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【武豊】「やはり競馬は難しい」と痛感した天皇賞

[週刊大衆2016年11月21日号]

 ――やっぱり競馬は難しい。

 エイシンヒカリとともに挑んだ「天皇賞・秋」は、あらためて、その言葉を噛みしめるようなレースになりました。1枠1番から絶好のスタート。道中の折り合いは、この馬にしてはつきすぎるくらいのいい感じで、4コーナーを曲がり、最後の直線に入るあたりまでは、

 ――いける。

 という手応えを感じていました。ところが……。後続を突き放す力はまだ十二分に残っているはずだし、実際、頭の中では突き放すイメージが出来上がっていたのですが、まったく反応がないままズルズルと後退。12着に終わってしまいました。

 ――なぜ?

 競馬記者やファンの方が思う以上に、僕がそう思っています。何か理由があるのか。あるとしたら、それは何だったのか。それとも、単純に走るのがいやになっただけなのか……こんなときは、馬と会話ができないことに、もどかしさを感じます。

 走るときは、気持ちいいほどの脚を使うのに、走らないときは、まったく走らない。それがエイシンヒカリだと言ってしまえばそれまでなのですが、うーん、それにしてもです。ただ、答えの出ないことを、あれこれ考えても仕方がありません。大事なのは、結果は結果としてきちんと受け止め、だらだらと、いつまでも引きずらないことです。

 次走はこの馬のラストラン、香港カップ。最後の瞬間まで、馬を信じて、ともに頂点を目指します。2016年も残りわずかとなりましたが、競馬はこれからが本番。今週から、いよいよ、G1レース7連戦が始まります。

 スタートを切るのは、牝馬ナンバー1を決めるレース「エリザベス女王杯」。ここ最近は、なかなか思うような結果を残せていませんが、01年のトゥザヴィクトリーから、02年ファインモーション、03年、04年はアドマイヤグルーヴで連覇と、4年連続優勝を成し遂げたこともある、個人的には好きなG1レースの一つです。

 今年、このレースで僕のパートナーを務めてくれるのは、芦毛のマキシマムドパリ。実績では、有力馬たちに一歩も二歩も劣りますが、可能性はゼロかといえば、そうでもありません。これまで16戦して、1着が4回、2着2回、3着7回。着順掲示板を外したのは昨年のオークス(8着)だけという堅実さが魅力の女の子で、どこかでもうひと皮むければ、一気に大輪の花を咲かせることができるはずだと思っています。

 1番人気の馬が、期待通りの走りで、あっさりと勝つのも競馬なら、人気薄の馬が、アッと言わせるのもまた競馬。1レースから10レースまで固く収まっていても、メインレースはどうなるか分からない。それが競馬の奥深さで、面白いところです。

 やるべきことをしっかりやってレースに臨み、最高の結果につなげる。それこそが僕ら騎手の仕事です。

■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算4000勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】「やはり競馬は難しい」と痛感した天皇賞

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