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電力自由化で得をする「賢い電気の選び方」教えます!!

[週刊大衆03月28日号]

電力自由化で得をする「賢い電気の選び方」教えます!!

 4月1日からスタートする電力の自由化。東京ガスやソフトバンクなど、新規に電力事業へ参入する企業のCMがバンバン放送され、「電力自由化」という言葉だけは世間に浸透した感もある。だが、いったいソレが何なのか。契約し直さなきゃ電気止まっちゃうの? 工事しなきゃいけないの? 契約って面倒なんでしょ? などと、一般の庶民の多くは分からないことだらけのはず。そこで今回、本誌は独自に電力自由化を徹底研究。時代に乗り遅れないための極意を伝授しちゃいます!

 我々が普段、何気なく使っている電気――。5年前の東日本大震災の時に輪番停電を経験した方は、日常の生活がどれだけ電気に依存していたのかを痛感したのではないだろうか。それだけ、ごく当たり前のように我々が使っている電気は、東京電力や関西電力などといった各地域の電力会社から購入する以外の方法がなかった。

 しかし、それが一般民間企業から買えるようになるとは、どういうことなのか。その素朴な疑問を解消すべく、電力自由化を担当する経済産業省資源エネルギー庁電力市場整備室に赴き、直接、話を聞いてみた。「ひと口に電力自由化と言っても、4月1日にスタートするのは、正確に言えば、電力の小売全面自由化です。すでに工場などの大口消費者に対しては2000年から段階的に小売自由化が始まっているのですが、それが一般家庭や商店などの小口消費者でも、どの事業所から電気を買うか自由に選べるようになります」

 電力事業は、「発電部門」「送配電部門」「小売部門」の3つに分かれている。発電部門とは、発電所で電気を作る部門のことで、送配電部門は、発電所から消費者までつながる送電線・配電線を管理する部門のこと。そして、このたび全面自由化される「小売部門」とは、「簡単に言えば、電気を消費者に販売する窓口のことです。消費者と直接やりとりをし、料金メニューの設定や契約などを行って、電気を供給します」(前同)

 従来はこれらのすべてを電力会社が一括して担当していたが、その販売窓口が自由競争になるのだ。「すでに発電部門については、原則的に参入自由となっています。つまり、誰が電気を作ってもいいということになっているんです。実際に、大規模工場などは現在、自家発電をして電力を賄っていますし、このたび小売に参入する事業者の中にも、発電設備を持つ会社はあります」(同)

 だが、発電設備のある事業者はごくわずかで、しかも顧客に対して100%自力で供給できる会社は、ほとんどないという。供給する電力が自社で賄えないなら、事業者はどこから電力を調達するのか。「実際には、卸業者や卸電力取引所、東京電力など既存の電力会社から電気を買って供給する形を取る会社がほとんどですね」(同)

 また、もう一つの送配電部門については、全面自由化後も、これまでと同様、各地域の電力会社が担当する。「電力の供給を安定させるためです。小売の事業者が顧客に必要とするだけの電力を調達できなかった場合でも、送配電部門の事業者がそれを補い、消費者にきちんと電力が届くように調整することが必要ですからね」(同)

 たとえば、小売事業者が倒産したり事業を撤退したりしても停電することのないように、送配電の部分だけは安易に自由化することはできないというわけだ。つまり、どこから電気を買っても、これまでと同じ送配電線網で各家庭に電気が届けられるのは、何ら変わりがないのだ。電線を新たに引く必要もなければ、契約上、何かあっても電気が停まることはない。

 もちろん、契約を結ばなければ4月から電気が停まることもなく、従来の契約のまま各電力会社から継続して電気は供給される。では、「小売全面自由化」で何が変わるのか?「最も大きく変わるのは、消費者に選択の幅が広がったこと。これまで電力会社は選べませんでしたが、自由化によって、消費者が自分の生活スタイルや好みに合わせて、さまざまな会社のさまざまなプランを選べるようになるんです」(同) これによって電力サービスの活性化を図るのが、経産省の目的だという。

 具体的にどんなプランがあり、どう選ぶべきかは後述するとして、もう一つの大きな疑問「契約手続き」について触れておきたい。手続きは面倒だし、解約の連絡をするのも気が引けるから、そのままでいいや、なんて方も多いはず。だが、「手続きは簡単。各社のサービス窓口、電話、ホームページなどで申し込みするだけです。これまで契約していた電力会社への解約手続きは切り替え先事業者が代行するので、わざわざ申請する必要はありません」(同)

 ただ一つ必要なのは、「スマートメーター」の設置だ。耳慣れない言葉だが、これは、通信機能が付いていて電気の使用量を遠隔から検針できるデジタルのメーターのこと。その設置に費用がかかるのでは?「スマートメーターへの交換自体には、原則、費用はかかりません。また設置は切り替え先の電力会社へお申込み後、現在、契約している地域の電力会社がすべてをやってくれます」(同)

 なんとも安心かつ手軽に新電力への切り替えができるわけだが、気をつけなければいけないこともある。ここに来て、消費者の誤解につけ込んだ詐欺業者も横行しているというのだ。実際、国民生活センターには、年明けから電力自由化に絡んだ苦情が今年に入って急増しているらしい。「電気が停まると脅された事例をはじめ、説明を受けていない費用について負担を求められたとか、法外な手数料を求められたという苦情が相次いでいると聞いています」(全国紙社会部記者)

 こうした悪質な業者に引っかからないためには、どうしたらいいのだろうか。「まずは、資源エネルギー庁のホームページで、その会社が国の登録を受けた会社かどうかを確かめてください。そのうえで、その会社のホームページやパンフレットをよく読んでみることをお勧めします」(同) いくら手軽でも、注意すべきところはきちんと押さえることが重要なのだ。

 簡単な手続き一つで、従来よりも電気代が安くなる「電力の小売自由化」。では、具体的にはどう選べば一番得なのか。3月7日現在、政府が電気の小売を行う事業者として登録したのは全部で210社ある。あまりに数が多すぎて途方に暮れてしまう。「複数のインターネットサイトで簡単に“料金比較シミュレーション”ができます。自宅の住所や、ひと月あたりの電気使用量などを入力すれば、各社の料金プランの対比表が料金の安い順に表示されるんです。まずはここから検討し始めるのがいいでしょう」(全国紙経済部記者)

 そこで大手の価格比較サイト『価格.com』を運営する株式会社カカクコムの広報担当・田川小百合氏に話を伺った。「新事業者の既存サービスとのセット割引が増えています。ガス会社や携帯電話などの通信会社も割安なプランを多く出しています」 たとえば、ガス会社ならガス料金とセット、通信会社なら電話やネット回線とセットで契約すれば電気代を値引きといった具合だ。他にも、ガソリン代や、ポイントカードのポイント、定期券代や旅行代金が安くなる特典など、各社が本業の商品と組み合わせて、多様なサービス合戦を展開しているのだ。

 一方、“安さ”だけではない選び方もある。「もう一つ特徴的なのは、電力源ですね。太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電気を供給すると謳っている事業者もあります」(前同) 環境問題への関心が深く、多少料金が高くてもその電気を、使ってみようとする人もいるだろう。

 また、地産地消の電力会社を選ぶことで、「地域」に貢献するという方法もある。ちなみに、地産地消の電力を自前の送配電網でカバーてしまおうという「登録特定送配電事業者」もいくつか存在する。この場合は、旧来の電力会社の力を借りずに、すべてを「自前」で行うことができるわけだ。安さで選ぶか、はたまた生活スタイルで選ぶか――。さまざまな選択肢の中から自分に合った電気をチョイスすることができるのだ。

 だが、検討する際には、注意すべき点もあるという。「すべての人に“これが得だ”と言えるプランはないんです。たとえば、家族構成によって、どの会社と契約すれば得なのかはガラリと変わってきます」(同) 昼間に冷暖房器具を使う大家族の家庭と、夜に少しだけ電気を使う一人暮らしの家庭では、そもそもの電気料金が違うのだ。「現在の電気料金は、使えば使うほど単価が高くなる仕組みになっていますし、昼よりも夜のほうが安く設定されているプランもあります」(同)

 そのため、アンペア数が低いと契約できないプランもあるし、契約できても以前より割高になってしまうケースが多い。その典型的な例として挙げられるのが、関西でのソフトバンクのプランだ。「関西電力の料金体系は、他の電力会社と違ってアンペア契約(使用する電力量によって基本料金が段階的に変わる契約)ではなく、基本料金が安い代わりに単価が高い料金体系なんです」(前出の経済部記者)

 それとソフトバンクの一定量まで定額のプランを対比させると、一人暮らしでは、ソフトバンクが年間3万円ほど割高になる一方、4人暮らしだと1万5000円以上と、他のエリアよりも破格に安くなるのだ。そうは言っても、これは一例。ソフトバンクも一人暮らし用のプランを用意しているし、単価の高い関西電力でも、ソフトバンクを迎え撃つプランが4月からスタートするという。

 これから他でも、“電力会社VS新電力”の価格競争は白熱してくるに違いない。エコに関しても、認識しておくべき点はある。「再エネ発電の業者を選んだとしても、その電気だけが送られるわけではありません。当然ですが、発電方法によって電線が分かれているわけではないからです」(前出の田川氏)

 再生可能エネルギーで作った電気をアピールする小売業者と契約する消費者が一人でも多くなれば、それだけ再生可能エネルギーに対する需要が増加したことを意味し、間接的に再生可能エネルギーの普及に貢献している、くらいの認識でいたほうがよさそうだ。ここまで理解できれば、いざ切り替え……といいたいところだが、そこに”待った”をかけるのは、経済評論家の森永卓郎氏。「なぜ、こうも多くの事業者が電力の小売に参入するのか、不思議でなりません」

 確かに、単純に考えてみれば、小売事業者は主に電力会社から買った電気を消費者に売るのだから、電力会社より安く提供できるはずがない。そこにはどんなカラクリがあるのだろうか。「一つは、顧客の確保が目的と考えられます。たとえば、来年の4月からはガスの小売が自由化されます。ガス会社が参入するのは、電力会社がガス事業に参入する前に顧客を囲い込んでおきたかったからでしょう。携帯電話も同じ。今は番号を変えずに会社を移行できますから、電気とセットで契約することで、顧客流出を防ぐ狙いがあるかもしれませんね」(田川氏)

 顧客を囲い込むため、多少の赤字は構わないという姿勢が見て取れるという。そんな赤字覚悟の薄利多売を、200以上の新電力会社のすべてが続けていけるとは、到底考えられない。「今の新電力の中で、最後まで残るのは、一握りだと思いますよ。原発が再稼働し始めたら、みんな価格競争で負けてしまうでしょうからね」(前出の森永氏)

 考えてみれば4月1日までに新電力を選ばなければならない理由は一つもない。「じっくり考えてから結論を出すのがいいと思います。いつでも切り替えることは可能ですから」(田川氏) まずはゲーム感覚で料金比較をしながら電力自由化を理解し、様子を見ながら冷静に切り替えを検討するのも決して悪い選択ではない。たとえCMで吉田羊に「いくじなし!」と言われても……ね。

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