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シニア世代を狙う「悪徳サギ」、警視庁が“完全防衛術”を伝授!!

[週刊大衆2016年07月11日号]

シニア世代を狙う「悪徳サギ」、警視庁が“完全防衛術”を伝授!!

 ついだまされて高齢者がお金を払ってしまう事件が続発! その道のスペシャリストが、被害を免れる方法を伝授する。

 5月31日、大阪府警は大阪在住の80代の女性経営者が、証券会社や大手製薬会社の社員、金融庁職員を名乗る犯人に巨額の現金をだまし取られたと発表。その被害額は、なんと5億7000万円。これは、一人に対する特殊詐欺の被害額としては、全国で過去最高となった。

 特殊詐欺とは、不特定多数の個人に電話やメールなどをしてカネをだまし取るもので、オレオレ詐欺を筆頭とする振り込め詐欺も、ここに含まれている。「警視庁管内でも、今年になって被害額8500万円の事件が起きています。我々警視庁も特殊詐欺の撲滅に力を入れているのですが、残念ながら被害件数、被害額とも減る気配はないのが現状ですね」

 こう説明するのは、警視庁犯罪抑止対策本部特殊詐欺対策担当管理官の芝山賢一警視。日々、特殊詐欺と最前線で闘うスペシャリストだ。昨年、特殊詐欺の被害件数は都内で1879件、被害額は67億円だった(全国では1万3824件、被害額はおよそ482億円)。今年も1~5月だけで726件、20億6000万円の被害が出ている。特殊詐欺の中でダントツに多いのがオレオレ詐欺だ。警視庁管内の今年1~5月の特殊詐欺認知件数の71%(514件)、被害額では74%(15億2000万円)を占めている。

「オレオレ詐欺の被害額は平均で342万円。被害者の年齢は70歳以上が91%。男女比では80%が女性となっています。つまり、週刊大衆読者の親の世代が危険にさらされていると言えますね」(芝山管理官=以下同) 警視庁のホームページでは具体的な手口を紹介している。

●ケース1
「勤務先の金に手を出し、300万円分の株式を買ってしまったが失敗した。会社から横領で訴えられてしまう」と母親に泣きついてくる。犯人は息子をかたり「会社に監査が入る前に300万円を返せば何とかなる」と話すと、それを聞いた母親は金を用意すると約束。「宅配業者を手配したから家に10分ぐらいで着く」と金の受け取りを急ぐ。

●ケース2
「不倫相手を妊娠させたうえ、その旦那とトラブルになり示談金が必要になった」と、しきりに咳をしながら母親に電話をかけてくる。示談金100万円を弁護士に渡すから貸してほしい、と頼み、自分は扁桃炎で動けないので、弁護士が直接取りに行く、と告げる。

「現在では、本人名義以外の銀行口座を作るのが難しくなったこともあって、金を振り込むケースは減少しました。特にオレオレ詐欺の場合は、514件のうち501件が手渡しと、97%に達しています。電話で子ども本人になりすまし“金を取りに行くから用意して”と告げ、最終的に都合がつかなくなったと、代理の人間が金を受け取る形ですね」 会社の上司、弁護士、取引先など、何人もが電話を掛けてだます“劇場型”といわれる手口だ。

 “時事ネタ”を巧みに取り込む場合も多い。横浜の傾斜マンション事件があった直後は、「うちのマンションも、くい打ちが不十分で建て替えが必要になった。初期費用を出して」と詐欺を持ちかけた例もあった。「最近ではマイナンバーを案件に用いた詐欺もありました。とにかく、詐欺グループは時流に敏感という印象ですね」

 詐欺師たちが電話する際に使用する名簿も、近年では精度が高くなり“オレオレ”ではなく、実際の子どもの名前で、電話をかけてくるケースもある。さらに一度詐欺に遭った被害者が詐欺師たちのリストに登録され、何度も被害に遭うことも多い。「そうした例を“おかわり”などと呼ぶようですが、名簿やリストはどんどん進化している印象があります」

 それにしても、なぜここまで被害が拡大しているのだろうか?「途中で詐欺だと気づいてからも、やり取りを続行して検挙する“だまされたふり作戦”などで実行役を検挙しても、彼らは犯行を指示した人間の本当の名前すら知らない。主謀者には、なかなかたどり着けないのです。特殊詐欺の検挙者の半分以上は反社会的組織と、なんらかの形で関わっているというデータはあるのですが……」

 しかし、この詐欺被害の特徴は「被害者の心理的な要因も大きい」と、芝山管理官は分析する。「被害者に話を聞くと、“絶対自分は大丈夫”と思っていた人ばかりです。テレビで見て知識もあって“絶対引っかからない”と思っていてもだまされてしまう。我々は“親心スイッチ”と呼んでいますが“これは自分の子だ”と信じた瞬間、スイッチが入る。そうなると、なんとしても助けなきゃ、と思ってしまうのです。この親心スイッチをオフにするには、他の人が何を言ってもダメで、子ども本人と話すのが一番。そして、実際に会って本人を確認するまで、絶対にお金を渡さない、これを徹底することですね」

 警視庁では銀行への要請を行い、水際作戦と言うべき対策も取っている。「お年寄りが大金を下ろす際、行員の方から“何にお使いになりますか?”といった形で声をかけてくださいと、お願いしています。いちいちうるさい、と腹を立てる方もいらっしゃいますが、この声がけで、5月末までに448件、12億5000万円の詐欺被害を未然に防いでいる。どうか、怒らないでくださいと、お願いしたいです」

 65歳以上の方が100万円以上を引き出したら、無条件で警察官が出動すると決めている署もあり、実に月150回以上も出動することになったという。

 一方、我々自身も有効な対策を取ることはできる。一つは、警察や自治体が配布する自動通話録音機を導入することだ。これは家に電話があると、実際に通話する前に音声ガイダンスで≪通話を自動録音する≫というアナウンスが流れるもの。証拠を残したくない詐欺師たちはすぐに電話を切り、被害を免れるわけだ。「警視庁と東京都で3万5000台を無料で希望者に貸し出しました。市販の自動通話録音機(約6000円)でも代用できます。これを導入した家庭での被害は、現在のところ報告されていませんね」

 常に留守番電話に設定しておき、すぐに電話を受けず、内容を確認してから、かけ直すという方法も効果的だという。芝山管理官は、こうした詐欺への対策が守るのは資産だけではないと言う。「本当に被害者はかわいそうなんですよ。詐欺は家庭を壊しますから。詐欺には、どうしても“だまされたほうが悪い”というイメージがつきまといます。被害者なのに、“なんでだまされたんだ”と家族から非難されてしまうのですよ。精神的に追い込まれて、自殺を図ろうとした方もいます」 まさに、悪徳の極みとも言うべき犯罪なのだ。

「被害額202万円というオレオレ詐欺の事例があったんですが、その2万円は何かというと、代理で金を受け取りに来た犯人に“子どものために、ありがとうございます。これ、手間賃です”と、被害者が現場で2万円渡したそうです。そんな金まで奪うのか、と思いました。だまされるのが当たり前なんです。親なんですから。子どもを心配する気持ちにつけ込む犯罪で、許せないですね」

 被害を防ぐために、芝山管理官は家族で事前に話し合い、ルールを作っておくことを推奨する。「電話では絶対にお金の話はしない、万が一の事態には合言葉を決めておく、などですね。また、犯人側は“携帯を落としたから”と、新しい番号に電話するよう誘導しますが、必ず、もともとの番号にかけてください」

 そして、実際に訓練を行うことが肝心だという。「本来の番号に電話することを念押ししてから親に電話し、“俺だけど、携帯なくしたから新しい番号にかけて”と言う。それで、もともとの番号にかけてくれれば成功です。ばかばかしい、と思われるかもしれませんが、一度、こうした訓練をしておくことで慣れる。それだけで、まったく違うのです」 まさに転ばぬ先の杖こそが、自分と家族を守る防衛術となる。自分たちは大丈夫と過信せず、対策に取り組んでほしい。

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