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大関・豪栄道「毎日の積み重ねの先に見えるのが、横綱」綱取りへの決意を語る!

[週刊大衆2016年11月28日号]

大関・豪栄道「毎日の積み重ねの先に見えるのが、横綱」綱取りへの決意を語る!

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 大相撲九州場所が11月13日、初日を迎えた。“1年納めの九州場所”における最大の注目は、先の秋場所、15戦全勝で初優勝を飾った大関・豪栄道の“綱取り”である。

 秋場所での優勝は、実に記録づくめだった。史上初のカド番での全勝、日本人としては横綱・貴乃花(現・貴乃花親方)以来20年ぶりとなる全勝、さらに、大阪府出身力士として、86年ぶりの優勝……など、幕内力士として12年目、30歳の遅咲きの花が、才能を一気に開花させた形になった。

 若乃花(3代目)以来の日本人横綱の誕生の期待が高まる中、秋巡業中の豪栄道を訪ね、その心中を直撃した。

――初優勝の後は、母校(埼玉栄高)のあるさいたま市、続いて出身地・寝屋川市でも優勝祝賀パレードが行われて、大盛況でしたね。

豪栄道(以下=豪) おかげさまで、パレードにはたくさんの人たちに来ていただいて、改めて「優勝したんだ!」という実感が湧いた感じでしたね。埼玉のパレードでは高校時代にお世話になった方たちの顔が見えてグッときましたし、その後、母校で後輩たちの前で挨拶して、さらに気持ちが引き締まりました。そして、大阪市での巡業の後に、地元に帰ってのパレード。大阪の独特のノリなんですかねぇ……。熱狂的な歓迎を受けて、オープンカーから沿道を見ても、どこに視線を合わせたらいいのか分からなかったくらいです(笑)。

――多くの人が待ち望んだ優勝だったと思います。実際、2年前に大関に昇進してからは、負け越しを4度経験するなど、成績にムラがある印象でした。優勝の前の場所で負け越し(7勝8敗)ながら、全勝優勝に結びついた要因は、どこにあるんでしょうか?

豪 一番よかったのは(自分の得意の)右を差して出ていくという相撲が多かったことですね。自分の相撲を取れると、自然に勝ち星が増えてくる。よく「苦しくなると投げに行く」とか、「引くクセを直せ」などと指摘されることがあるんですが、前に出る相撲が取れていたので、今回は、そういう悪い部分が目立たなかったのかもしれません。でも、振り返ると危ない相撲も多かったんですよ。そのときは「危ない」なんて思う余裕はなかったけれど……。先場所は、それだけ相撲に集中できていたということだと思います。

――心境の変化があったんでしょうか? 集中力を高めるために、何か特別なことをされているとか?

豪 特に、なんもしてないですよ。メンタルトレーニングとか、そういう先生についている関取も、中にはいるみたいですけど、自分は自然のままというタイプなので……(笑)。場所中は毎日“一番一番”という気持ちで臨んでいただけです。強いて言えば、これまでの経験が生きたのかもしれません。

――なるほど。秋場所は7日目に同じく全勝の平幕・隠岐の海を破って7連勝。翌日はストレートで勝ち越しを決めました。優勝を意識し始めたのは、どのあたりからだったんですか?

豪 大関戦(照ノ富士戦)が組まれた10日目を過ぎたくらいですかね。「意識する」というよりも、これまで優勝争いのトップに立つ経験をしたことがなかったので、「気持ちだけは負けないようにしよう」と思ったんです。

 11日目には、秋場所で“綱取り”の期待がかかっていた2敗の大関・稀勢の里戦が組まれた。稀勢の里の強いおっつけをしのいだ豪栄道が、一瞬の隙をついてもろ差しになり、渡し込みでの勝利。3敗になった稀勢の里の綱取りと優勝は、この時点で厳しいものとなった。そして、13日目は2差で追う、日馬富士との直接対決。日馬富士の上手投げで土俵際まで追い込まれた豪栄道は、必殺の首投げで横綱を仕留めた。

――日馬富士を破って13戦全勝とし、翌日に初優勝がかかった夜は、眠れなかったと聞きました。

豪 自分では、緊張するタイプじゃないと思っていたんですけど、珍しく一睡もできませんでした。だから、14日目の朝は稽古場には下りずに、気持ちを集中させていました。(平幕・玉鷲を破って)優勝を決めた瞬間は、興奮状態というか、うれしいとか、そういう感覚もよく分からなくて……。

――優勝インタビューでの涙。“硬派”の大関の涙は初めて見ました。

豪 いや……。自分、泣いていましたか? 人前で泣くのはガマンしていたんですが、勝ち名乗りを受けて、花道を下がっていくときから、胸に込み上げてくるものはありましたね。ここに来るまで、つまり初優勝を果たすまで、いろいろな人に支えられているわけなんですね。特に、師匠(境川親方=元小結・両国)とおかみさんには、言葉で言い表せないほどの愛情をいただいていたので、「師匠とおかみさんの笑顔が見たい」という思いが強かったんです。だから、「少しは恩返しできたかな?」という気持ちですね。確かにメディアの人が言うように、カド番から全勝優勝とか、今回の優勝にはいろいろな記録はあると思うんですけど、自分としては、時間はかかったかもしれないけれど優勝できた。“優勝”の2文字がシンプルにうれしいんです。

――成績が振るわない時期もあっただけに、「悔しさがバネになった」という言葉にも共感しました。

豪 思い通りにいかない悔しさばかりでしたね。特に大関に上がってからは(ケガなど)つらいことの連続でしたから、周囲の人にも迷惑をかけましたし、この優勝で「少し報われたかな?」……と。自分では、そういう悔しさを引きずらないように、前向きに、前向きにという気持ちだけは持ち続けてきたつもりです。

 今年、30歳を迎えた豪栄道は、「男に多言は無用」とばかり、言葉を選んで取材に答えるタイプだ。一方で、大関取りを目指していた平成26年初めには「今年中に大関になります」と宣言。その年の秋場所後、見事、大関昇進を決めた彼が述べた口上は、「これからも大和魂を貫いてまいります」という、一風変わったものだった。

――改めて伺いますが、大関が考える“大和魂”とは、どのようなものなんでしょうか?

豪 本来の“大和魂”にはいろいろな意味があるんでしょうけれど、自分的には、痩せガマンも含めたガマン強さのことなんじゃないかと思うんですよ。力士は勝ち負けのハッキリした、勝負の世界に生きています。原因がどうであれ、負けたのなら、負けを負けとして、その現実を受け止める。男らしく、潔くいきたいと思うんですね。そういう道を歩もうと思えば、ガマンするしかない。

――“男はガマン”ということですね。実際、現役の横綱、大関陣からも、「豪栄道は男気がある」と言われていますよね。本場所の土俵では極力テーピングを控えるなど、土俵の美を体現しています。

豪 痩せガマンしてるだけなんですけど、そう言われると、ちょっとうれしいですね(笑)。(26年の)「大関昇進宣言」も、実は自分自身にプレッシャーをかけるための言葉だったんですよ。「やらなきゃ」という気持ちを高めるため、目標は口に出して言うほうがいいと思うんですよ。

――そんな男気あふれる大関ですが、なぜか女性の噂が聞こえてきませんね?

豪 アハハ……(笑)。そうなんですよ。

――笑っている場合じゃ、ないですよ。具体的には、どういうタイプの女性がお好きなんでしょう? モデルで、現在ニュースキャスターも務めている市川紗椰さんは、大関のファンだと公言していますが……。

豪 ありがたいことですよね。彼女は以前から自分のことを応援してくれていると聞いて、さらにうれしくなりました。具体的に言えば、まあ、筋肉質というより、細身の女性がいいですよね。古い男と思われるかもしれませんが、あまり表に出ないタイプの女性が好きで、でしゃばりなタイプはちょっと苦手です。あと、関西出身ですから、明るく、おしゃべりができる人だったらいいかもしれませんね……なんて、しゃべり過ぎですね(笑)。30歳を過ぎて、少しはトークもできるようになったでしょう?

――そうですね(笑)。今はとにかく忙しいと思いますが、息抜きや趣味の時間は取れていますか?

豪 バタバタする毎日が続いていて、時間がないんですが、おいしいものを食べて、ゆっくりすることでリフレッシュしています。焼肉は全国いろいろなところを食べ歩いていますが、東京だったら一門の先輩でもある二子山親方(元大関・雅山)がプロデュースしている焼肉屋さんで、厚手のタンやハラミ、ツラミなどを食べるのが大好きです。それと、週刊大衆さんでもエッセイを連載されている伊集院静さんのファンなんですよ。以前から先生のエッセイを読むのが好きだったんですが、たまたま共通の知人がいたこともあって、一緒に飲ませていただいたときには大感激しました。優勝を決めてからも、電話でお話をしたんですが、先生の生き方には共感するところが多いですね。

――関西出身ながら、ジャイアンツファン、そして猫好きという情報も入っています。

豪 地元では、「なんで、巨人なんや?」と言われ続けてきましたけど、子どもの頃からジャイアンツひと筋なんですよ。ヒーローは、なんと言っても松井秀喜さん。雑誌に、松井さんが巨人軍監督に就任するかもしれないという記事が載っていたんですけど、監督になってくれたら本当にうれしいんだけどなぁ。それと猫。今、ある相撲部屋で暮らしている2匹の猫が話題ですが、自分は子どもの頃、1年に1回くらいの割合で猫を拾っていたんですよ。だから、実家には猫や犬がいつもいて、賑やかでしたね。今も3匹くらい猫を飼っていて、実家に帰る楽しみの一つになっています。

――相撲の話題に戻って、九州場所では、久しぶりとなる日本人横綱の誕生が期待されています。大関は、そのプレッシャーの渦中にいるわけですが……。

豪 秋巡業では、徐々にペースを上げて行って、中盤以降はいろいろな関取と稽古することもできて、充実していました。横綱という地位は、周囲の方がおっしゃるように、力士にとって、究極の目標なのかもしれません。ただ、自分の中では、そういうことを気にしないで相撲を取ることが一番大切なんじゃないかと思うんです。初日から、いきなり千秋楽のことを考えろと言われても難しいように、九州場所でも、秋場所のときのように、その日の一番に集中できれば、結果がついてくるかもしれません。つまりは、毎日の積み重ねなんですね。一歩一歩積み重ねた先に見えてくるのが、横綱なのではないかと思っています。

「無責任なことは言いたくないので……」と、豪栄道が“綱取り”を宣言することはなかった。だが、逆にそこが豪栄道らしさであり、彼の心意気なのだろう。この男なら、大きな仕事をやり遂げてくれる――。そんな期待感いっぱいの九州場所の豪栄道から、目が離せない。

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