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【武豊】皆さんに感謝の気持ちが溢れた2万回騎乗

[週刊大衆2016年09月26日号]

 最後は大好きな小倉で。夏の小倉最終日は1Rでベルウッドカペラに騎乗。成績(13着)はともかく(苦笑)、これが、JRA通算2万回騎乗となりました。

 初騎乗は1987年3月1日の阪神4R(アグネスディクターで2着)。まさか、あのときは、これだけ長く乗り続けていられるとは思いもしませんでしたから、夢のような数字です。

 漢字で表記すると2万回。算用数字にすると、0が4個で20000回。1日1回、毎日騎乗したとして54年8か月……こうやって考えると、とんでもない数字だということに気付かされます。

「タケクニ(武邦彦)さんの息子か!?」

 どこに行ってもそう呼ばれたあんちゃんの時代。

「騎手になったからには、鞭と鞍を持って世界中を飛び回りたい!」

 わくわくすると同時に、乗れないことへのジレンマを味わったアメリカ挑戦。ケガとの戦い……。どんなときも変わらず僕を信頼し、騎乗依頼をくださった関係者のみなさんに、心から感謝しています。

「いいかユタカ。技術だけがうまくなっても、いい馬乗りにはなれない。みんなから信頼される騎手、誰からも愛される騎手になりなさい」

 父・邦彦が現役時代に所属し、競馬学校を卒業した僕もお世話になった武田作十郎先生の言葉が、あらためて心にしみます。これからも期待に応えられるよう競馬と真摯に向き合っていきたいと思います。

 まずは今週末から。9月18日、中山では、菊花賞トライアルの「セントライト記念」が、阪神では、秋華賞トライアルの「ローズステークス」が行われます。

 夏を牧場で過ごした馬、地方に散らばっていた馬が、栗東に戻り、いよいよ、秋のG1がはじまるんだというこのざわめきに、騎手の心も弾みます。

 僕が騎乗するのは、「ローズステークス」で、パートナーはレッドアヴァンセ。春のクラシックで後れを取ったシンハライト、ジュエラー……といったライバルたちとの差をどうやったら逆転できるのか!? その手がかりを探り、やれるという自信を深めるレースにしたいと思います。

 本当は、馬と会話ができれば事前に打ち合わせも出来ていいのですが。「前半は抑え気味で、3コーナー過ぎからスパートしよう」とか、「逃げられるようなら逃げよう」とか、「前半はじっくりと内で脚を溜めていこうよ」とか(笑)。

 でもそれは無理なので、馬の気持ちを考えながら、最大限の力を引き出せるような競馬を心がけます。今年の夏は、騎乗停止もあって、なにひとつ爪痕を残すことができないまま終わってしまいました。

 2万回騎乗しても、どうしたら勝てるのか、分からないことだらけで、悩みは増すばかりです。でも。分からないから、難しいから、面白いのが競馬。こんなに面白いものに出逢い、こんなに長く続けられていることに、感謝の気持ちでいっぱいです。

■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】皆さんに感謝の気持ちが溢れた2万回騎乗

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