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小泉進次郎「W選で勢力拡大?」自民党の救世主に

[週刊大衆2016年05月02日号]

小泉進次郎「W選で勢力拡大?」自民党の救世主に

 所属議員の“不祥事”が相次ぎ、株価も低迷。陰りの見える安倍政権がすがる“若きプリンス”が政局の中心に座る!?

 安倍晋三首相率いる自民党への逆風が止まらない。主眼の景気対策では円高に株安が止まらず、さらには、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が5兆円の損失を出していることが判明。国民の年金への不安も高まっている。「しかもタイミング悪く、甘利明前経済再生相が金銭を受け取った問題で東京地検特捜部が関係先の捜索に入りました。事件が再び注目を浴びる可能性が高いですね」(全国紙政治部記者)

 それでなくても、松島みどり元法相の“怠慢ぶり”が問題になったばかり。松島元法相は衆院外務委員会の席上、手で口を隠すこともなく大アクビ。よほど国会審議がつまらなかったのか、そのあと、ピンクの携帯電話を取り出していじり始め、ついには、背もたれに寄りかかりながら本を読みだす始末。そうかと思えば、「マスコミを懲らしめろ」など失言続きだった大西英男衆院議員が、「おい、巫女さんのくせに何だ!」と、職業差別とも取れる発言で批判を浴びた。

「安倍総理がこの問題を特に重視したのは、大西議員が衆院北海道5区補欠選挙の党公認候補の必勝祈願で、北海道神宮に行った際の出来事だったからです」(前同) 同神宮の巫女から「自民党はあんまり好きじゃないんです」と言われ、大西議員がその2日後、自民党細田派の総会でつい口を滑らせてしまったわけだが、「これは失言の中でも、かなり深刻」(党関係者)だという。

 24日に投開票される北海道5区補選。地元紙が実施した最新の世論調査では、野党統一候補が自民党候補を逆転していることが分かっている。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が続ける。「北海道5区は、(安倍首相の出身派閥である清和研の会長だった)町村信孝氏(故人)が守ってきた選挙区。また、北海道はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)問題に直結している地域でもあります。この選挙区を自民党が落とすことになると、今後の政権運営や夏の衆参W選挙構想(7月10日投開票が最有力)に影響が出ます。北海道5区と同日に行われる京都3区の補選は候補者擁立を見送り“不戦敗”ですから、なおさら北海道を落とすわけにはいかないのです」

 京都3区は、“ゲス不倫議員”こと宮崎謙介前衆院議員の辞職に伴う補選のため、空気を読んで候補者を立てられなかった自民党。北海道5区でも敗れて補選に2連敗となったら、確かに「政界のムードが一変する」(前出の党関係者)かもしれない。

 一方、安倍首相の願望は、7月の参院選を衆参W選で戦い大勝し、一気に“後期安倍政権”の足場を固めてしまおうというもの。「長期不敗態勢を築いた後に自民党の総裁任期(連続2期6年まで)を変更し、任期が切れる18年9月以降も、総理・総裁の座をキープしたいというのが、本当の狙いです」(官邸筋) 衆参W選挙は過去2回あったが、いずれも自民党が大勝している。「安倍総理は“衆参同日は無敗”という、これまでの実績を意識しているようです。さらに、選挙下手で知られる岡田克也さんが民進党の代表を務めている間に衆院も……という気持ちが強いようです」(前同)

 本誌は、官邸、所属議員、公明党筋から、現在、安倍首相が衆参W選挙に打って出る確率は「4割程度」との情報を得ている。「しかし、北海道5区の補選に敗れたら、その確率は大きく下振れする。逆に勝利したら、衆院解散は既定路線になるはずです」(前出の記者)

 つまり、衆参W選があるか否かは24日の補選次第。そんな状況の中、一気に政局のキーマンに躍り出たのが小泉進次郎・党農林部会長、その人だ。今や、党内では“選挙請負人”の異名を取り、1月に行われた沖縄県の宜野湾市長選では、進次郎氏の登場で自民党が大接戦を制している。「どの選挙でも、進次郎氏は引っ張りだこ。これまでの選挙の告示日には若手候補を中心に、あっちこっちから応援を頼まれ、売れっ子タレント並みの分刻みのスケジュールになっています」(前出の党関係者)

 彼が「選挙請負人」と呼ばれる秘密は、巧みな演説にある。進次郎氏に密着するノンフィクションライターの常井健一氏は、その演説の上手さに舌を巻く一人。「進次郎氏の演説は、まず自民党批判から始めて聴衆の溜飲を下げ、次第に親近感を持たせていくのが定石と言えます」

 たとえば、前回(14年)の総選挙の際は、消費税増税を先送りし、選挙に踏み切った安倍首相の政治姿勢が批判された。そこで進次郎氏はまず、「なんで今、選挙なのか、皆さん腑に落ちないですよね……私もそうなんです」と切り出したという。「演説のツカミの段階で自民党を批判する根底には、“自民党が支持されているから選挙に勝てるのではなく、野党がだらしないから自民党が勝てるだけ”という冷静な認識があるからでしょう」(前出の常井氏)

 それだけではない。「ご当地ネタをうまく使い、センテンスが短く歯切れがよいのも特徴。センテンスが短いのは父親の純一郎元総理譲りですね」(前出の鈴木氏) ちなみに、自民党には“客寄せパンダ”よろしく、選挙の際に応援演説で引っ張りだこになる“5人衆”なるものが存在し、党内では密かに「ランキング」が作られているという。第2位は安倍首相。第3位は元女優の三原じゅん子参院議員。そして、稲田朋美・政調会長(第4位)、石破茂・地方創生担当相(5位)と続く。2位の安倍首相を押さえ、堂々トップに立つのが進次郎氏だ。「苦戦する北海道5区の補選で安倍総理は、北海道の地元議員の携帯番号リストを官邸に取り寄せ、自ら電話をかけています。そんな総理の切り札が進次郎氏。これまで、どのタイミングで彼を投入するのがベストか、図っていたのです」(党選対関係者)

 そのタイミングは補選公示2日後の14日。新札幌駅前に、進次郎氏は姿を現した。前出の常井氏が言う。「北海道5区の補選は、進次郎氏にとっても負けられない選挙。町村氏は小泉政権の中で外務大臣として積極外交を支えた盟友だからです。当初は、進次郎氏の現地入りは選挙戦中盤、もしくは終盤といわれていましたが、序盤の14日になったのは意外でした。勝ちそうだと終盤に入って、“応援のおかげだ”と言わせ、負けそうだと早めに入って責任を回避するのが、進次郎氏周辺の考え方。これには、“党きっての応援団長が現地に入って補選を落とすようだと、衆参W選を前に彼のブランド力に傷をつけてしまう”という判断もあったはずです」 党は早々に“切り札”を切らざるをえなかったのだ。

 それだけ首脳陣に買われている進次郎氏だが、本人はなかなかにしたたかだ。進次郎氏に近い筋からは、こんな話も漏れ伝わる。「安倍政権は7月の選挙後、進次郎氏を副大臣か、思い切って閣僚に起用したい考えですが、進次郎氏はそれを断るはずです」

 そこには、政治の軍師である父親の姿が見え隠れしているという。「進次郎氏には、小泉元総理のアドバイスに素直に耳を傾けるところがあります。その父・純一郎氏は、原発ゼロを訴えています。したがって、原発推進派の安倍政権に入閣するとは考えにくく、次期総裁選では原発慎重派の候補を推すことになるでしょう。最も可能性があるのは石破地方創生担当相です。彼が原発ゼロに路線を転換するなら、“石破総裁”誕生のために、進次郎氏が無役となって奔走することは十分ありえます」(前同)

 むろん、石破政権誕生の立役者となった暁には、ポスト石破で政権禅譲を狙う考えだという。また、「党幹部は進次郎氏を“選挙請負人”と見なしていますが、一方で“あいつは好きな候補者の応援にしか行かない”という怒りも抱えています」(前出の記者)

 進次郎氏は若手候補の応援を優先しているという。「全国区の知名度がなく、経験の浅い候補にしてみれば、進次郎氏に応援に来てもらえれば、“百万の味方”を得た思い。これで、その候補は一生、進次郎氏に頭が上がらなくなるのです。こうやって、選挙のたびに、応援演説の行脚をすれば、彼は“進次郎派”を増やすことができるわけです。彼は無派閥ですが、派閥の領袖と言っても過言ではありませんよ。青年局長を務めた経験から、進次郎派は“青年局派”とも呼ばれ、党内で看過できない勢力を誇っています」(前同)

 党の客寄せパンダとしてフル稼働させたいのが党幹部の思惑でも、一筋縄ではいかないのが進次郎氏。「安倍総理もこれを承知のうえで、“諸刃の剣”である進次郎氏に賭けているわけです。それくらい、自民党には今、好材料がないんです」(同) 衆参W選へ執念を燃やす安倍首相は、この若き“選挙請負人”に未来を託したと言えそうだ――。

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