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「冬の便秘」は死を招く!! 寒い季節に悪くなる“便通の改善法”とは?

[週刊大衆2016年02月15日号]

「冬の便秘」は死を招く!! 寒い季節に悪くなる“便通の改善法”とは?

 ふだんは快調なのに、寒い季節はスッキリしない……。そんな方はご注意あれ。放置すると重大病の危険性が! 改善方法を聞いた!

 真冬の深夜、街に響き渡たる救急車のサイレンの音。60代前半の男性が総合病院の救急外来に搬送されてきた。症状は、嘔吐と激しい腹痛。担当の医師はすぐに男性を診察し、腹痛の原因を特定するべく、必要な検査を行った――。その結果、腹痛の原因はなんと便秘。そう、便秘が悪化して、救急車で運ばれるハメになったのだ。そんな恥ずかしくて、怖~いことにならぬよう、この季節に多い便秘、とその解消法を知っておこう。

 若い頃は便秘とは無縁だった人でも、年を重ねるごとに腸の機能が低下して、スッキリと排便できなくなるケースは少なくない。「頑固な便秘を放っておくと腸閉塞を起こすこともあるし、痔や大腸がんなどの誘因にもなります。また逆に、自覚しないうちに大腸がんが進行した結果、便秘になることもあります」(医療ジャーナリスト)

 冒頭の救急搬送された男性だが、腸に硬くなった便が詰まってしまう重度の便秘だったため、薬で解消することができず、高圧浣腸をかけ、さらに摘便(医師がカチカチになった便を指で掻き出す処置)をして、ようやく腸がきれいになったという。読者の皆さんも「たまに下剤のお世話になるし、ちょっと痔の気もあるけど、2~3日に一度、排便があるから問題ない」なんて安心していると、大変なことになる場合もあるのだ。

「重症の便秘で病院に駆け込んでくる男性の患者さんは、そう珍しくはありません。便秘は、女性だけの悩みだと思われがちですが、実は中年以降の男性も、便秘で苦しむ患者さんは少なくないのです」と解説するのは、東京逓信病院・消化器内科医長の大久保政雄医師。続けて、「若い健康な腸であれば、便が溜まると直腸が反応して収縮し、排便するシステムが働くんですが、年齢とともに直腸の反射は低下してくるので、スムーズに便が出せなくなります。だから、機能が低下してくる高齢者は、必然的に便秘が多くなるのです。実年齢は40代でも、腸の状態がお年寄りのような人はたくさんいます」と警鐘を鳴らす。また、内科の病棟に勤務する看護師も、便秘の患者さんからの相談に対応することが、よくあるという。「便秘が続いて、硬すぎて便が出なくなり、無理して出したら痔になってしまった患者さんもいます。そうなると痛いから、ますます便が出にくくなるという“負の連鎖”に苦しむことになるのです。見ていて、とても気の毒ですね」

 しかも、冬の便秘は命に関わる事態に発展することもあるという。前出の大久保医師は、こう話す。「夜中に便意を催し、寒いトイレで思い切りいきんだら、心筋梗塞を起こしてしまった患者さんもいます。メタボ健診で高血糖や高血圧、高脂血症があり、動脈硬化を指摘されながら、なかなか改善できなかった人ですが、おそらく暖かい部屋から急に寒いトイレに行き、また、強くいきんだために、血圧が急に上がって冠動脈に一気に負担がかかったのでしょう」

 過去に、脳梗塞や心筋梗塞を起こしたことのある人は、寒いトイレでなくても強くいきむのは危険だという。さらに、持病の悪化以外にも、急激な血圧の変化によって血の巡りが悪くなり、意識が消失するケースもあるというのだ。また寒いからといって、食欲に任せて、肉や揚げ物、チーズ料理など脂質の多いものばかり食べて、ついつい酒量も増えて……。そんな生活をするのも危険だ。暴飲暴食をしていた人がある日、いきなり大量下血で救急搬送されることも珍しくないという。

「大腸憩室(けいしつ)炎といって、大腸の壁が炎症を起こして壊れることによって、部分的に袋状に外に飛び出してしまうことがあるのです。そこに便が溜まると、炎症がさらに悪化して大出血を招きます。食の欧米化に伴い、最近多くなっている病気の一つです」(同) また、大久保医師は、意外な病気が便秘の原因になることがあると指摘する。「糖尿病の人は、その合併症である神経障害によって便秘が起こります。パーキンソン病や脳神経系の病気でも、初期から便秘に苦しむ患者さんが多いし、甲状腺の機能が低下している人も、便秘からお腹が張り、不快感などを訴えます」

 一方で、病気の治療薬の副作用で、便秘が起きることも少なくないと言う。「排尿障害の薬である抗コリン薬は、便秘を起こす原因になります。中高年になって前立腺肥大でオシッコが出にくくなり、薬をもらっている人は気をつけてほしいですね。高血圧の薬で便秘を起こしやすいのが、カルシウム拮抗薬。降圧薬としてはポピュラーな薬ですが、便通が悪くなる人がいます。他にも、抗うつ薬が便秘の原因になることも。50代前後の男性はうつが多いんですが、処方された薬で便秘がちになったと、相談してくる方は多いですね」

 さらに、この季節は、かぜ薬にも要注意だという。「咳止め成分を含む処方薬や市販薬の中には、リン酸コデインという成分を含むものがあります。一時的に消化器官の動きを鈍くするために、副作用で便秘が起こるのです」(同) かぜをこじらせ、慢性的に咳止めを飲んでいる皆さんは注意が必要だろう。では、重度の便秘を患わないためには、どうすればいいのか?

 まずは生活習慣の改善が必要だという。大久保医師が勧める便秘の解消法は、水分摂取、食生活の改善、運動習慣の“三原則”である。まずは、便が硬くならないように水を飲む。「成人男性なら1日2リットルは水を飲んでほしい。多すぎると思うかもしれませんが、水はノドが渇いたときにだけ飲むのではなく、量を決めて、しっかり飲む習慣をつけてください。特に、最近は冬でも暖房のせいで、ひどく乾燥しています。だから意識して飲まないと、すぐに脱水ぎみになってしまいます」(同)

 だが、前立腺が肥大ぎみの中高年男性は“トイレが近くなるから水分は摂りたくない”といって、水を飲みたがらない場合が多い。これが便秘の原因になるという。同医師は続けて、「アルコール類は水分に含めないでください。酒は脱水を起こします」と注意を促す。ただ、心臓や腎臓に持病がある人は、水分制限がある場合も。主治医から水分の制限を指示されている人は、水分を摂りすぎないよう注意してもらいたい。

 では次に、食事だ。「便の材料は、食べ物です。便秘がちの人は、食物繊維が足りないので、意識して野菜をたくさん食べてほしいですね。酒をたくさん飲んで、油ものばかり食べる。そんな食生活をしていると、腸内環境が悪くなるので、便秘をしていなくても、便やオナラが臭います。積極的に摂ってほしい食品のベスト1は、ヨーグルトなどの乳酸菌ですが、そればかり食べているわけにもいきません。同じ発酵食品である納豆や、ぬか漬けなども、便秘の予防にいいでしょう」(同)

 また、実はキムチもオススメだという。大久保医師の患者の中には「キムチで便秘がよくなった」という人もいるのだとか。三原則のラストは、運動。運動不足も便秘の原因の一つで、特に冬は寒いうえ、着ぶくれしているので、誰でも動きが鈍くなりがち。大久保医師は言う。「運動というと“とにかく歩けばいい”と思う人が多いんですが、小股・すり足で、ゆっくり歩くのでは、あまり効果がありません。大股で腕を振って歩くなどして、お腹の上下運動や回旋運動をしないと、腸の動きがよくなるところまではいかないのです。心臓病などの持病がなくて、積極的に運動で便秘を解消したい人は、危なくない範囲で階段の上り下りができれば理想的です」

 骨粗鬆症やギックリ腰がないという条件つきだが、座った姿勢で上体をひねる“ツイスト運動”もオススメだという。これも、骨盤が動くので、腸の機能低下の予防につながるのだ。「さらに理想的な運動は、“縄跳び”です。小さいジャンプを繰り返すことで、腹直筋や脚全体が鍛えられるし、場所もお金もかかりません」(前同)

 また三原則の他にも、日頃の生活で注意したい便秘解消のポイントがある。「睡眠不足も便秘によくありません。睡眠不足の生活は、運動不足であることが多いうえ、睡眠が足りないので腸の動きが悪くなる。“冷え”も便秘の大敵です。冬はお腹の動きが悪くなって、腹痛を訴える人が増えます。ゆっくり風呂に浸かる、家でも靴下をはく、冷たい飲み物をやめるなど、体を温めるのも良い便秘解消法の一つです。下半身を冷やすと、痔も悪化しますしね」(同) たかが便秘と侮ることなかれ。前述のように重大病につながる危険性もある。この冬は三原則を守って、快便ライフを目指そう!

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