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映画監督・佐藤信介「今回の『デスノート』は、どう原作ファンを驚かせようかと燃えました」異空間を作り出す人間力

[週刊大衆2016年10月31日号]

映画監督・佐藤信介「今回の『デスノート』は、どう原作ファンを驚かせようかと燃えました」異空間を作り出す人間力

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 小さい頃から、絵と小説が好きだったんですよね。本当はどちらもやりたかったんですが、小説でしか味わえない魅力があるし、絵でしか感じられないハッとする驚きがある。幼い頃から大好きだった映画なら、その両方が味わえるんじゃないかと、映画監督になろうと思ったんです。

 映画って、空間、いわば世界を作ることだと思うんです。たとえば、人物が立っている映像だけでは、映画にならないですよね。その人物が振り返ったら、次のシーンでは、彼の目に入った映像が流れてという風に、一つの映画空間を作っていく。僕たちは、もちろん、一つの物語をどう見せていくかってことに注力しているんですが、それって具体的にどういうことなのかって聞かれたら、どんな映画空間を作るかってことだと思うんですよ。

 だから、『図書館戦争』や、『GANTZ』といった原作があって、それを映画化してくれという依頼が多いんですが、決して、原作の世界観を縮小再生産したくはない。人気の原作ともなれば、原作ファンからのプレッシャーも大きくて、委縮してしまいがちなんですが、“こんなもんだろう”って観にくる人の期待を圧倒的に凌駕するものをみせるような作品を作りたいんです。

 最近の映画は、原作付きのものばかりだなんて声も多いと思うんですけど、映画史に名を残すような名作だって、原作があるというものも多いんです。なので、原作があることが悪いのではなくて、そこに映画としてのたくましさや、映画流の芸がないってことの方が問題だと思います。原作ファンが、“えー!”と圧倒的な映画体験ができるような作品であれば、そんな声も出ないはずです。

 なので、今回、監督をさせてもらった映画『デスノート』も、原作が基になっているんですが、委縮するどころか、どうやって、ファンを“あっ”と驚かせようかと、燃えました。特に、今作は原作の世界観を引き継いで、その10年後を描いたオリジナル作品でもあるので、より映画空間を作る醍醐味が味わえましたね。2次元なので、原作のなかでは、質感っていうのは分かりづらくて、読者の想像にゆだねる部分だったりするんですが、映画化するときには、まずどういう質感で、映画空間を作っていくかというのが、一番のテーマなんです。

 今回でいえば、原作から伝わってきたのは、触った時にひやっとするような真鍮の質感だったんです。それじゃあ、作品中に登場する会議室は、どうするか。会議室とひと言にいっても、会社なんかにあるリアルな会議室では、空気感は出せない。原作の真鍮という質感を出すためには、会議室はコンクリートの打ちっぱなしのところかなと、じゃあ、そんな場所はあるのかと探して、結局、関西のほうにある浄水場で撮影することになりました。

 あと、物語の舞台は東京なんですが、ノートに名前を書いただけで、人を殺せるようなお話なのに、現実のままの東京を映画内に登場させても違和感を感じてしまう。そこで、東京なんだけど、異国のような、あるいは、異空間にある東京という空気感を出せないかと苦労しました。

 映画のなかに、異空間を作りだす。それが僕のテーマでもあるんです。きっと、主義主張のような言葉にできるものではないかもしれませんが、そういうその監督が貫いてきたものって映画を見ていると、見えてくると思うんですよ。

 僕が作っている映画がレンガのように積み重なって、僕の作品群を作っている。そのレンガが積み重なったら、どんな物が出来上がるのか分かりませんが、作り続けた先に見えるものに触れたいなって思うんです。心が折れそうになることも多いんですが、自分が積み上げたものが、最後どう見えるのかっていうことにワクワクしますね。

 だから、究極の1本を作って終わりってことでもない。自分の感覚に忠実に映画を作っていきたいですね。

撮影/弦巻 勝

佐藤信介 さとう・しんすけ
1970年9月16日、広島県生まれ。武蔵野美術大学在学中の93年に、監督を務めた『寮内厳粛』でぴあフィルムフェスティバル94グランプリを受賞。01年には尾崎豊の代表曲に初めて使用許可が出た『LOVE SONG』でメジャーデビュー。近年は、『GANTZ』『図書館戦争』などの人気原作の映画化し、ヒットに導く。『アイアムアヒーロー』では、世界三大ファンタスティック映画祭にて、グランプリ他5冠を制覇。それらの実績を買われ、18年に映画化される『BLEACH』の監督も務める。

映画監督・佐藤信介「今回の『デスノート』は、どう原作ファンを驚かせようかと燃えました」異空間を作り出す人間力

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