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がんはもう怖くない!? ここまできた「最新がん治療」最前線

[週刊大衆2016年02月08日号]

がんはもう怖くない!? ここまできた「最新がん治療」最前線

 長きにわたって人類に死の恐怖を与え続けてきた難病が治る時代に突入した。悪性腫瘍もズル休みの口実になる日は、そう遠くない!

 今年に入ってからまだ間もないが、ジャーナリストの竹田圭吾氏や歌手のデヴィッド・ボウイ氏など、がんで命を落とした著名人の訃報が相次いでいる。しかしその一方で、がんが不治の病ではなくなりつつあるというニュースも飛び込んできた。

 今月20日、国立がん研究センターが、初めてがん患者の「10年生存率」を発表した。これは文字通り、がんの治療を受けた人の10年後の生存率を集計したものだが、それによれば、甲状腺がんは90%以上が10年以上生存し、乳がん、前立腺がん、子宮がんなども80%以上、罹患率が高い大腸がんや胃がんなども70%近くが生存している。50%を下回っているのは、肺がん(33%)、食道がん(30%)、肝臓がん(15%)、膵臓がん(5%)などだが、これも近年は生存率が伸びつつあるという。がん治療の技術に、いったい、どのような進歩があるのだろうか。最新のがん治療を紹介する前に、そもそもがんとはどういう病気なのか頭に入れておきたい。

 医療ジャーナリストの牧潤二氏に、簡単に説明してもらった。「人間の体は、60億個の細胞でできていて、その一つ一つが日々、分裂と死滅を繰り返しています。ところが、分裂するときに遺伝子の読み間違いで、がん化する細胞が出てくるんです。本来、こうした細胞は、免疫力を担うナチュラルキラー細胞によって破壊されるものなのですが、大量に増殖したり、免疫力が落ちてきたりすると防ぎきれなくなります。こうして、がん細胞がどんどん大きくなり、全身に転移するのが、この病気の正体です」

 がんの治療法は、基本的に外科療法(手術)、放射線治療、化学療法(抗がん剤)の3本柱で行われるが、これらが近年、大きな進歩を遂げているという。「一番確実に患部を取り除くことができて再発率も少ないのは外科手術ですが、難易度が高いことや、患者への負担が大きいというデメリットもありました。しかし、アメリカで開発された医療機器『ダヴィンチ』を使った“ロボット手術”が行われるようになり、格段にリスクが小さくなったのです」(医学専門誌記者)

 ロボット手術とは、皮膚に小さな穴を開け、そこに手術器具を取りつけたロボットアームと内視鏡を挿入して遠隔操作で行う手術だ。切開をするわけではないので出血も少なく、患者への負担は少ない。また、拡大した立体画像を見て操作できるため、複雑な部位の切除も簡単になったという。まさに優れものだ。

 体にメスを入れずに、がん細胞を“爆死”させる放射線治療も進化を遂げている。それが「重粒子線治療」だ。「エックス線やガンマ線などの、人体を透過する放射線を照射することで、がん細胞を被曝(ひばく)させる放射線治療ですが、患部に辿り着く手前の正常細胞を破壊してしまい、副作用が出るのがネックでした。しかし、放射線治療の一種である重粒子線治療は、線量のピークを病巣の深さに合わせて照射できる炭素イオンという重粒子線を用いるため、正常細胞の破壊を抑えることができ、副作用が少ないんです」(前同) まさに、“切らない外科手術”とも言えよう。

 現在、重粒子線治療は先進医療のため、莫大な費用がかかるが、今年4月から、骨軟部への重粒子線治療が保険適用されることになった。副作用といえば、抗がん剤による化学療法は、肉体的にも精神的にも辛い治療として知れ渡っている。「抗がん剤に副作用があるのは、抗がん剤が細胞の増殖を防ぐ薬だからです。つまり、がん細胞だけでなく、増殖する細胞すべてに効いてしまうのです。たとえば、髪の毛が抜けるという副作用が顕著なのは、毛髪を作る毛母細胞が、他の細胞よりも活発に増殖するためです」(前出の牧氏)

 だが、この抗がん剤治療も日進月歩だ。近年は新しいアプローチの新薬も登場しているという。2年前から医療現場で使われている『ニボルマブ』という抗がん剤が、その一つだ。「これは、がん細胞の増殖を抑えるのではなく、がん細胞がナチュラルキラー細胞への耐性をつける能力を壊すための薬です。だから、副作用も少ないといわれています」(前同)

 また最近では、抗がん剤の副作用を抑えるために、“意外なもの”が採用されているという。「抗がん剤は活性酸素を発生させることで、がん細胞を攻撃しますが、その過剰な作用を抑制するために、抗酸化物質であるビタミンCがバランスよく併用されているのです」 こう語るのは、『ビタミンCは人類を救う‼』などの著書がある科学ジャーナリストの川口友万氏だ。川口氏は、このビタミンCには、さらなる期待がかかっているとして、こう続ける。

「がん細胞は、糖を栄養にして増殖しますが、ビタミンCは糖と構造がよく似ているため、がん細胞に吸収されやすいんです。そして、ビタミンCは高濃度なものになると、活性酸素の一種である過酸化水素を発生し、がん細胞を死滅させる効果があるといわれているのです。さらに、正常な細胞は過酸化水素を分解する酵素を持っているため、副作用もほとんどないという、オマケつきです」 この効果は、まだ動物実験の段階だそうだが、近い将来、ビタミンCの大量投与が、がん治療の切り札になる可能性もあるという。

 そして、抗がん剤治療の最終兵器とも言えるのが、東京工業大や東大などの研究グループが開発し、昨年6月に発表された『ナノマシン』だ。「ナノマシンは50ナノメートル(1ナノメートルは1億分の1メートル)のカプセルのようなもので、これに抗がん剤を閉じ込めて、がん細胞に運ぶんです。これの利点は、ピンポイントでがん細胞に届くので、他の細胞への影響がないということです」(牧氏)

 なぜ、ピンポイントで届くかといえば、その秘密は50ナノメートルというサイズにある。「血管には細胞に養分を送り込む極小の孔(あな)があるんですが、がん細胞のそれは通常の細胞のものよりも大きいんです。50ナノメートルは、がん細胞の孔に合わせたサイズ。しかもカプセルを形成するリン酸カルシウムは、酸性のがん細胞でないと溶けない仕組みになっているそうです」(前出の専門誌記者) さらには、このナノマシンに、中性子線を当てるとガンマ線を放出する物質を投入し、それに中性子線を照射してピンポイント治療する研究にも取り組んでいるという。いわば、がん治療の“誘導ミサイル”だ。これまで紹介してきた治療法が、さらに普及、あるいは実用化すれば、がんが“死なない病気”となるのも夢ではないように思える。

 だが、そう一筋縄ではいかないのが、がんが長年、不治の病といわれてきた理由。がんには“再発”という最大の難関があるのだ。「再発を防止するには早期発見、早期治療しかないといわれています。これがかなえば、再発率が格段に下がっていますから」(前同)

 確かに、冒頭で紹介した10年生存率でも、率の高い部位のがんは比較的、早期発見がしやすいもの。反対に、率の低い部位のがんは、早期発見が難しいものといわれている。「最近は、がん細胞が多く取り込むブドウ糖に放射性物質をつけ、PET(放射線を特殊なカメラで捉えて画像化する医療機器)で計測するPET健診もあります。これなら自覚症状がなく、発見も難しい膵臓がんや肝臓がんの早期発見も可能です」(牧氏) ここまで進んだ「がん治療最前線」。これで、がんはもはや怖い病気ではなくなった。だが、そのために一番重要なのは、定期的に自分の体をチェックすることと、そして何より、免疫力を落とさないための健康管理なのではないだろうか。

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