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こんなにかかる!「介護のおカネ」大調査

[週刊大衆2016年06月27日号]

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こんなにかかる!「介護のおカネ」大調査

 できれば想像したくない未来でも十分考え、備えておけば憂いなし。いつか来る“その時”のために、財布との相談くらいは始めたい!

 昨日まで元気だった親が、脳梗塞や心臓病で突然倒れる――。ある程度の年齢になってくると、否が応にも意識せざるをえない話だ。そして、その後に待っているのは介護生活。厚生労働省が今年の1月末時点で集計した全国の要介護(1~5)、それより軽い要支援(1、2)の人の数は、合計で618万3346人。現在の日本の世帯数が5641万2140であることを考えると、これは驚くべき数字だ。

 また、その数だけでなく、それぞれの家計への負担も問題視されている。生命保険会社などで構成される公的財団法人「生命保険文化センター」が昨年12月に実施した全国実態調査によれば、親1人あたりの介護にかかる期間は、平均で59.1か月(4年11か月)。そして、月にかかる費用の平均額は、7万9200円という計算になるらしい。「つまり、介護にかかる費用だけで、およそ平均468万円。これに加えて、介護を始めるときにかかる車椅子の購入費や自宅の改修費なども、平均で約80.3万円かかっています。つまり、約550万円が介護にかかる平均的な費用と言えます」(生命保険文化センターの広報担当者)

 もちろん、これはあくまで平均値。要介護度の違いや介護期間の長期化などによっても、かかる費用は雪だるま式に増えていく。平成24年の調査では、介護に「月額10~15万円かける」という人が全体の13.7%、「15万円以上かけている」人が19.2%も存在した。要介護の家族を抱える家庭の実に3分の1が、月10万円以上の出費を強いられているのだ。

 では、いったい、何にそれほどの金額がかかるのか。公的な介護サービスの財源となるのが、40歳以上の全員が加入する介護保険。利用者負担は、基本的にサービス料の1割だ(1人世帯で160万円、2人世帯で346万円以上の所得がある場合は2割)。各サービスには、それぞれ定められた単価があり、1か月あたりのサービス利用金額には上限がある。その額は介護の度合いによっても異なるが、上限を超えた分が自己負担になる。そのため通常はケアマネージャーなどに相談しつつ、上限を超えないように、毎月のプログラムを組むのだが、それでも相当な出費になることに変わりはない。

 ある事例を参考にしてみよう。要介護3のTさんは、基本的に在宅介護で、月5回の訪問看護(8140円×5)、月22回の訪問介護(3880円×22回)、月13回のデイケア(7720円×13回)、月3回の施設へのショートステイ(8550円×3日)を受けている他、車椅子、特殊寝台などの福祉用具を借りている(月2万5000円)。これらの合計月額サービス利用金額は、27万7070円。介護保険から支給される要介護3の保険金額の上限が26万9310円なので、その1割=2万6931円を自己負担したとして、超過分の7760円が全額負担として乗ってくる。さらに、施設における食費や居室料は介護保険の対象外なので、それも全額負担。ショートステイ中の食費2500円×3日分を加えた4万2191円が、自己負担金となる。

「しかし、必要なものは他にも山積み。日々の自宅での食費、おむつやタオルなどの消耗品、施設やデイケアへの送り迎えの交通費など雑費がバカにならず、あっという間に3~4万は増えます。このハードな状態が、平均5年弱は続くんですよ」(介護経験者)

 福祉施設に入居させる場合も同様だ。公的な施設である特別養護老人ホームなどの場合はどうか。要介護5のMさんの場合、月額サービス料金27万7200円のうち自己負担は1割の2万7720円だが、ホームでの食費(月額4万1400円)や居住費(5万9100円)、その他管理費、日用品、理容費など、保険対象外の自己負担分が合計11万5500円。つまり、サービス料金の自己負担分と合わせて14万3220円がかかる計算だ。さらに、民間運営の介護つき有料老人ホームともなると、入居一時金だけで100万円以上かかる施設もあり、総費用は天井知らず。介護が長期化すれば、総額は容易に1000万単位になってしまうのだ。

 地域医療や介護をサポートする「地暮」の代表取締役で『親の入院・介護に必要な「手続き」と「お金」』(日本経済新聞出版社)の著書もある中村聡樹氏は、こう語る。「一般的には、親に年金や蓄えがあれば、そこから介護にかかる費用を捻出するもの。しかし、仮にご両親が国民年金だけに加入していた場合、お一人あたりの支給額は月6.5万円なので、預貯金が少ないと満足に賄えないのが現実です」

 冒頭に挙げた平均の月額でも、国民年金だけでは不足。実際、ある程度は自分が負担することを覚悟している人も多いだろう。とはいえ、自分たちにも生活がある。負担を少しでも減らすために、できることはないのだろうか?「まずは家計や親の介護度を考え、“介護料はここ、雑費はここまで毎月出せる”と予算を決めることです。元気なうちから年金額の超過分を積み立てておくのもいいでしょう」(中村氏)

 たとえば介護の必要が生じて、ケアマネージャーとプランを考える際には「月額3万円なら出せます。この金額の範囲内でできるプランを考えてください」と話して、きっちり予算を決めておくといいという。「手厚くケアしたいのが肉親の情ですが、希望ばかり並べて高額になってから“これとこれは削ろう”となるのは、精神衛生上もよくないですからね」(中村氏)

 そう、少しでも負担を減らすには「いよいよ介護か」と意気消沈せず、自らの限界も冷静に考えながら、能動的に動くのが一番なのだ。たとえば、在宅介護の場合、浴室に手すりをつけるなど改修の必要が出てくる。これには、介護保険から上限20万円の住宅改修費が支給される。「必要のないところにまで手すりをつけるなど、余計な工事を提案してくる工務店もありますが、この20万円は何回に分けて使ってもいいので、きちんと見極めて必要な工事だけ頼むべきでしょう」(中村氏)

 また、介護費や医療費が高額になった場合の軽減策もある。高額介護サービス費制度や高額療養費制度を使えば、収入が低く、介護費・医療費がかさむ人ほど、定められた上限を超えて払いすぎた分を返してもらえる場合もあるのだ。2つを合算しての申請も可能なので、ぜひ利用したい。「対象者には、必ず市区町村からお知らせが来ます。介護で忙しくても、こうした通知を見逃すと“損”をすると心得て、必ずチェックしてください」(中村氏)

 もちろん自ら申請しなければ、費用が還付されることもないので、制度を知っておくことが必要だ。また、少し裏技的なのが世帯の分離。介護保険料や自己負担金などは世帯所得によって決まるため、現役の子どもや孫と同じ世帯だと、親自身の年金収入はわずかでも“高所得”と見なされ、支給金額の上限が低くなってしまう。そのため、役所に「世帯変更届」を出して親を独立した世帯主にすれば、保険料や福祉施設の費用などを、場合によっては半額近くにまで節約できるのだ。

 いずれにせよ、こうした対策に大切なのは、事前に親の資金や資産の状況を、きちんと把握しておくこと。「親が元気なうちに腹を割って話し、どれくらい収入や資産があるのか確認しておくことが大切です。それをもとに、いざというとき何を申請し、どこに連絡するべきか、考えておきましょう」(中村氏) 親孝行はしたくとも、共倒れでは本末転倒。お互い余裕のあるうちに、家族で「いくらかかり、いくら使え、いくら減らせるのか」を話し合っておこう。

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