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食事、運動、脳活…今すぐできる「認知症予防」決定版

食事、運動、脳活…今すぐできる「認知症予防」決定版

 家族のことが分からなくなる恐ろしい病気にならないため、できることはやっておきたい。とっておきの方法をご紹介!——「2015年5月、『ドラえもん』の声優として知られる大山のぶ代さんが、アルツハイマー型認知症であることを、夫で俳優の砂川啓介さんがラジオで発表し、世間に衝撃が走りました」(医療ジャーナリスト)

 厚生労働省の推計では、団塊世代が皆75歳以上になる2025年には、65歳以上の5人に1人、約700万人が認知症になると予測されている。超高齢化社会に突入した日本では、誰もがかかる可能性のある“身近な病気”となった認知症。介護で家族に迷惑をかけないためにも予防したいものだが……。元・米イリノイ工科大学助教授(化学科)で、『ボケずに健康長寿を楽しむコツ60』(角川oneテーマ21)の著書もある薬学博士の生田哲氏は次のように話す。「日常生活で認知症の症状が現れるずっと以前に、脳の働きが正常よりやや低下した軽度認知機能障害(MCI)と呼ばれる状態が約10年間、存在することが分かっています」

 MCIの段階で、適切な治療や生活習慣を改めるなどの対処をすると、認知症への進行を防げるという。では、具体的に何をすればいいのか? 【食事】【運動】【脳活】の3大項目別に、今すぐできる「認知症予防」を識者に教えてもらった。

 まず【食事】だが、カレーを食べてほしい。インド人のアルツハイマー型認知症の発症率が、アメリカ人の4分の1という論文が発表されたのは、00年。当時のインドは平均寿命が短かったので、アルツハイマー型認知症の患者が少ないとの結論に達した。だが、その後の金沢大学の山田正仁教授などの研究によって、インド人がよく食するカレーの代表的なスパイスのターメリック(ウコン)に多く含まれるクルクミンに、予防効果があることが分かったのだ。「アルツハイマー型認知症は、アミロイドβというタンパク質が脳内の神経細胞に絡まり、窒息死させることで起きます。そして、クルクミンは、そのアミロイドβの蓄積を大幅に抑制するというんです」 こう解説するのは 、神経内科医(医学博士)で、『死ぬまで家族に迷惑をかけないために今すぐ知っておきたいボケない技術』(かんき出版)の近著がある米山公啓氏。週1回のカレー、さらにカレーパンやカレーうどんなどを意識して食べることが、ひとつの目安だとか。

 また、コーヒーを飲むことも予防につながる。フィンランドのクオピオ大学の研究グループが1409人の高齢者を21年にわたって追跡調査した結果、コーヒーを習慣的に1日3~4杯飲む人は、それ以下ないし、まったく飲まない人に比べ、認知症になるリスクが65%も低下していると発表したのだ。

「認知症になると、記憶を司る脳の海馬が委縮しますが、米ジョンズ・ホプキンス大学のマイケル・ヤッサ氏の実験によれば、コーヒーに含まれるカフェインが海馬の働きを活性化してくれるといいます」(前同) 同じく飲み物ではリンゴジュースも予防効果が。米マサチューセッツ大学のトーマス・シー氏は、高齢のネズミにリンゴジュースを混ぜた水を与え、深いプールの中に入れて、隠れている休息用の台を発見させる水迷路実験を実施。リンゴジュースを飲まなかったネズミに比べ、明らかに正確さとスピードの向上が見られたという。

「アルツハイマー型認知症になると、脳内のアセチルコリンという神経伝達物質が不足することが分かっています。シー氏は、このアセチルコリンのレベルがリンゴジュースで高まったと結論。また、リンゴジュースには、アミロイドβの蓄積を抑制するという説もあります」(前出の生田氏) ネズミに与えて効果のあったリンゴジュースの量を人間に換算すると、1日コップ2杯になるという。

 次に【運動】。通勤時にできるだけ歩くことをオススメしたい。筑波大学の征矢英昭教授らの研究グループは、軽い運動は脳の前頭前野が担う注意力や判断力などを向上させると発表している。「これまでもボケ防止には運動がいいといわれていましたが、それはジョギングなど、ある程度以上の運動をするのが前提でした。ところが、通勤時や家事など、日常生活でこまめに体を動かすだけでも、効果があるというんです。肥満、糖尿病、高血圧、コレステロール値が高い人は、認知症の発症率が高いことが分かっています。軽い運動でも、こまめにやれば熱量消費が増え、肥満解消などにつながるのではないでしょうか」(米山氏)

 また社交ダンスもオススメという。大分県の宇佐市安心院町で、高齢者を対象に料理教室を続けたところ、9割の人に認知機能の向上が見られたという。料理教室では、お金の計算をしながら買い物をしたり、互いに話をしながら材料を切ったり、調理をするなど、2つ以上の作業を同時進行で行う。これを「デュアルタスク」という。「米国で75歳以上の469人の余暇活動について約5年間、追跡調査した結果、何もしない人に比べ、認知症発症の確率が、デュアルタスクが典型的な社交ダンスでは0.24倍と最も低かったのです」(前同)

 他の結果はチェス0.26倍、音楽活動0.31倍、読書0.65倍であった。社交ダンスだけでなくフラダンスもいいという。カール・ルイスなど世界トップアスリートの筋肉を研究し、その驚異的パフォーマンスの鍵は「大腰筋」に代表されるインナーマッスル(体の奥にあるバランス調整などを司る筋肉)にあることを突き止めた、東京大学名誉教授の小林寛道氏。認知症患者9人にインナーマッスルを鍛えてもらったところ(1日30分。3か月)、そのうち6人の認知機能が上がったという。

「小林教授によると、通常の筋トレに比べ、インナーマッスルを鍛える際のほうが、脳内の活動域が広く、活動量も多いことが確認されたといいます。そのため脳がより活性化すると考えられるのです」(同) 腰を振るフラダンスや、中腰でコミカルに踊る「どじょうすくい」の踊りも、インナーマッスルを鍛えられるので、試してみたい。

 最後は【脳活】について。ネット検索をしよう。米カリフォルニア大学の研究チームが55歳から76歳までの24人を対象に、インターネット検索をやってもらったところ、全員に脳血流の増加が見られ、脳機能が向上する可能性があると発表している。「この発表が注目されるのは、実験対象者の半数にネット検索の経験がなかったという事実です。パソコンは脳を怠けさせ、認知症の予防にならないと思っている人は少なくないと思います。不慣れな高齢者なら、なおさらかもしれません。だが、ネット検索は欲しい情報を調べるまで、次々サイトを開き、それでも求める情報が出なければ、検索ワードを変えるなど、自分の頭を使わなければできません」(同)

 ポジティブ思考も重要だ。スウェーデンで500人以上の高齢者を対象にした研究などで、陽気で外交的なオプティミスト(楽観論者)と、陰気で内向的なペシミスト(悲観論者)を比べると、アルツハイマー型認知症の発症率が、オプティミストは50%も低いことが確認されたという。「まさに“病は気から”ということでしょう」(前出の生田氏)

 また、生きがいを持つことも大事だ。米ラッシュ大学のパトリシア・ボイル氏が80歳以上の951人を4年間にわたって追跡調査(155人がアルツハイマー型認知症に)。生きがいの度合いについて10の群に分けたところ、一番高い群は、アルツハイマー型認知症になるリスクが一番低い群に比べて40%だったという。「高齢で生活するのに十分な貯金があっても働き続けるとか、ボランティア活動もよいでしょう」(同)

 パートナーを見つける。フィンランドで中年の男女約1500人を21年にわたって追跡調査した結果、50歳時点でのパートナーの有無で、認知症リスクは、なしの人が2~3倍、さらにずっとパートナーがいた人と、一生いなかった人とでは、いなかった人が実に6倍も高かったという。「パートナーの有無で、感情面の充実度が脳に及ぼす影響は予想以上です。パートナーがいないなら早く見つけたいもの。あるいは、親しい友達や親戚と密に連絡を取り、社会ネットワークを広げてください」(同) 明日からぜひお試しあれ。

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