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安倍とプーチン「北方領土の密約」日露の利害一致で急展開!?

[週刊大衆2016年05月30日号]

安倍とプーチン「北方領土の密約」日露の利害一致で急展開!?

 戦後70年超、一族3代の悲願が、大きく前へと進もうとしている。「北の皇帝」の首を縦に振らせたその交渉の内幕を完全スクープ!

 5月6日、ロシアのソチで、安倍晋三首相とロシア・プーチン大統領の首脳会談が持たれた。「非公式訪問ながら会談は3時間20分にも及び、その中で安倍首相とプーチン大統領は35分間も、お互い通訳だけを介して話し合いました。会談後、首相が“今までの停滞を打破する、突破口を開く手応えを得ることができた”と語る横で深くうなずくプーチン大統領の姿があり、その席上で、日露平和条約締結と北方領土返還に向け、なんらかの“約束”が交わされたのではないかといわれています」(全国紙外信部記者)

 戦後70年以上が経過したが、実は、日本とロシア(終戦当時はソ連)はいまだ平和条約を締結していない。そして、戦後のドサクサに紛れて占領された択捉、国後、色丹、歯舞諸島いわゆる北方領土も、返還のめどが立たないまま。この問題の解決は、戦後体制の中で生まれた自民党の悲願と言っても過言ではない。「これまで、歴代の政権によって、何度も返還交渉が行われてきました。その都度“全面返還”にこだわる日本側の主張はのらりくらりとかわされており、具体的な解決は何も見ないままです」(全国紙政治部記者)

 祖父の岸信介・元首相、父である安倍晋太郎・元外相も頭を痛めたこの問題には、安倍首相の力の入りようもひとしお。「第1次安倍政権の頃も含めると実に12回もプーチン大統領に会い、“ウラジーミル”“シンゾー”とファーストネームで呼び合うなど、親近感を演出。同盟国・アメリカのオバマ大統領よりも、はるかに親密につきあってきました」(前同)

 しかし、この蜜月関係が危機を迎えた時期もある。2014年2月、ロシアがウクライナ領であったクリミア半島を併合し、武力衝突寸前にまで至る事態(クリミア半島危機)が勃発。これに対して欧米諸国はロシアに経済制裁を課し、日本もそれに同調したのだ。これでロシア側の態度は硬化し、領土問題の解決はまた遠のくかと思われた。「“雪解け”を目論み、同じ年の11月に安倍首相側が頼み込んで北京市内で行った会談は全部で約90分、“サシ”の時間はわずか10分。翌年の会談でもいまひとつ進展はなく、領土問題に関しては完全に手詰まりの印象でした」(同)

 今回の会談が3時間超だったことを考えると、当時との差は歴然。いったい、安倍首相はソチで、どのような話をしたのだろうか。「今回の会談では、日本がロシア側にかなり具体的な経済協力を提示したんです。医療技術やインフラの提供、石油・ガスなどのエネルギー開発、港湾・空港の整備など8項目にわたる大盤振る舞いと言える内容で、事実上、経済制裁をなし崩しにするような提案でした」(前出の外信部記者)

 これで、両首脳の蜜月関係は復活。6月に日本で次官級協議、そして9月にはウラジオストクで再び首脳会談が開かれる運びとなったのだ。安倍首相からプレゼントとして双眼鏡を受け取ったプーチン氏は「ウラジオストクでは、これ(双眼鏡)でシンゾーを発見しよう」と、上機嫌だったという。「歳入の半分を原油・ガス部門が占めるロシアは今、世界的に燃料価格が暴落したことで、財政難に喘いでいます。そこで日本の開発援助や投資を呼び込み、経済をテコ入れしたいという思惑に、首相の提案がマッチしたのでしょう」(国際問題評論家の小関哲哉氏)

 それにしても、従来よりもずいぶん思い切った、しかも具体的な提案をするものだ。そこには、安倍首相側の事情も見え隠れする。「円高に歯止めがかからず14年10月の為替水準に戻ってしまい、これによって、大手企業の決算は下方修正。当然、株価も下落し、国民から“アベノミクスは失敗だった”との声が上がり始めています」(前同)

 これでは、7月に予定されている参院選を思うように戦えない。「安倍首相が北方領土問題の事務レベル協議を6月に開始することにこだわったのは、7月の参院選前に、北方領土問題でさらに一歩前進したという印象を国民に与える狙いがあったからだと思われます」(政治評論家の浅川博忠氏)

 選挙対策としての外交成果が欲しい安倍首相と、懐事情が苦しいプーチン大統領。利害が一致する両者が“ひと芝居”打ち、問題の大きな進展をアピールする狙いがあった。経済協力は、その芝居の“ギャラ”ということなのだろう。「安倍首相の第一の目的は、やはり自らの手で改憲を実現すること。そのためには、まずは次の選挙で勝つことが大命題ですからね」(前出の浅川氏)

 その目論見はひとまず置いておいても、今後の協議で本当に北方領土が帰ってくれば御の字だが、はたして、そんなにうまくいくものなのだろうか。「首相は、これはこれで本気だと思いますよ。事実、首脳会談後、“今までの発想にとらわれない新しいアプローチで交渉を進めていく”と語りました。“4島を一括返還”というのが日本政府や外務省の大方針ですが、この安倍発言は“4島返還という形式にこだわらない”という意味にも取れる。つまり、2島や3島を先行返還という形でもいいということ。2人きりの会談の際、それをプーチン氏に伝えている可能性があります」(前出の外信部記者)

 これはもともとロシアに強力なパイプを持つ、安倍首相の“大ボス”森喜朗・元首相の腹案でもあったが、これまでは従来の政府方針に則り、公式にはその選択肢を排除してきた。「しかし、首相としては結果を出すためになりふり構ってはいられないと判断したんでしょう。前々から“領土交渉には引き分けしかない”と唱えるプーチン氏がこれを拒む理由はありませんし、実現可能性は確かにグンと高まります」(前同)

 また、そのプランも、すでにさまざまなものが発案されているという。「各島単位で徐々に返還するというものから“両国がだいたい等面積になるよう、東経147度線に沿って国境線を引く。択捉島が分割されるが、島民や法人は自由に行き来できるようにし、関税を廃して経済交流の拠点とする”というものまで、さまざまなオプションの検討に入っているようです。今後、6月から9月にかけて、こうした選択肢を検討していくことになると思いますよ」(外務省番記者) だが、前出の小関氏は、安倍首相の外交手腕に少なからぬ不安を覚えるという。

「ロシアの外交は狡猾ですからね。目の前に北方領土というニンジンをぶら下げられた状態で、功を焦るあまり譲歩しすぎたような内容を最初から出していると、最終的に莫大な金だけを出して終わり、という結果になりかねません」 頻繁に会談を持つのはいいが、「決定はまた今度」「次の会談で詰めましょう」とどんどん先延ばしにされ、さらに譲歩を引き出されていくリスクもあるのだ。

「さらに、近年のロシア偏重外交は、ずいぶんアメリカの不興を買っています。今回の訪露前も、西側諸国とロシア制裁で協調するオバマ大統領から首相に電話があり、伊勢志摩サミットで先進主要国が足並みを揃えることを重視して“ロシアに行くなら、サミット後にしてほしい”と安倍首相に翻意を迫っていたんですよ」(全国紙官邸番記者)

 ところが、安倍首相はそれを振り切り、プーチン大統領に会ったという。「サミット後だと、参院選との絡みで日程的に難しいですからね。もうすぐお役御免のオバマより、“票になるロシア”を選んだんでしょうが、次期大統領の最有力候補は同じ民主党のヒラリーですから、この“経済制裁破り”が今後の日米関係に大きな影響を及ぼさないとは言えません」(前同)

 首相の勇み足の結果、領土も戻らず金だけ取られ、米国ともギクシャク……と、長期的にはいいことナシの可能性もあるのだ。「それでも、首相は前のめりに行く気でしょう。今回の会談でプーチン大統領は1時間遅刻してきましたが、これは、待たせることで心理的に優位に立とうという駆け引き。そこから交渉を始める相手ですし、用心深くかかってほしいものです」(前出の外信部記者) “戦後体制からの脱却”を掲げる安倍首相。70年の時を超え、北の大地を取り戻すことはできるか――。

安倍とプーチン「北方領土の密約」日露の利害一致で急展開!?

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