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【武豊】「負けて悔いなし」だった今年のダービー

[週刊大衆2016年06月20日号]

 2013年に生まれたサラブレッド、6913頭の頂点をかけた第83回日本ダービー――。「かなり厳しい戦いになるだろうけど、エアスピネルの能力を出し切れば、きっとチャンスはあるはず」

 3枠5番から飛び出した僕とエアスピネルは道中、5番手をキープ。正攻法の競馬で大一番に挑みました。人気上位馬は……24度目のチャレンジで初戴冠を狙った同期のエビちゃん(蛯名正義)とディーマジェスティ、2番人気のサトノダイヤモンドとC・ルメール、マカヒキと川田将雅のコンビは一団となってその後方。5番人気のスマートオーディン、4番人気のリオンディーズはさらにその後ろ。勝負の駆け引きを重要視すれば、彼らが見える位置で競馬をするというのも選択肢の一つでしたが、その考えは早い段階で頭の中から消しました。

――エアスピネルが最も力を出せるのは、どういう展開なのか。いや、それ以前に、この日本ダービーとは、どういうレースなのか。それを考えると、やはり結論は、力と力の真っ向勝負しかありませんでした。

――4角で前に進出し、直線早めで先頭に。1ミリでも、2ミリでもいい。間違いなく襲い掛かってくるライバルたちを抑え込んでゴール板を駆け抜けられたら。それが、僕が思い描いた日本ダービーへの道でした。

 レースは、100%に近いカタチで進められたと思います。勝つことだけを考えて騎乗し、エアスピネルもそれに渾身の力で応えてくれました。その証拠に、直線半ばで先頭に立ったときは一瞬、勝ったと思うほどの手応えでした。結果は4着。悔しさはありますが、悔いはありません。いつか、エアスピネルにGIの勲章を。宿題は秋以降に実現させます。

 今年のダービーを制したのは、マカヒキ。ダービーオーナーは、キングカメハメハ(04年)、ディープインパクト(05年)に続く、3度目となった金子真人さん。ダービートレーナーは友道康夫先生。そして、ダービージョッキーは川田将雅騎手です。

 優勝後のインタビューでは、「まだ実感が湧きません」と男泣きしていましたが、僕がそうだったように(笑)、おいしいお酒を飲みながら、じわじわと込み上げてくる喜びをかみしめているはずです。皆さんも、彼を見かけたら、〝ダービージョッキー!〞と声をかけてあげてください。それが、勝った者だけに与えられる最高の勲章ですから。

 気持ちを切り替えて、今週末は、再びアメリカへ。ラニとともに、米三冠の最後の一冠、「ベルモントS」に挑みます。距離は三冠で一番長い2414メートル。広々としたベルモントパーク競馬場のコースもラニ向きです。終わったことは振り返らず、いつでも、前へ、前へ。胸を張って、次なる戦いに向けて準備を整えます。最後に――急逝してしまったカネヒキリに合掌。

■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】「負けて悔いなし」だった今年のダービー

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