届かない”という声も。特定社会保険労務士の光嶋卓也氏は次のように語る。「住民票の届け出のある場所に簡易書留で番号を通知するので、住民票の場所に住んでいなければ届きません。約1割は未送達になるとの見方もあります」

 住民票を別の場所に置いている方は変更届を。では、無事に通知カードが届いたら、まず何をすべきか。最初の悩みどころが、同封されている「個人番号カード交付申請書」の申請だ。来年1月以降に、希望者にのみ交付されるということだが、申請すべきなのか。「顔写真が付いている個人番号カードは、これ1枚で身分を証明できます。運転免許証やパスポートをお持ちでない方は作っておいて損はないでしょう」(前同)

 また、政府が利点として主張するのが「コンビニ交付サービス」だ。「2016年度中に、個人番号カード1枚で、住民票や印鑑登録証明書などの公的証明書を、全国のコンビニで取得できるようになります。それに伴い、駅などに設置されていた証明書自動交付機のサービスは終了する予定」(前出の記者) とはいえ、「万一、紛失した際の情報漏れのリスクなどを考慮すれば、申請しないのも一つの選択肢です」(前出の光嶋氏)

 もし、個人番号カードの交付を申請する場合、電子証明書をカードに搭載するか否かの選択も悩ましい。申請書の注意書きによると“マイナポータル”へのログインのために必要なようだが、何だ、ソレ!? 「簡単に言えば、紐(ひも)付けされた自分の情報が間違いないか、誰が覗いたか、自分でチェックできる各人の個人専用サイトです」(前同)

 各種社会保険料の支払金額が確認できたり、引っ越し時に発生する各種行政手続きを、サイト上で行えたりするという。「ただ、運用開始は17年から。年金の紐付けにしても、今年6月に起きた日本年金機構の個人情報漏洩(ろうえい)事件もあり、17年以降に延期されました」(同)

 マイナンバーの活用について、確定している内容は実は多くない。「民間との連動でクレジットカードやポイントカード機能といった用途拡大が検討されていますが、本格的に活用されるのは20年以降でしょう」(前出の記者)

 電子証明書は、いったん個人番号カードを作った後からでも、無料で追加できるので、必要になった際に手続きするのもアリだ。こうして見ると、我々の生活において、これといったメリットが見当たらない。この制度の真の目的とは何なのだろうか? 「一番の狙いは課税漏れの件数も額も多い“富裕層の口座”を把握し、しっかり税金を取ることです」こう解説するのは、元国税調査官で、『マイナンバーで損する人、得する人』(ビジネス社)の著書もある大村大次郎氏。「庶民の収入資産は今でも、だいたい把握できていますし、その気になれば銀行へ照会し、いくらでも調べられます。しかし富裕層は、複数の会社から報酬を得ていたり、様々なところに投資を行っていたり、不動産収入があったりと、収入や資産が複雑で多岐にわたるため、資産把握が一般庶民に比べて困難なんです」

 そこで、予定されているのが預金口座との紐付けだ。「マイナンバーの利用範囲は、最初は税金、年金などの社会保障、災害対策の3つのみに限られますが、18年からは預貯金口座とも結びつく可能性があります」(前同) 現状では、金融機関から個人番号を求められても告知は任意だが、義務化が検討されているという。「義務化されれば、国は国民の預貯金をすべて把握できます」(同)

 それによって、政府に目をつけられるのが自営業者。「サラリーマンの場合、毎月の給与から自動的に税金が引かれています。一方、自営業者の場合は、税金は“天引き”ではないので、経費の水増しをすれば、税金をほとんど払わなくすることも可能です」(同)

 中でも、特に狙われているのがネット通販業者。「不特定多数の客を相手にする、事業の概要が分かりにくい、事業者を特定しにくいと、脱税しやすい条件を備えています。まったく申告しないほか、クレジット、銀行振込、郵便為替、代引など入金方法をいくつも使い、そのうちの1つの収入をそっくり抜いたり、悪質業者だと仮名や他人名義の口座を使う場合も」(同) しかしマイナンバーで監視しておけば、銀行口座の本当の持ち主を特定し、脱税で摘発できる可能性が高くなるという。

 また同様に、領収書を出さないキャバレーなどの飲食店や風俗店もピンチだ。「こうした業種で儲ける経営者は表に顔を出すこともありません。しかし、脱税して得た資金はどこかの金融機関に預けていることが多い。本気で脱税しようと思えばタンス預金など現金で保管することもありますが、手間がかかりますから。そして、マイナンバーが預金と紐付けされ、疑わしい口座を把握できれば、その口座の金の流れを追うことで実質的な経営者も判明しやすくなります」(同)

 一方、マイナンバー制度で得をするのはサラリーマン。「富裕層への課税強化が実現すれば、税収が増えるので、将来の消費税率アップといった増税を防げます。また、年金の記録も今より格段に正確になるので、年金の漏れを防げます。年金漏れの原因の1つは、受給対象者の職場や住所が変わった際、その人の年金を管理する役所の部署も変わり、データの移行にミスが出ることでした」(同)

 ただし、こっそりバイトをしている人は要注意! 会社にバレて、クビという事態もありうるという。「たとえば、会社就労後に居酒屋でアルバイトをしている場合、本業で得た年間所得に副業での収入が自動的に加算され、それに基づいて算出された住民税が、勤務先の給与から天引きされます。他の同じ収入の社員より、税額が高くなるため、副業がバレるというわけです」(弁護士)

 誰がどこで収入を得たのかは、マイナンバーによって簡単に把握できるのだ。「対策の1つとして、法人設立の手もあります。法人の場合、源泉徴収されないので住民税はアップしませんから」(前出の光嶋氏)

 では、副業として、知り合いのスナックの女性を自宅まで送り届ける仕事をしている場合はどうだろう。「ドライバーへの謝礼を店側が経費として計上しないなら、いくらマイナンバーが導入されても把握できませんからバレません。ただし、業務として行っていれば、それは“白タク”行為で、そもそも違法の可能性があります」(前同)

 ちなみに16年1月1日以降に発生した収入には、マイナンバーが適用される。気兼ねなくバイトできるのも年内までのようだ。また、庶民にとって不安なのが、情報漏洩リスク。「行政機関や法律で許可された使用範囲以外で、マイナンバーを書き取ることやカードの裏面をコピーすることは違法。証明書として個人番号カードを使用する際は、表面のみを提示し、カードをむやみに相手に手渡さないようにしてください」(前出の弁護士)

 カードの紛失にも気をつけたいが、「個人情報カードが誰かに拾われたとしても、相手に分かるのはカードに記されているマイナンバー、氏名、住所、生年月日、性別、それに顔写真だけで、ICチップ内の情報を覗くには暗証番号が必要です。暗証番号は一定回数以上間違えるとロックされるし、不正に盗取しようとすると自動的に記録を消去する機能も付いており、簡単には盗めません」(光嶋氏) さらに、「個人番号カードのICチップには、税金や年金給付関連の特定個人情報、銀行口座や預金残高といったプライバシーの高い情報は記録されません」(前同)

 また、罰則も厳しい。「マイナンバーを扱う事務等に従事する者が、そのファイルを正当な理由なく他者に提供した場合、最高で懲役4年の刑が課せられます」(同) むしろ、情報漏洩より、もっと恐ろしい事態も……。「今、現実的に懸念されているのが、記載ミスと見せかけて意図的に他人のマイナンバーを書く、課税逃れの手口です。その場合、番号を記載された人間に、身に覚えのない多額の税金通知が来ることになります。その課税を間違いだと主張し、訂正するには大変な労力と時間が予想されます」(前出の記者)

 さらに、マイナンバーに関する事件への対策が何も定まっていないのも問題だ。「情報漏洩した場合、マイナンバーの変更は可能ですが、その際、誰が通知するのかを含め、手順の詳細はいまだに詰められていません」(前同)

 出たとこ勝負のマイナンバー制度。“こんな危険なもの、拒否したい”という場合、それは可能なのか。「勤務先へのマイナンバーの提出や通知を拒否することによる罰則は、少なくとも今のところ、ありません」(光嶋氏) 敵を知り己を知らば百戦危うからず。理解を深め、来る新制度に備えるべし!

知らなきゃソンする!! 「マイナンバーの常識」カンタン解説

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.