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【武豊】ラニと学んだ「負けを噛み締める」大切さ

[週刊大衆2016年06月13日号]

「オークス」で沸いた22日(現地21日)、ラニをパートナーに、アメリカ三冠の2戦目「プリークネスS」(ダート1900メートル)に挑戦しました。メリーランド州ボルチモアにあるピムリコ競馬場は、「ケンタッキーダービー」が行われたチャーチルダウンズ競馬場よりさらに小回りで、直線は約350メートル。映画になったシービスケットとウォーアドミラルのマッチレース「ピムリコスペシャル」(1938年)が開催された競馬場で、あのサンデーサイレンスが、ゴール前、壮絶なデッドヒートの末、ライバル、イージーゴアをハナ差制したのが(89年)この「プリークネスS」でした。

 たぶんですが、日本人騎手として、ここでレースをしたのは僕が初めてだと思います。「ここが、あの……」競馬場に足を踏み入れた瞬間、思わず笑みがこぼれたのは、騎手としての夢がまたひとつ実現したことの喜びと、僕をここに連れてきてくれたチーム・ラニへの感謝の気持ちからです。

 でも、挑戦したからにはやっぱり勝ちたい。距離が2000メートルの「ケンタッキーダービー」より、さらに100メートル短いコースは、ラニにとってはプラス材料とは言えませんが、気持ちで負けるわけにはいきません。「アメリカの水に慣れてきたのか、状態は前走よりいい!」 松永幹夫調教師の言葉に勇気をもらって、いざゲートへ。レースはスタートで出足がつかず、またしても一頭だけぽつんと後方からの競馬になりましたが、3コーナーから徐々に進出し、最後は不良馬場の中、みんなが目を見張るほどの爆発力で掲示板を確保(5着)。可能性を感じさせてくれる走りを見せてくれました。

 次は、三冠レース最終戦……6月11日、ベルモントパーク競馬場で行われる「ベルモントS」です。距離は三冠で最も長い2414メートル。広々としたコースもラニ向きで、体調さえよければ、これまでで最高のパフォーマンスを発揮できる条件が揃っています。

――もちろん負けは負け。あとちょっとで。あそこでこうしていれば。運が味方してくれていたら……言い訳はできますが、どんな言葉で繕っても負けたという事実は変わりません。でも勝負事は、この負けを噛み締め、次に生かすことから始まります。馬も、人も。新たな歴史をつくるために、全力で挑みます!

 その前に――今週末、6月5日は、東京競馬場でGI「安田記念」です。パートナーは、小島太厩舎、H.H.シェイク・モハメドオーナーのディサイファ。このレースには、「安田記念」「マイルチャンピオンシップ」「香港マイル」「チャンピオンズマイル」とGI4連勝を含む7連勝中の昨年の年度代表馬、モーリスも参戦する予定です。

 あの馬の強さは、ちょっと次元が違いますが(苦笑)、パートナーの力と、競馬は何が起こるかわからない……という言葉を信じて、ゴールを目指します。

■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】ラニと学んだ「負けを噛み締める」大切さ

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