日刊大衆TOP 芸能

ウォーキングは日本人向き? 健康のためには「走るより歩け」!

[週刊大衆2016年09月12日号]

ウォーキングは日本人向き? 健康のためには「走るより歩け」!

 ジョギングよりウォーキングのほうが日本人の体にいいというが本当か。オリンピックでの結果が証拠というが……

 リオデジャネイロ五輪の男子50キロ競歩で、昨年の世界選手権で同種目4位だった荒井広宙(28=自衛隊)が、3時間41分24秒のタイムで銅メダルを獲得した。一方、男子マラソンでは、佐々木悟(30=旭化成)の16位が精いっぱい。かつて“マラソンニッポン”と呼ばれた我が国だが、ここ数年、こと男子においては競歩のほうが強化に成功していると言えそうだ。

 それにしても「競歩」という耳慣れない種目だが、ただ歩いているだけかと思いきや、大違い。大まかに言うと、競歩の基本的ルールは以下の2つ。

(1)常に、どちらかの脚が地面に接していること

(2)前足は接地の瞬間から、一度地面と垂直になるまで膝を曲げないこと

 試しに、この歩き方で数メートルを歩いてみると、非常に歩きづらい。この歩き方で“なるべく速く”“50キロもの長距離”を歩くのは、至難の業だということが分かるだろう。

「そのため、競歩のトップ選手は上半身や体幹の筋肉も鍛えられ、非常に引き締まった体をしています。つまり、ひと言に“歩く”と言っても、歩き方によっては、走るのと同様の運動効果があるということですね」(健康専門誌記者)

 つまり、頑張って走るよりも“上手に歩く”ことで、無理せず健康増進が可能ということなのか? 米国立がん研究所などの調査でも、運動を週に5日以上行っている人は、ほとんど行わない人に比べ、がん全体の発症リスクが7%低くなることが判明しており、やはり適度な運動は健康のために不可欠と言えるだろう。

 競歩のようなハードな歩き方はせずとも、より実践しやすい方法で取り入れることができるなら、願ったり叶ったりだ。さっそく、どのような歩き方がいいのか、調査してみた。

 まず、特に日頃から運動していない中高年にとっては、心拍数の観点からも“走る”より“歩く”ほうがいいのだという。皆さんも覚えがあるかもしれないが「今日からジョギング始めました!」という人が犯しがちな失敗は、いきなり無理をして、きつい思いをした結果、習慣化せず終わってしまうこと。

「4月4日放送のバラエティ番組『しくじり先生俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)では、お笑い芸人の松村邦洋が2009年の東京マラソンに練習不足にもかかわらず出場し、コース途中で急性心筋梗塞で倒れ、心肺停止となり、生死をさまよった経験を激白しています。極端な例ではありますが、このように慣れない人が急激な運動をすると、ときには生死にも関わる事態になることもあります」(前同)

 マラソン競技などを見ていると、よく脱水症状などで失速する選手がいる。日頃から鍛えている選手でもそうなのだから、運動不足の一般人が水分や栄養を十分に補給せず、いきなりハードに走るのは、自殺行為と言っても過言ではない。

「脱水症状は発汗によって起きますが、こうした激しい発汗を繰り返すと、腎臓や肝臓にも負担がかかります。数値が高い方や持病のある方などは、特に避けたほうがいいでしょう」(同)

 また、循環器の専門医でもある大阪樟蔭女子大学・健康栄養学部の石蔵文信教授は次のように話す。

「生物には心拍数の限度が定められていて、15億回から20億回といわれています。当然、ハードな運動で心拍数を使うと、理論上はその分、長生きできないことになります。また、タイムを競うなど、自分の体を顧みず、過度の負担をかけるのが一番よくありません」

 内臓や循環器だけでなく、準備不足のままジョギングをすることによって腰や足首、膝などの関節を痛めたという例も多い。「特に体重の重い人は、それだけ腰や関節への負担が重くなりますから、要注意です」(前同)

 その点、ウォーキングなら、ある程度は自分でペース調整が可能なのだから、我らオヤジ組としては、こちらを選ぶのが無難だろう。「欧米の研究データでは、最大心拍数の6~8割を上限にするのがベストであるという結果が出ています」と言うのは、新潟大学名誉教授(専門は予防医学)で現在、水野介護老人保健施設長を務める岡田正彦氏。具体的には、1分間の心拍数の上限を「165-年齢」とする考え方だ。50歳の人なら、1分間の心拍数が115に達しないよう心掛けて運動を行えば、体に負担をかけることは少ないのだという。

 安静時の心拍数は「1分間50~90」が正常値だというから、特殊な歩き方をしない限り、まず上限を越えることはない。とは言いつつも、“ただダラダラ歩かない”ことも重要だ。

「時速3キロのウォーキングより、時速5キロで歩くほうが健康にいいことが分かっています。つまり、ある程度は運動量が上がるほど効果も上がるということですね」(前出の岡田氏)

 よく「健康のためにエレベーターを使わず、階段で上り下りしましょう」と言われるが、岡田氏によると、階段を下りるのは時速5キロで歩くのと同じ、階段を上がると時速7キロで歩くのと同じくらいの運動量なのだという。

「よく“犬の散歩をしているから大丈夫”とか“ゴルフをしているから運動は足りてる”という人がいます。しかし、いずれも、それほど負荷の高い運動ではないため、運動効果は期待できません。健康法としては、あまりオススメできませんね」(前同)

 特にゴルフの場合、電動カートを使ってラウンドすると、ピアノを弾く程度の運動量しかないという。上限の範囲内で、ある程度、心拍数を上げないと運動効果は得られないのだ。「少し汗ばむ程度の運動量、というのがウォーキングの目安です。このウォーキングを30分、週に5回は行うのが理想です」(同)

 当然「少し汗ばむ」というのは気温を考慮に入れなければの話だが、夏でも朝の涼しい時間帯に行えば、適度な発汗で切り上げることは可能だ。歩数に関しても、適度でよいのだという。

「専門的には“中強度”といいますが、早歩きなら1日1万歩で十分でしょう。以前、東京都健康長寿医療センター研究所が、群馬県中之条町の65歳以上の高齢者5000人を対象に13年間調査したところ、7.5分以上/5000歩で認知症・脳卒中などの予防、30分以上/1万歩でメタボ予防につながるというデータが出ているんですよ」(前出の専門誌記者)

 また、それくらいのペースで歩くとなると、全身を効率的に動かすことも大事になってくる。まずは腕の振りを、まっすぐ大きくするのが基本だが、もう一つ、意識すべきポイントがあるのだ。

「競歩の選手たちのフォームを見ていると、腰を左右に大きく動かしながら歩いていますよね。あれは速く歩くためのテクニックなのですが、気になるお腹周りのたるみを減らすのにも“腰をひねる”運動は効果的ですから、あの独特のフォームを少し意識するといいでしょう。“前に出す手と足は逆”というのがウォーキングの動きですが、その足を腰から動かすイメージで歩くと、きれいに腰がひねれます」(フィットネス誌編集者)

 それを意識的に行うことで背筋も伸び、ひいては上体の筋肉が鍛えられることになる。また、脳への血行もよくなり、認知症予防の効果も見込めるというのだから、これはうれしい副産物だ。それにしても、それなりの運動量をキープしつつ、心拍数も上限を超えないようにするというのは、なかなか難しい注文のようにも思えるが……。

「最初は細かく心拍を測りつつ、“自分はどれほどの運動をすれば、どの程度の心拍数になるのか”をきちんと把握しながら、少しずつ歩くのがオススメです。今は簡単に装着できるタイプの心拍計や、心拍数を測定するスマホアプリなどもありますから、そういったものを活用するといいでしょう」(前同)

「千里の道も一歩から」と言うように、いきなり手っ取り早い効果を求めるのではなく、できることからやっていくほうが、結局、長続きするのだ。

 そういう意味では、まずは気分からということで“シューズを新調する”というのも一つの手だと、前出の岡田氏は言う。「クッション性の優れた靴で足腰を守るという効果のほか、“せっかく買ったんだから”というモチベーションを高めることにもつながりますからね」

 三日坊主の我ら中高年も、4年後の東京五輪まで健康に暮らせるように、まずは“一歩から”踏み出してみようではないか。

ウォーキングは日本人向き? 健康のためには「走るより歩け」!

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.