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大激戦の参院選、安倍自民に立ちはだかる「障壁」

[週刊大衆2016年06月27日号]

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大激戦の参院選、安倍自民に立ちはだかる「障壁」

 7月10日に日を定め、必勝を期す安倍首相。相対するは烏合の野党かと思いきや敵は多いようで……。

「衆参同時選挙のつもりで動いていた各党ですが、安倍首相がW選を完全否定したことで、急ピッチで参院選の準備を進めています。6月22日の公示日を前に、それぞれの思惑と主張が各地で蠢いています」

 全国紙政治部記者が鼻息荒く言うように、7月10日に投開票することが決定した参議院選挙。安倍晋三首相は6月6日に福島で事実上の遊説を始めると、8日に山梨、9日に山形と早くも全国を飛び回っている。安倍首相は与党で改選の議席の過半数となる61議席の獲得を勝敗ラインに設定しているが、「事前予想では、自民が50議席を下回るという厳しい見方も出ています」(前同)

 政治評論家の浅川博忠氏は「そのような惨敗なら、もちろん即退陣」と言い切るが、そうでなくとも、「自民党単独で過半数を維持するのに必要な57議席を下回れば、9月の党・内閣人事を念頭に置いた“安倍降ろし”が始まることもありうる」(前出の全国紙記者)と声を潜めるのだ。

 しかも、その“大敗”の可能性が現実のものになりつつあるというから穏やかではない。「自民党は32の1人区(当選者が1人の選挙区)のうち、12を重点選挙区、5を準重点選挙区としています。“重点”とは、言い換えれば、負ける可能性があるということ。それだけ、自民党が慌てている証拠」(政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏)

 この背景には、野党のまさかの“結束”がある。「存在感を示せない野党が、打倒自民を合言葉に、1人区で統一候補の擁立に踏み切りました。しかも、独自候補に強いこだわりを見せてきた共産党も加わるということで、不気味さを増し、7選挙区では野党が自民の現職を破る予測も出ているんです」(民放局記者)

 結果、「報道こそ少ないものの、野党の在り方を変える大きな潮流になりつつある」(前同)という。そして、自民が常に苦手とする沖縄選挙区は、今回も鬼門となりそうだ。現役閣僚である島尻安伊子沖縄北方担当相が出馬するが、「落選が現実味を帯びている」(同)というのである。「本来、“選挙区は自民、比例は公明”との“沖縄戦略”が両党で描かれていたのですが、島尻氏の苦戦を受けた自民は地元出身のアイドル今井絵理子氏を比例で擁立することで、島尻氏の援護としたんです。公明からすれば、その支持層を奪われかねないことから、島尻氏の推薦に難色を示しています」(同)

 勝つための“刺客”が、逆効果となるかもしれない。野党の共闘や沖縄の戦いに加え、前出の浅川氏は、女性有権者も安倍自民の前に立ちはだかると話す。「“保育園落ちた日本死ね! 問題”や、女性層から“戦争法”と捉えられている安保法制がネック。このまま説明がない状況では、女性票をみすみす逃すことになります」

 安倍首相は、「消費増税を再延期することで、それらの批判をかわそうとしているんです」(野党議員)という構えだが、これまた逆効果。再延期により年間4兆円以上の税収入を失い、首相も「社会保障について(消費税率を)引き上げた場合と同じことを行うことはできない」と明言するまでに追い込まれた。つまり、「子育て支援などに使う予定だった1兆3000億円の財源が消えたことを公にさらしたということです」(前同)

 さらに、この決定が第4の障壁までも生むという。話すのは自民党職員だ。「消費増税の延期は、若年層にとっては将来の社会保障不安を駆り立てるため、必ずしもポジティブに捉えられていません。選挙権が18歳以上に引き下げられて初となる国政選挙だけに、若者層の票がどこに流れるのか……」 そして意外にも、ネックは身内にも潜んでいる。「一部週刊誌でも報道されましたが、選挙戦を先頭に立って取り仕切らなければならないはずの茂木敏充選挙対策委員長の評判がよろしくないんです。テレビ局や新聞記者への要求が度を過ぎるとして、やんわりではありますが、我々職員にもクレームが入るほど。“報道の自由”を侵害しかねない件もあり、内心ヒヤヒヤですよ」(前同) 安倍首相にとって参院選は、内外さまざまな場所に障壁が立ちはだかる厳しい選挙戦となりそうだ。

 自民党の中堅議員が、「結局は“小泉進次郎頼み”。でも、いつもとは、そのワケが違うんだよ」と意味深に話すのは、一部報道を受けてのもの。「W選にこだわっていた安倍首相が衆院解散を断念せざるをえなくなり、“選挙応援は進次郎に回らせればいい”と、投げやりになっているって報じられたでしょ。それは結構当たっていて、その瞬間から進次郎は“影の選対委員長”に就任したも同然なんだよ」(前同)

 現在、“表の選対委員長”は茂木選対委員長だが、すでに触れたように、評判はよろしくない。しかも、「選挙となっても存在感は希薄で、参院選への影響力は極めて限定的。応援演説で全国を回るのは選対の本来の仕事じゃないかもしれないけど、進次郎のほうが適任だよ」(同)

 ひとたび選挙となれば、進次郎氏が引っ張りだこになるのは周知の事実。応援弁士やポスター撮影の依頼が多くの陣営から殺到するのは、父親譲りの話術が人々を惹きつけるからだ。政治評論家の浅川博忠氏は「党最大の広告塔ですから、フル稼働が期待されている」と、その人気に太鼓判を押したうえで、「18歳以上に引き下げられた選挙戦だけに、若者層の掘り起こしが一番の狙いであることは間違いない」と続ける。実は、消費増税の再延期を決めた安倍首相の決断に進次郎氏は、「再延期も、決まっていた(社会福祉の)充実策もやるという。こんなおいしい話はない。そんな話に若い人たちは騙されない」と、若者の代弁者としてこう噛みついていたが、これは官邸筋も織り込み済みだという。

「有権者が“よく言ってくれた!”と思うことをズバズバ発言し、彼が応援演説する候補者につい投票してしまうことを狙っているようだ。安倍首相も、それが分かっているから、好き放題言わせている節がある」(前出の中堅議員) 自民党が勝つかどうかは、安倍首相でも選対委員長でもなく、進次郎氏の動きにかかっているのだ。

 もはや、参院選の名物となりつつあるタレント候補。今回の選挙でも、優良銘柄から意味を見出しにくい候補者まで、玉石混交の乱立状況を呈している。中でも、“タレント激戦区”として注目を浴びそうなのが東京選挙区だ。今回から改選定数が5から6へ1議席増えるため、各党が候補者探しに躍起になっていたが、固まりつつあるその顔ぶれは、選挙戦とは思えないほど多様だ。

 まず、おおさか維新から元長野県知事の田中康夫氏が、新党改革からは元女優の高樹沙耶こと益戸育江氏が出馬を表明。民進党の現職で3度目の当選を目指す元タレントの蓮舫氏も合わせ、知名度合戦の様相を呈す中、6月7日になって自民党は、元ビーチバレー五輪代表の朝日健太郎氏の擁立を公表した。「田中氏は、知事時代の実績に加えて国政経験もあるのはプラスですが、2012年に出馬した衆院選では落選しているのが気掛かり。益戸氏は、主張する政策の目玉ポイントが“大麻の合法化”では正直きつい」(全国紙政治部デスク)

 一方、蓮舫氏は「前回に続きトップ当選の最有力候補。民進党にとっては、彼女こそが比例区における票集めの最大の広告塔でしょう」(前同)という。その蓮舫氏と並ぶほどに、民進党が期待する新人のタレント候補が長野県にいる。かつて、TBSの顔としてキャスターを務めていた杉尾秀哉氏だ。「選挙前から当確を出してもいいほど盤石。むしろ、議員として、どのような活動をしてくれるかに期待してしまいます」(同)

 一方、真っ先に出馬を表明しながら、立場が微妙なのはアイドルグループ・SPEEDの今井絵理子氏だ。自民党から比例区で立候補することは前述したが、「婚約者の男性が、女子中学生を違法に働かせて逮捕された過去を持ち、あまりにイメージが悪い。彼女自身は比例区での出馬なので当選は間違いないでしょうが、求められているのは、沖縄選挙区の援護と比例区での票集め。本来の役割は果たせなさそうです」(自民党関係者)

 ちなみに、公示日直前に発表されることが多いといわれる目玉候補だが、「壇蜜、みのもんたなど、何人かの名前が一部では上がってはいますが、実現性は低い」(前出のデスク) 今回の参院選では谷亮子氏が出馬しない意向を表明。もはや、知名度だけでは勝てないのだ。

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