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【武豊】JRAの平地全GⅠ制覇を目指して「人生に役立つ勝負師の作法」

[週刊大衆12月28日号]

――あと、ひとつですね。

 今年も、みなさんからそう言われるレースが近づいて来ました(苦笑)。全部で22あるJRAのGⅠ(障害を除く)の中で、僕が唯一、勝っていないレース――最強の2歳馬決定戦「朝日フューチュリティS」が今週末、阪神競馬場を舞台に行われます。

 サダムパテックとともにはじめて「マイルCS」を制覇。いよいよマジック1となった2012年は、この連載がスタートした年。たしか「ここまできたら、早く達成したいというのが本音です」というようなことを書いたような気がします。でも、パートナーのティハーフには、若干距離が長いような……という悪い予感が的中し、結果は、優勝したロゴタイプから0.5秒遅れの5着。宿題を残してしまいました。

「勇気ある決断を下した後輩、角田晃一調教師のためにも一発勝負。大きな勲章をプレゼントしてあげたいと思います」という意気込みで、牝馬ベルカントとともに挑んだのは一昨年です。抽選で引き当てたのは、1枠1番。ひょっとすると……という淡い期待を抱いていました。しかし、競馬はそれほど甘くはありませんでした。果敢に逃げたものの、最後の直線で馬群に沈み(10着)、またしても宿題は翌年に持ち越し。この年、キズナで「日本ダービー」を、トーセンラーで2度目の「マイルCS」を制覇したものの、みなさんが期待する前人未到の大記録を達成することはできませんでした。

 そして、3度目の正直を狙った昨年のパートナーは、GⅢ「函館2歳S」のチャンピオン、アクティブミノルです。

 休み明けだった前走、GⅡ「京王杯2歳S」が6着だったこともあり、当日の人気は9番人気。僕自身は、チャンスはあると密かに期待していましたが、「今年こそ……ですね」と質問するマスコミの方の声には、懐疑の色が混じっていたような気がします。

 レースは、スタート直後から先頭に立ち、粘りに粘って掲示板を確保(5着)。優勝以外はまったく評価されないのが競馬の厳しさです。それでも、彼の持ち味を最後の一滴まで出し尽くした内容の競馬に、僕は少しだけ胸を張っていました。

 さぁ、そしていよいよ、今年です。なぜ、このレースだけ縁がないのか⁉ 答えがあるならだれよりもこの僕が知りたいところですが(苦笑)、新馬、重賞と2戦2勝のエアスピネルをパートナーに迎えた今年は、いよいよ、その時が来た(かな)と、今からワクワクしています。

「誰よりも勝ちたいと思っているのは、この僕自身なんですから」。昨年、このコラムで書いたこの言葉を、今年、敢えてもう一度、書いておきたいと思います。馬のため、彼を管理する笹田和秀先生や関係者のため、ファンのため、彼を産んだエアメサイアのため、そして僕自身のために、今年も全身全霊で大記録に挑みます。

■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】JRAの平地全GⅠ制覇を目指して「人生に役立つ勝負師の作法」

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